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第20章 【究極のイレギュラー強化】「私がこのゲームの開発者だ」〜女王の演算と支配者の呪いを融合させた、最強騎士創造計画〜


「王子の激昂は、アイリスの『嫉妬の法則』によって極限まで増幅されている。王都の武力は、すぐそこまで迫るでしょう」




クライヴは冷静に状況を分析した。






レナはすでに羊皮紙に数式を走らせていた。






「まずは防御よ。領地に侵入を許さない、強固なバリアを構築する。私の演算では、このボルンラント全体を覆う絶対領域を完成させるには、数日間の時間が必要となる」




「ヘンリーに指示を出し、領民を領地内で最も安全な場所へ避難させましょう」




「私はバリアが完成するまでの時間を稼ぐため、領地の外で迎撃する」




レナはきっぱりと言い切った。






彼女の演算(法則)は、一度起動シーケンスをセットすれば、その場に留まらずとも自律的なバックグラウンド実行が可能だった。






ゼフィールは壁にもたれかかり、漆黒の空間を揺らめかせながら警告した。






「甘いな、孤独な女王。王子の武力は、単なる物理法則ではない。あの女、アイリスが力を及ぼせば、この世界の設定(プロット)そのものを変えてくる可能性がある。何が起こるか、もはや君の演算でも予測は不可能だ」






「アイリスの力は、周囲の者からの愛と承認。ヒロインの法則によって無限に供給される。それを断ち切らなければ、この歪みは止められない」







クライヴは悔しそうに拳を握りしめた。






「だが、皆が彼女を愛する限り、それは事実上不可能だ。彼女は、この世界の主人公という『設定』だから」







レナはクライヴの言葉を静かに聞いた。






彼女の冷徹な瞳には、一つの結論が浮かんでいた。







「ならば、私の演算が、アイリスの『法則』を凌駕するだけの力を生み出せばいい。私がもっと強くなって、戦う」







「待ってください、飛鳥先輩」






クライヴがレナの前に一歩踏み出した。






「僕の能力を、僕の『献身の法則』を、今こそ飛鳥先輩の演算で強化できないでしょうか? 貴女の盾となるために、僕は限界を超えたい」






ゼフィールは皮肉を交えながらも、その探究心は最高潮に達していた。







「面白い提案だ、愛犬。可能だ。そして、それは唯一の合理的で最速の解決策だ」







ゼフィールは、黒い空間を揺らめかせ、その場で自身の真の正体を明かした。







「私がこの世界にとってイレギュラーな存在である理由を教えてやろう。私は、君たちがいた世界で、『エタクロ』、このゲームの、世界の法則を設計した開発者の一人だった」






レナとクライヴは息を飲んだ。彼が持つ「法則外の知識」の根源が、今、明かされたのだ。







「私の魂は、本来、君たちが転生した『ゲームの法則』に組み込まれていない。私はこの世界のシステムのデータベースに存在しない。だから、私の魂は安定した肉体を得られず、法則から弾き出された『呪いの残滓』となった」







ゼフィールは憎悪を込めて続けた。






「あの女、愛理は、私の孤独につけ込み、この『法則外の力』を利用した。私を攻略対象ではないただのエネルギー源として喰らい尽くし、自身の『ヒロインの法則』を世界の法則を書き換えるほどの『呪い』に増幅させたのだ」







レナの目が光った。





(彼なら、この世界の法則の裏側の構造を知っている。彼の力は、世界のルールを上書きする鍵になる)






「分かったわ」





レナは即座に決断した。







「ゼフィール、あなたの協力を受け入れる。私の演算(世界の法則の書き換え)と、あなたのイレギュラーな力(システムの裏側)を、クライヴの『献身の法則(揺るぎない土台)』に融合させる。王都の法則、そして愛理の呪いを打ち破るため、クライヴを法則外の最強の騎士にするわ」







三者の力が一点に収束した。






レナの冷徹な演算、ゼフィールのシステムの知識と呪い、そしてクライヴの絶対的な愛(忠誠)。






ボルンラントの未来を賭けた、究極の能力融合計画が、今、始動した。




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