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64 洋館の探索


 日も落ちかけてり薄暗い館をエイタとニイムは歩いていた。外からは本格的に降り始め豪雨となった雨粒が建物を忙しなく鳴らしている。


 ジメジメとしけった館内を手あたり次第に歩いていく。廊下には特に何かが置かれているわけでもなくただ広い通路が奥まで伸びていた。


 エントランスから左に進み少し歩いたところですぐなにかがあった。


「お、部屋か。」


 それは大きい両開きの扉だった。木製で中央部分にそれぞれサムラッチハンドルがついている。


「部屋しゃめね。早く中を確認するしゃめ。」


 どうやらニイムには動く気がないようだ。俺がやらなきゃだめなのか。。。なにかあったら助けてくださいよ。


 バーのようになっている取っ手に手をかけると喉をゴクリと鳴らす。一拍深呼吸を置くと意を決してゆっくりと扉を押した。


 重い扉が開いていき顔だけ覗かせるようにそっと中を確認する。


 まず最初に目に入ったのはソファだ。向かい合うように部屋の中央に並べられたソファ。そしてそのソファを挟むように背の低い長方形のテーブルが置いてあった。さらに天井にはシャンデリアが吊るされており一目でこの部屋が気合いの入った部屋だとわかる。


「ここは、、、応接室か?玄関からも近いし。いや、、、それにしても」


 一見いいところの応接室にしか見えないがそれ以上に気になることがあった。それは部屋に先客がいたから。


 先客といっても別に人や魔獣など生きている物がいたわけではない。ただ人形やぬいぐるみがソファに座っているように置かれていたからだ。


「なんていうか。趣味が悪いな。」


 それはとても不気味なものだった。なんでかは分からないがやけにリアリティがあるからなのか。どうしても素直にみれないというか。直感的な問題だが。


「ふーん。特に何もなさそうしゃめね。さっさと次いくしゃめ。」


 後ろから覗き込むようにニイムも見てくる。特に人形達に気にした様子もない。


 なんだか気にしている自分が馬鹿らしくなってきたな。なぜこんなにいっぱい人形があるんだろうと気にならないと言えば嘘になるがあまり気にしすぎるのもよくないのかもしれない。


 ニイムのさっぱりとした性格を羨ましいと思いながら扉を閉めた。その寸前。視界の中で一瞬人形の首が動いたような気がした。


「?!」


 びっくりしてすぐ扉を開け直すも人形達は先ほどと変わらずにそこに鎮座しており動いたような形跡もない。


 うそだろ、、、今絶対動いたよな???


 汗をダラダラと流しながらいや、今のはただの見間違いだ。俺は疲れてるんだ。と自分に言い聞かせる。


「なにしてるしゃめ~?」


 またニイムにせかされるように探索を再開する。


 少し歩くとまた直ぐに扉は現れた。今度の扉は一つだけでドアノブもL字型のレバータイプだ。


 ゆっくりと中を確認すると部屋の中には長い机が一つ置いてあり、その両サイドに椅子がいっぱい並べられたいた。シンプルで先ほどの部屋と比べると少し物足りなさも感じるが恐らくここは会議室なのではないだろうか?


 そしてこの部屋にも机に並べられているのは人形達。思わず「うげぇ」と声が出てしまう。


「ここにも人形がいっぱいあるしゃめね。」


「あれ、気にしてたのか?」


「そりゃこんだけいっぱいあれば気にもするしゃめ。なにか意味がある可能性だってあるしゃめし。」


「意味か、、、」


 昔テレビとかで人形の館とか人形の島特集を見たことあるけどあれはもっと狂気的な雰囲気を出していたからな。それに対してこちらは人形こそいっぱい置いてあるがどれもかわいいものだ。ファンシーというか。


「ま、どちらにしても関係ないしゃめ。何か襲い掛かって来ても返り討ちにするだけしゃめよ。」


 もう興味はない。と手を振りながら先へと進んでいくニイム。まあこの状況なら頼もしい事この上ないな。


 少し歩くと直ぐに館の突き当りへとたどり着いた。館から飛び出すように建設された部屋は今までの扉とは趣が異なり横にスライドして開くタイプの扉だった。


 扉には中を窺えるような小窓もついており覗いてみるとかなりの大部屋のように見える。


 ガラガラと音を立てながら扉を開け部屋へと入る。


「机がいっぱいしゃめね。ん、奥にカウンターもあるしゃめ。」


 ニイムの言う通りこの大部屋には机が沢山あった。等間隔に横長の席が並べられており奥にはカウンターも見える。


 相変わらずある沢山の人形たちにうげぇと思いながらも奥へと進んでいきカウンターを覗き込む。


「あ~、そういうことか。」


「なにかわかったしゃめ?」


 ひょいとカウンターを乗り越え奥側へと移りそこにあった物を手に取った。浅い平な物から丼のような深いのもまで様々な陶器が並べられている。少し離れたところにはコンロのようなものが幾つも並んでいた。


「キッチンだなここは。ということはこの部屋は食堂ってところか。っ!おいまじか!このコンロ火が付くぞ!」


 なんとなくコンロのスイッチを回すとカチチチチチ、ボッ。と火が付いた。ガスコンロ特融の青っぽい炎が等間隔に揺れる。


 カウンターに手をついて上半身を乗り出し覗き込んでいたニイムもこれには驚いていた。


「それ心核じゃないしゃめね?核力も感じないけどどうなってるんだしゃめ?」


 目を丸くして純粋に驚いているようだ。ニイムのこんな反応はなんだか新鮮だな。というかくーねもよく驚いていたしもしかしたらニイム達の世界はそこまで科学技術が発展してないのかな?


 コンロの火に手を伸ばしたニイムがさも当然のように火に触れだした。


「!?おまっ、なにやってんだ!?」


 急いでコンロのスイッチをオフにして火を止めるとコンロの火は消えそこにはニイムの手だけが残る。ちょっと残念そうな表情をしながら。


「ふーん。なるほどしゃめ。火力はそこそこってところしゃめね。戦闘では使えなさそうしゃめ。」


 何食わぬ顔でコンロの火の分析を始めたニイムに俺は恐らく信じられないものを見たような視線を送っていただろう。


「何考えてんだ?火に手を突っ込むとかどうかしてるぞ?!ってか火傷とかしなかったか?」


「ん?別に平気しゃめ。この程度じゃどうともならないしゃめよ。」


「えー、あっそうすか。」


 傷一つない滑らかな手をひらひらと見せつけてくる。


 そうだねこの子もくーねと同類だったね!大人しいっていうかくーねが目立ちすぎて忘れてたけどニイムも十分常識から逸脱した存在だったわ。


 化け物の事は考えるだけ無駄なので話を戻しましょうか。


「調理器具も一通り揃ってるしガスも通ってるなんて驚きだな。ミカに教えたら喜ぶぞ」


「なんかお腹空いてきたしゃめ。さっさと探索終わらせてごはんが食べたいしゃめ。」


 ミカ達になにを報告するか頭の中にメモしながら食堂を後にした俺たちは二階へと進むのであった。



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