「作者は最近まで10/30日がハロウィンだと思ってた」と言ったな、あれは本当だ
体育祭も終わって身体測定も終わって何もかもすっ飛ばして暦は10月31日
そう、メインデルト・ホッベマの誕生日である。
あ? 違う? いや違くはないけど違う? あっそう……ならガスの記念日? それも違う? じゃあもういい! 帰れお前はぁ!
冗談は頭の上に置いて、流石の俺も今日がどういう日かは分かってる。
そう、あの世とこの世の境が曖昧になり、悪魔幽霊魔女妖怪が舞い降りる災厄の日。 ハロウィンだ。 間違ったことは言ってないけどここまで不正解な表現中々無いね。
さて諸君、ハロウィンとはどういう日だろうか。 そう、仮装する日だ。
元は、あの世からの来訪者に連れ去られないように同じ装いで誤認させるのが目的とか。
だがしかし、時は移ろい時代は変わり、趣旨は何処へコスプレぱーちー。 今はバカと若者とアホがコスプレしてトラック横転させて深夜まで傍迷惑な騒ぎを起こす百鬼夜行と化した。 偏見とは言いきれないでしょ。
俺は毎年コスプレするとかパーリナイするとかは無く、普通にハロウィンイベントを走って限定ガチャ回して泣き崩れている。 相変わらずガチャ運は無い。
強いて言うなら、我が家が少し騒がしくなるくらいか。 こういう日は結界の効き目とか盛り塩の除霊効果が悪くてな。
だから、ハロウィンの夜は徹底して部屋から出ない生活を送ることにしている。 トイレも何もかも昼までに終わらせて、夕方────逢魔が時以降は部屋から出ない。 あの部屋は厳重だから。 俺ちゃん幽霊とか怖くてダメなタイプ。
意外? だって幽霊って対策わからんし…………肉体言語通じないし。 つまり紅葉やベルも幽霊の可能性が微レ存。 だって肌白いし言葉通じないしなんか怖いし。
と、言い訳で長くなったがハロウィンクソ喰らえって事でね。 一刻も早く帰りたい訳ですよ。
この「宿木学園ハロウィン祭」から。
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あ、場面転換しても無理っすか。 じゃあもういい拗ねてやる。 拗ねに拗ねて最終的に脛ってやる。 身体に異変起き始めてるじゃん。
はい現実に戻りまーす。
現在、我らが宿木学園では学生がコスプレをして徘徊するプチ百鬼夜行が流行っているそうで。 暇なんでしょうか。
そういう俺も生徒会役員ということで、見回りやらイベント運営やらに駆り出されておりまして。 つまりタダ働きしておりまして。 やり甲斐だけが報酬。 クソブラックマジワロタ。 怒りで全身の脛が沸騰しそう。 脛の侵食が既に……
あっち見ても魑魅魍魎、こっちみても悪鬼羅刹。 この世はまさに地獄絵図。
しかし流石は金持ち学園とボンボン共。 このイベントの為だけに凝った飾り付けをしてるし、コスプレにも本気だ。 手が込んでいる。 流石に楽しむ優先だからホラーメインのコスは見かけないが。
「ウボァー!!!」
「「キャァァァッ!!」」
あれはただ性根が腐ってるだけでゾンビのコスプレしてるとかじゃない。 というかあれ委員会の奴だ。 コスプレでイチャつくリア充が憎くて手当り次第に驚かしてやがる。
まぁ俺は何もしないが。 手を出してるなら兎も角、ただ驚かしてるだけなら俺の対応範囲外だ。 つまり職務怠慢と言える。 そうで脛。 語尾にまで脛の侵食が……
「…………」
しかし、少しアレだな。
紅葉達、全然来ないな。
着替えるからと別れて待たされたが、待てど暮らせど姿は見えない。 忘れられてるに1票。 はい賛成多数で可決となりました。 投票って3票以下でやる事あるんだ。 まぁ独裁国家はどこも多数決とは名ばかりの一票制だ。 奏士国国王の俺は独裁政治なので1票でも可決となる。 やったね☆
「…………居た」
アホみたいな事考えていたら、紅葉が現れた。 仮装してるからエンカウントと言うべきか? 人混みから紅葉が現れたとなると俺の手持ちは既に瀕死だ。 550円あげるから許して。 今のコロコロは買えない金額だ。
「…………」
人混みを掻き分けてと言ったが、少し語弊がある。 まるで紅葉を避けるかのように人が割れたという方が正しいかもしれない。 流石稀代の生徒会長サマだ。 格が違う。
しかし、相手が俺と分かると皆目を逸らした。 僕は悪い人間じゃないよ。 良い人間でもないけど。 どっちかと言われると悪人よりだけどまだセーフだから。 グレーだからまだ善人。
「…………奏士だけ制服」
紅葉がジト目で言う。
そう、俺は普通の指定シャツに緩めたネクタイ、そして腕章だけの装いだ。 いやズボンは履いてるぞ? 下の描写してないだけで下半身裸族で脛見せ放題とかじゃないからな。 今日やたら脛に注目してない?
「…………くさった死体のコスプレ?」
「これがデフォだ。 つーか誰がくさった死体だ。 どこだよ腐ってる部分」
「……性根」
「やかましいわ」
「……それと身体と頭と脳と心と脛」
「全身じゃん。 なんで身体と脛別々にした」
俺は心底納得いかないが、紅葉は何故か満足そう。 この顔すごくムカつく。
「…………」
紅葉は無言でこっちを見る。 時々マントをバサバサさせたり、両手を上げたりしながら。
その時、不思議なことが起こる事は無かった。 代わりに俺の頭脳はフル回転した。
これまでの紅葉の同様の態度、現状、紅葉の表情が記憶から呼び起こされ、それらをフル回転した頭で考えたところ酔って吐きそうオエッ。
まぁあれだ。 これまで通りだとつまりそういうことだ。 感想欲しいってことだ。 ならば答えは1つ。
「ん? あーはいはい似合ってる似合ってる」
「………………ガウッ」
「痛っ」
手を取られたと思ったら噛み付かれた。 今もガジガジ噛んでる。 ちょっと辞めてよ。 お前今追加パーツで鋭い犬歯生えてるじゃん。 血を吸う気じゃないだろうな。 お前今日は吸血鬼少女だからって血を吸ったらアレだぞ。 凄く痛いぞ俺が。 勧告下手うんk……おっと失礼。
「……ヴ〜」
「……お2人共何をしているのですか?」
俺の手に立派な歯型が完成されつつあるその時、この状況に声をかける勇気ある一般通行人が!
「……莇か」
ぱんぱかぱーん。 その正体は燕尾服にシルクハットとステッキを携えた莇でした〜 うん知ってる。 あ、歯型完成した。
「もう一度聞きますが、何してるのですか」
「知らんが、どうやら今日の紅葉はご機嫌ななめらしくてな。 レディースデーなんだろ」
「…………」
「更に強く噛まれていますが」
「手の痛覚遮断してるからまだ平気」
「平気と言ってる時点で痩せ我慢では……」
仕方ない。 自然災害に文句言った所で何も変わらないのと同じだ。 諦めて受け入れるしかない。
「そういや、お前の奥さんは?」
「千聖殿と泉殿と一緒です。 御三方で着替えるそうで」
そうか〜
こいつ遂に呼び方変えても疑問持たなくなったな。 心の底から人の滅びを望むことって人生で何度もあるんだね。
と、その時再び周囲が騒がしくなる。 気配の方を見ると、一際目立つ少女と地味ながら確かに目を引かれる少女が2人。 そして金魚のフンが1つ。
「莇さーん!」
莇に気付いた奥さんもとい薪姫が手を振りながらパタパタと駆け寄ってくる。
その際、薪姫の誇る膨らみが「ユサッ……」と重量を感じさせながら揺れる。
周囲の男共はそれに視線を吸い寄せられるが、同士に莇からの殺気を感じて目を逸らす。 おお、顔怖。
一瞬で殺気を放ち、一瞬で普段の状態に戻した莇は何食わぬ顔で薪姫に近付く。 恐ろしく早い変わり身……俺でなくても見逃さないね。 じゃあ黙っててくんね?
「わー! 莇さんカッコイイですねー!」
「ありがとうございます。 華さんの衣装もとてもよくお似合いです」
「わーい! ありがとうございまーす!」
テンション爆上がりの薪姫は莇の手を取ってブンブンと上下に振る。 再び揺れたが、莇は再度殺気を放って対処する。 独占欲強くて結構。 今度莇に慰労会として特製ドリンクでもプレゼントしてやろうかな。 成分は秘密だけど1つだけ公開するとフグお手製。
「そ、奏士、さん……」
少し遅れて泉ちゃんも到着。
泉ちゃんの装いを見た俺の心臓は即座に破裂したので意味をなさないが、元から心臓なんぞ意味を成す肉体では無いので問題無し。 弊害を上げるとするなら意識レベルが低下してきた。 問題に対して盲目かよ。
「ど、どうです、か?」
「そうだね、ベリッシモ良きと言ったところ」
「べ、ベリ?」
おっと母国語が出ちゃった。 ベリッシモってイタリア語なんだよなぁ……地球が俺の母国だからセーフ。 国際指名手配待ったナシ。
落ち着いて心臓を復元して泉ちゃんの装いを見る。
白いブラウスにフリフリのスカート。 茶色のコルセットと白いニーソと赤い靴。 そして木籠。
何より目を引くのは、泉ちゃんのふわふわの茶髪を包む赤い布。 これから導き出される元ネタはそう、誰もが知る御伽噺の1つ、『赤ずきん』だ。
あ、やべ心臓が復元前に素粒子まで分解された。 そろそろ低酸素症になりそう。
「すっごい似合ってるから誇るといいよ」
「え? あ、ありがとうございます」
泉ちゃんへのトキメキはここで一時停止させ、漸く元に戻った心臓をフル稼働させる。 あー危なかった。
「あ、あの……も、紅葉さんが手を噛んでいますけど……」
「吸血鬼コスだし、演出じゃない?」
まぁ手を噛むのって吸血鬼じゃなくてコウモリだけど。 正確には見た目がコウモリの魔族だけど。 もしかして俺って吸血鬼の王? 鎖で制限されてたりする? キバっちゃう? ウェイクアップしちゃう?
「先輩今度は何したんですか」
「俺が毎回やらかしてるニュアンスで言うのはやめろ」
遅れて頼金も登場。 何故か猟銃を持っている。
「いやいや、会長がこうなるのは大体先輩じゃないですか。
さっさと吐いた方が楽ですよ」
「いや本当に何もしてない。 ちゃんとお望み通り今日の衣装を褒めたし」
「えっ……先輩本当に先輩ですか?」
「偽物疑われるの心外なんだが」
「実はドッペルゲンガーとか見た目とかが似てるだけの別人だったりしません?」
「え、やめてそういうの。 自信無くなってきた」
奏士君こう見えて繊細なんだから。 自己の確立なんてハイレベルなこと1人でやってるんだからそれ揺らがすの止めてよ。 そうじゃなくても多重人格とかいうややこしい人間なんだから不安になる。
「……パッ…………本物の奏士で間違いない」
紅葉が離れた。 俺の手には紅葉の歯型が。 やっぱり歯並び良いね。
「会長、根拠は?」
「…………妙に異性慣れしてるくせに童貞臭い」
「ああ、それは本物ですね」
「こんな事で本物認定されるの納得いかないんだが」
「まぁまぁ、事実ですし」
頼金の言葉を否定しきれない悲しき事実。 俺のメンタルは既にボロボロ。 というか前々回砕け散ったから新調したばっかりなのに……
「で、会長はなんであんなことしてたんですか?」
「……ムカついたからやった。後悔はしていない」
「おいこの無差別犯を早く豚箱入れろ」
「主文、被告人柳奏士は、頑張ってお洒落した乙女を悲しませた罪で有罪」
「俺を豚箱に入れてどうする」
「はいはい話は断頭台でききますから」
「お前今そのルビ何に振った」
俺の聞き間違いじゃなければ『断頭台』って聞こえた気がするんだけど。 処刑直前で取り調べもクソもあるかい。
「さぁさぁ会長、お仕置の時間です。 あの女の子の敵をこの鉈でとっちめちゃってください」
「武器の殺意高」
俺、そこそこ綱渡りな人生送ってきたけど、『鉈でとっちめる』って初めて言われたかもしれない。
「つーかなんで鉈持ってんだお前は」
「ふっふっふっ……何を隠そう今日の私は狩人! カメラに代わり、狩りに使う武器を持ち歩いています!」
「おい早く通報」
「安心してください。 この猟銃はモデルガンですし、その鉈も刃を落としてあります」
なーんだ安心。 心配しちまったぜ。
「まぁそれでも金属の塊に違いは無いので、ぶっ叩けば骨の2、3本は持ってかれると思いますが」
「心配蘇生すんのやめろ」
心配が舞い戻ってきた。 コイツさてはネクロマンサーか? 俺は根暗マンさーつって。 腐ってる性根に暗いもクソもないだろうに。 誰の性根が発酵してるって? ちょっと人類に良い影響与える言い方してて草加。 とても笑顔がに合いそうな人生えてんじゃん。
というかそうだよね。 模造刀だって普通に金属塊だし、金属の塊ってことは普通に重いもんね。
それを紅葉みたいなのが持ったら普通に凶器。 持たなくても凶器。 素手で扉を破壊する肉体をこの国では凶器に該当します。 スポーツ界の卵とも言う。 絶対に無精卵じゃん。
「ふっふっふっ……先輩さては気付いていませんね? 今日の私たちが赤ずきんモチーフだということを!」
緑の狩人姿の頼金がドヤ顔で猟銃をガンスピンして構え、紅の狼娘の薪姫が装着型肉球を構えて「ガオー!」と叫ぶ。 茶色の赤ずきんな泉ちゃんは巻き込まれた形でそれに並ぶ。 さっきから色がややこしい。
「どうですか私プロデュースの衣装は! 素材や細部に至るまで拘り抜いた逸品です!」
「頑張った所悪いけど今の俺にそれを見る余裕は無い」
現在、紅葉の振り下ろす鉈を白刃取りでギリギリ受け止めてる。 全く気を抜けない。 一瞬、一瞬でも筋繊維1本力を抜いただけで俺の頭は桃太郎の桃同様に別れる。
「て、てめぇ……何が望みだ……」
「……………………」
しかし紅葉は答えない。 無言で力を込め続ける。
しかし! 手首の力が限界に達しそうになるその時不思議なことが起こった。
先までの喧騒が嘘のように消え、一転して静かになる。
もしかして紅葉の力に抗ったことで肉体が限界を超え、異空間へ飛んだ事で時間軸が切り離された世界なのかと思ったが、その案は惜しくも外れた。
ハロウィンコスの学生達が海の如く割れ、その中からゆっくりと現れたのは金色の聖女だった。
その金髪は陽の光を反射してキラキラと、まるで後光のように輝き、黒い頭巾がその輝きをより一層引き立たせている。
普通なら着ることを躊躇する、ボディラインがくっきりと出る服。 だが、それが彼女の魅力を引き上げている。
深いスリットからは白く長い足が見え、足には膝丈の黒いロングブーツ。
余計な装飾も派手なアクセサリーも無い。 黒と金と白というたった3色。 だが、それ故に完成され、彼女の魅力はより引き立つ。
正直、服装は聖女というか修道女だが、魑魅魍魎跋扈する学生の中に現れた1人の救世主。 まるで祈りを捧げるように可憐に、優雅に、そして清廉な姿は間違いなく聖女であった。
だが俺は惑わされない。 気配で分かる。 あれはベルだ。 普段のアレが大人しいということは、何かある証拠に他ならない。
事実、その聖女は目が合った途端、今までの大人しさはチューリッヒまでさよならバイバイ。 陸上選手も驚きのスタートダッシュで一目散に向かって来る。 よくもまぁヒール付きのロングブーツで走れる。
とか考えていたらもの凄い至近距離に達していた。 速すぎてワイルド経由でフィーバーしたのかと思った。 まぁだとしたら俺は今から蹴り飛ばされる訳だが。 なんなら蹴り貫かれる訳だが。
よく考えたら今の状況はマズイ。 激おこ紅葉をどうにか食い止めてる今、物理的に横槍入れられたら確実に均衡が崩れる。
一瞬でも紅葉が力を抜いてくれたら動けるが、紅葉は確実に殺りに来てるからびた1ミリ動かない。 何をそこまで怒らせたのかマジで分からんからどうすることも出来ないんだが。 もしかしてこの一撃受け入れたら納得して落ち着いてくれたりする? でもその場合は俺の未来が消えるからなぁ。
余計事に気を取られてる間もベルは止まらず、距離は徐々に縮まっていく。 ポーズ機能的な感じで止まってくれたら嬉しいのに。
そしてベルは一定距離まで近付くと、真横に飛ぶ。 その姿、軌道は巡航ミサイルの如し。
「ソーォジィー!!!!♡」
「ごふっ」
そのまま脇腹に激突する形で抱き着かれた。 今この状況において悪質すぎる抱擁。 なんだこいつ日大志望か? それはそうとやった腰が最近治ったばかりなのに……
「……あ」
更に、ベルの悪質タックルゲフンゲフン。 抱擁により、辛うじて保たれていた均衡も崩れ、俺の手から開放された鉈はそのまま脳天へ。 すると割れた頭からは赤────い血と脳みそが。 誇張表現やめろ。
「……っ……っ……………」
すげー痛い。 今すぐに転げ回って泣き叫びたい。 でもそんなカッコ悪い姿泉ちゃんに見せられないから我慢した。 普段からそれ以上に情けない姿晒してるとか言うな。
「うへへ〜♡」
吹っ飛んで倒れる俺。 そして聖女ベルフローラはそれを見逃さず、素早く馬乗りになってやりたい放題。 さっきからちょいちょいズボン脱がそうとしてくるの怖い。 公衆の面前でソジー・ザ・ジョニー初公開したくないっす。
「さぁソージどうデスカこの衣装! ソージのだぁ〜い好きなシスター服デス!」
ドヤっと胸張って見せてくるが、それにかまけている暇は無い。 だって脳天に鉈ぶち込まれたから。 模造でも痛いもんは痛い。
というか普通に死亡案件。 俺が無駄に丈夫な身体してるのとショック時の横移動で威力が分散されたから傷一つないからまだマシ。
「因みに、ワンポイントとして服の下、丁度子宮がある辺りには淫紋がありマス! 見たいデスカ〜?」
聖女ならぬ性女ベルは服の前垂れをゆっくりと持ち上げる。 絶妙に見えない様に持ち上げてるのムカつくはなんか。
横目で紅葉を見ると、「やべ」「でもまぁいいか」「満足」と、何やらスッキリした様子。
「ム〜 ソージ、ちゃんとこっち見ないと襲っちゃいマス」
「現在進行形で襲われているんだが?」
「oops! 話変わりマスケド、一緒に空き教室へLet's go! OK?」
「NO」
「つまりYESと言うことデスな!」
どうしようこの女、母国語ですら通じないぞ。 あ、そういや地球外生命体だった。
「ダイジョーブデス。 ちゃーんとマットは準備してありマス」
「大丈夫要素どこ? あと重い。 降りろ」
「美少女になんてこと言いマスカ! ワタシこれでも胸と愛以外は重くないデス!」
出来ればその愛は羽のように軽くあって欲しい。 それと体重も普通に重い。 全体で見れば軽い方でも、俺視点だと普通に重い。 体感で60前後だと思うけど、60って米俵と同じだからね。 つまりベル=1米俵。
「という訳でギュ〜ッ♡」
ベルは退かず、そのままギュッと密着してくる。
見た目が密着騎乗位だし股間部分がベルの服で隠れてるからアレだけど、これ絶対挿入ってないから。
伝わる体重が暖かい。 どこもかしこも触れる箇所は柔らかく、香水か何かをつけているのかそれとも乙女の匂いと言うやつなのかは分からないが甘い匂いがする。 もしかして糖尿病か? 最近は若人もなるらしいからな。 俺も最近はドクペも少し控えめ。
そして俺は腰が痛い。 冗談で言ったけどガチめにヤバいかもしれない。
あと、こいつ衣装の下に何か着てる。 下着が浮き出ない為の服って感じじゃない。 何だこれ。
「おい莇、このバカどかせ」
「ご自分でやればいいのでは? 奏士殿と力なら簡単に剥せるでしょう」
「無理。 マジやばい。 腰がマジでやばい」
「先輩もしかしてハグで腰砕けですか? それともただの腰抜けですか?」
「含みある言い方するな。 最後のどっちの意味だ」
「両方ですけど」
「OK分かったベルの次お前泣かす。 誰が腰抜けだ」
「女の子に迫られても手を出せないカス男」
「言葉のナイフが鉈に変わって襲ってきた」
やたら今日は負傷する日だ。 心入れ替えたばっかりなのにまたズタズタになっちゃった。
ふと視線を感じて頭の方を見ると、紅葉がゴミを見る目をしながら二つの意味で見下していた。
それよか、紅葉のパンツが見えているがこれは指摘しない方が懸命なのだろうか。 どっちに転んでも死が待っている気がする。 因みに吸血鬼少女だからか黒でした。
横を見れば泉ちゃんが恥ずかしそうに真っ赤な顔を手で隠し、隙間からチラチラとこっちを見ている。 泉ちゃんはやはりむっつり。
そして安心安全の薪姫。 こっちに目もくれず野鳥と戯れている。 徐々に集まってきているが、やはり料理屋だから美味い匂いがするのだろうか。
助ける気が無い莇、紅葉から感じる殺意、徐々に密着度を上げて来てるベル。 そして腰がマジヤバくて動けない俺。
これをどうするかと必死に頭回転させて考えていると吐きそうウップ。
その時、着信音が鳴り響く。 なんでバネの跳ねる音……
「はいもしもし」
正体は頼金でした。 着信音独特過ぎるだろ(着信音力士の男)
「ああはい。 お疲れ様です。 ええ、はい、はい……はーいかしこまりましたー! 直ちに連行しまーす」
そう言って通話を切った。 最後の言葉が聞き捨てならない。
「皆さーん。 これから体育館に向かいますので準備してくださーい」
「た、体育館、ですか?」
「千聖ちゃん何か緊急なんですか?」
「緊急……と言えば緊急です。 あ、でも用があるのは先輩だけですのでもし、用事等があればそちら優先でも結構です」
「奏士殿だけ、ですか」
「はい。 なのでベル先輩。 イチャイチャタイムはそこまでにして、先輩を解放してください」
「え〜」
「まぁまぁ。 その代わりと言っちゃなんですが────」
頼金がベルに耳打ち。 どうしよう全て聞こえる。 『誰でも指名権』とか言ってた。 凄い怖い。
「ふむ、ふむふむ? ふぅむ…………なんとっ!?」
それを聞いたベルは勢いよく立ち上がる。 立ち上がる時に1回沈んだから腰に衝撃が来た。
「さぁさぁソージ! 早く体育館行くデス! ワタシと!」
「お、おま……」
ベルが腕を引っ張って無理矢理起こしてくる。 腰が痛くて立てません。
どうにか踏ん張って立ち上がり、袖から伸縮する杖を出す。腰に手を当てて杖をつくその姿、 気分はおじいちゃん。
「さぁソージ! GOGOGO!」
「おい引っ張るな」
ベルに腕を取られた。 こいつ意図的に押し付けてやがる。
再び殺意が高まる紅葉。 もしかしたら死亡エンド確定したかもしれない。 神さま仏さまえなり様助けて。 最後の奴は
「そんなこと言ったってしょうがないじゃないか」
って見捨てられそう。 泣ける。
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体育館に着くと、壇上の席に座らされ、ここで待つように言われた。
館内には既に大勢の人が居て、袖横にも多くの人がいる。
「あ、柳君だ! やっほー」
何かと思って振り返ると、そこには久しぶりの登場のあの人が。
「ダーム……天音先輩」
「DAM? カラオケ?」
危ない危ない。 つい癖で渾名で呼ぼうとしちゃった。
天音先輩はそのまま隣の席に座る。 壇上に置かれた席は計3席。 残り1席は誰だ。
「なんか凄い久しぶりって感じだね。 元気?」
「先日も会議で会いましたよね」
「あれ、そうだっけ? う〜ん、私最近忘れっぽいんだよね〜」
それに関しては登場させなかった作者が悪いと思います。 体育祭の時出そうとしたのに忘れて出さなかったからね。
「おまたー」
最後に現れたのは焔。 やはりと言うべきか、コスプレはカワイイ系だしなんか「キャピっ☆」って感じがする。 あと色派手。
「あれ、奏士? いがーい」
「意外も何も俺何一つ聞かされてない」
「へ〜 そうなんだ」
そう言いながら焔が席に座ると、マイクを持った頼金が壇上の中央までやって来た。
『皆さんお待たせしました! それではこれより! 宿木学園ハロウィン祭恒例のミスターミスコスプレコンテストを開催します!』
すると巻き起こる歓声と拍手。
え、今なんて言った?
はいどーも最近不幸続きの作者です。
足の指ぶつけたり寝坊して遅刻しかけたり置物だと思って買ったら鉛筆削りだったり。 囁かかつ「まぁいいか」で済ませそうな不幸が連発しております。 助けて神様仏様えなり様。
という訳で始まりましたハロウィン。 休みと修学旅行編どこ行った? 君のような勘のいいガキは嫌いじゃないわっ! 京水・タッカーでした。
マジな話すると、普通にハロウィンの話を忘れてましてね。 前回のを投稿した後でノートを見返したら書いてあったので路線変更というか戻しました。 因みにハロウィンは前半後半の二部構成の予定です。 今週はあたしゃ疲れたよ……
という訳で次回もお楽しみに。
P.S.
余りにも尊すぎる画像を見てしまって次の日風邪引きました。 尊さに対する免疫下げていたらこうなったので皆さん気をつけましょう。 どう気をつければいいのかは知りません。




