第六十三話 作戦会議その前に
宿の主人ベルマンと奥さんのキッキはエリザベート一行に、男性陣と男の聖獣には大部屋を、エリザベートとアリアと聖獣シヴァにはエリザベートが前回使った部屋をそのまま使うように案内した。
エリザベートが部屋に入ると荷物は出掛けた時のそのままにしてあった。
(ここを出てからたった何日かしか経っていないんだ)
アリアは先に風呂に向かった。
聖獣シヴァもハムスターに変化して一緒に。
一人になり海の波の音を聞きながら、エリザベートは物思いに耽った。
この何日かはエリザベートには激動の思いだった。
オワイ島にいた数年は夢のようにゆっくりとのんびりと羽を伸ばし、農園で自分の手で作物を作り売って生活をしていた。
もうあのオワイ島の日々は遠くかけ離れた。
やはり私にはこの道なのだ。
逃げるわけにはいかない。
こんなに仲間が増えて純粋にうれしい。
それとは別にあまりにも気がかりが多くなった。
女神イシスの二つの啓示。
一つはイルニア国に。
一つは北の大地ルーシアスに。
魔王の復活を示唆する側近ブレロンの出現。
聖女アリアの教会の謎の大司教。
そして我が故郷ランドン公国の大公の乱心。
優先すべきはアリアの故郷だと思っている。
エリザベートの直感が一番魔王の気配を感じ急をようする気がしている。
どこの国の気ががりもエリザベートには早く駆けつけたい思いだが、私は身は一つ。
すべてを一度にこなすことが出来るわけがなかった。
トントン…。
遠慮がちに扉がノックされた。
エリザベートはなんとなく誰が扉の向こうにいて、扉を叩いたのが誰か分かっていた。




