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第19章 【嫉妬の呪いの法則】「ユーリウスが消えた!?」〜ヒロインの法則の崩壊と、法則外の支配者の衝撃的な告白〜


クライヴの救出から数時間後。






王都ではエドワード王子が激昂していた。






「レナ・フォン・ヘルメス!あの女の領地を破滅させる!陛下がレナの力を欲しがっているだと?もうそんなことはどうでもいい!あの女は城壁を破壊し、私の可愛いアイリスに謝罪もなく、クライヴ騎士を奪い返した!許せん!」






王子は怒りで理性を失っていた。






その激怒こそが、アイリスの「呪いの法則」を強化する糧となっていた。







しかし、その裏で、アイリス自身は極度のパニックに陥っていた。





(ユーリウスが……消えた!? そんな、ありえない! あの最強の魔導士が、レナに敗北し、王都を離脱したなんて……! 私の『ヒロインの法則』が作り上げた最高の盾が、あのバグによって破壊されたの!?)






アイリスは、レナの力が自分の予想を遥かに超えていること、そして最も頼りにしていた理性の(ユーリウス)を失ったことに戦慄した。





ユーリウスは彼女の「ヒロインの法則」が生み出した最強の協力者であり、彼の離脱は彼女の支配的な演算の失敗を意味していた。







彼女は、か弱く瞳を潤ませながら王子の腕に抱きついた。





「レナ様もクライヴ様も、私にひどいことをするの。もういや……」




と甘え、王子の激しい保護欲を煽る。






アイリスの内心は恐怖と屈辱に満ちていたが、表面上は「王子の保護を必要とするか弱さ」を装った。





この「現実の恐怖」と「演技の矛盾」が、彼女の「嫉妬の呪い」を一層歪なものへと強化した。






皆が自分を愛せば愛すほど、アイリスの「ヒロインの法則」が生み出す「嫉妬の呪い」は、理性を失った力として強くなっていた。








領主館の研究室では、クライヴを交えた奇妙な三者会談が開かれていた。






クライヴはレナの隣に立ち、レナの体を護るように、警戒心を隠さずゼフィールを睨んでいた。





ゼフィールは嫌悪感を露わにしながらも、いやいやながらクライヴの同席を許可した。






レナは簡潔にクライヴへ告げた。







「佐伯君。アイリスは前世の藤井愛理よ」






クライヴは頷いた。






「アイリスが、僕にもそう言いました。そして、僕に異様な執着を見せていたことも。でも、僕は飛鳥先輩しか見ていませんでしたから」





クライヴはレナを見つめ、騎士の仮面を脱ぎ捨てた佐伯亮のデレた表情を隠そうともしない。






「君たちの私的な法則(ロマンス)を、私の神聖な時間に持ち込むな、と言っているだろう!」





ゼフィールが苛立ちから空間を歪ませるが、レナは意に介さない。







クライヴはレナに事情を説明した。






「愛理は、周囲に飛鳥先輩の悪口を言いふらしていた。そして、武史先輩が飛鳥先輩の才能に嫉妬していることを突き止め、彼を誘惑して飛鳥先輩から奪った。それが、僕たちの転生の引き金となったんです」






レナはクライヴの顔を見上げた。彼女の言葉は、感情ではなく、過去のトラウマを論理的に分類する知性に裏打ちされていた。






「そう。でも、今となっては良かったわ。あんな演算能力の低い男、はじめからどうでもよかったし。このことがあったから、私の演算に佐伯君が不可欠な変数だと知ることができたのだから」






クライヴは、レナの言葉に熱い視線を返した。





二人の視線が交差した瞬間、室内の空気は甘い熱を帯びた。








「ああ、愛という非合理な法則の具現化か。実に忌々しい!」







ゼフィールは苛立ちを露わにし、壁を蹴った。






「これ以上、その低次元な法則の証明を見せつけるな!」








ゼフィールは一転して、静かにレナを見据えた。






「君たちの不可欠な変数の法則は証明された。悔しいが、認めよう。君が私のものにならなかったのは残念だが、君が真の法則を見つけたことが、私には一つの救いだ」







ゼフィールは自らの胸を叩いた。






「君たちと同じく、私も転生者だ。前世では世界の法則(システム)を研究する優秀な理論物理学者だった。だが、転生後、誰も私の研究を理解してくれず、この世界でずっと孤独だった」









彼は、法則外の力を得る以前の、純粋な探究者だった頃の、痛ましい過去の記憶を語り始めた。







「そんな時、あの女、アイリスが私を攻略しようとしてきた。彼女は私の孤独につけこんだ。最初は拒否していたが、次第に『孤独なあなたを救えるのは私だけ』と言って甘い言葉で私に依存させていった……彼女は、私の知性ではなく、私の孤独を愛したのだ」






ゼフィールは、その記憶に顔を歪ませた。






「そして、私は気づいた。自分は『エタクロ』のキャラではない、イレギュラーだったと。あの女は、攻略対象ではない私の存在を利用し、自らの力を高めようとしていた。その結果、私はアイリスの嫉妬の呪いの法則に巻き込まれ、世界の法則外の存在となってしまったのだ」







ゼフィールの最大の目的。






それは、レナの法則と協力し、自分を弄び、世界を歪ませたアイリスの「呪いの法則」を完全に解析し、世界の真理を制御することだった。






彼の提案は、孤独な探究者としての、最後の演算だった。







「どうだ、孤独な女王よ。君は、君の法則(愛)を脅かす呪いの根源を、解析し、無効化する覚悟はあるか?」




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