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さよならはとつぜんに

 毎日書いていた「txtファイルで3KB」縛りの小説です。

 自分の変態性と欲望をブチまけた小説となりますが、よろしければご覧下さい。

 終わらせることに恐怖したことはありませんか?

 例えば、待ちに待った新作ゲーム。プレイしている最中はすごく楽しいのに何故かラスボス手前でセーブしたっきり止めてしまったことはありませんか?

 例えば、学校の卒業式。当日になって倦怠感を覚えたことはどうですか? でも、いざ終わってみると大したこと無かったでしょう?

 人間には自ら終わらせることが出来るもの、と時が来れば勝手に終わってしまうものがあります。それを忘れないで下さい。



 大雨でも小雨でもない、雨が深深と降る。

 そんな中、黒い傘を差し、喪服に身を包んだ少年が菊の花束を手に持っている。

 伊集院直(いじゅういん なお)それが彼の名前だ。

 彼の両親は13年前今日と同じ日に交通事故で亡くなった。それは、直が僅か4歳の時の出来事だった。

 男子というのは、幼少の頃はどうしても弱いものである。

 当時、直は気管支ぜんそくをこじらせ病院に入院していた。

 そして苦しくも同じ日彼は、生死を彷徨っていた。

 夢を見ていた。三途の川などではなく、銀とも白とも言える同い年ぐらいの少女が両親に看取られながら逝く夢だ。それはまるで今の直自身を投影しているようにも見えた。

 だが、実際は逝ったのは彼でなく、自分自身の両親であった。

 黄泉の淵から目が覚めて最初に見たものは、喪服姿出泣きじゃくる吾川……おじさんの顔であった。

 両親は知り合いである吾川家の運転手が運転する車と正面衝突を引き起こし他界したと聞いた。

 吾川家は旧華族であった。両親の遺品と慰謝料を加えれば年齢さえ伴えば一人立ち出来る資産が直の元に転がり込んだ。だが吾川の謝罪はそれだけで終わらず直を引き取り育てるだけでなく、高校に入ると同時にマンションを買い与えた。直は両親の遺産を使わずして17歳という年齢を迎えることが出来た。

 直の性格は、一言で言えば負けず嫌いであった。

 子どもの頃サッカーの少年団に入ってたことがある。

 その性格と人並みの努力があってレギュラーの座を得る……直前に止めた。

 当時、直は吾川の同級生にこう言った。


「どうして、やめちゃうの?」

「なんか、こわいんだ。こうやって、さいた花も、成虫になった虫もみんなしんじゃうだろ」


 正直、直自身にも分からない恐怖であった。


「でもね、また来年がくれば、お花も蝶もこうやって元どうりになるよ」


 そういった、彼女の笑顔が忘れられない。

 だから直は、途中で何かを止めてしまってもまた新しいことを始める。そういう姿勢を続けている。

 良く言えば、八方美人。悪く言えば器用貧乏であった。

 そんな過去の出来事を思い出しながら、直は墓地を目指して歩く。

 だがそんなときであった。後ろから車のエンジン音が聞こえたと思い振り返ると、車のフロントガラスが目前まで迫っていた。

 直は強い衝撃と共に跳ね飛ばされた。

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