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第六十四話 ルビアス王子の想い

「エリザベート、ちょっと良いかな?」


 その声は優雅な雰囲気をまとい、どこか人柄を表すかのように甘やかでもある。


「ルビアス王子? どうぞ」


 扉が開かれると、ルビアス王子は真剣な面持ちで立っていた。


「……エリザベート、少しだけ話せないかな?」

「どうぞ」


 エリザベートにすすめられた椅子には座らずに、ルビアス王子は躊躇ためらいがちに「少し浜辺の方まで付き合ってはくれまいか?」と小さな声で告げた。


「かまいませんよ。ただみなで話し合いたいので、手短に頼めますか?」

「ああ」


 ルビアス王子は女性相手に珍しく緊張していた。


 イルニア国の城に住むルビアス王子は、日頃華やかな女性もおしとやかな女性も、大人しく慎ましい女性もたくさん見てきた。

 時には王子たちに、美貌でもって媚びる者やあからさまに色仕掛けを仕掛けてくる者もいた。

 いかなる策をこうじる者もいた。

 兄たちはそれを、女たちが仕掛ける恋愛の駆け引きを上手に楽しんでいた。

 だが弟の第三王子は少々不器用らしく。


 イルニア国は国政がすこぶる上手くいっている上に、二人の兄は女好きで耐えず華やかなパーティーや舞踏会などが開かれていた。

 そんな境遇からか、女性は見飽きるほどにいろんな女性を見てきたつもりだった。


 しかし目の前のエリザベートはその誰とも違う!

 素朴で強くて純粋で時々もろく。

 そして乙女だ。

 惹きつけられてたまらない。


 出会ったばかりでルビアス王子はエリザベートに本気だった。

 ルビアスはエリザベートに夢中だった。


 この少女をこの胸にかき抱きたいと激しく思っている。

 強く抱きしめてそうして俺の想いにエリザベートがこたえてくれたなら、どんなに嬉しいだろうか。

 喜びが愛がこの身に広がるだろうか。


 ルビアス王子は、エリザベートにはっきりとこの想いを伝えなくてはならないと強く思うのだった。

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