17. 幼馴染に会おう
短いのでこの後もう一話投稿します。
「ラナ、見えてきたよ。あれがアリヤナクアの街だ」
「わ…!すごい、遠くから見ても、全然違うね!」
数日後、長い旅を終えて、恵麻とエストはついに、目的地であるアリヤナクアに到着した。
一歩踏み入れただけで分かる。
アリヤナクアは非常に発展した都市だった。
まず、大きさが違う。
これまでに寄った町は大きくても2,3日あれば見て回れそうな規模だったが、ここは賑わう中心地だけでもなかりの規模だ。商店も多く、恐らくこの商店街を見るだけでも1日以上かかるだろう。
次に、人が身に着けているものの質が良さそうだ。
お金持ちに見えるというわけではなくても、見るからに貧しそうな人はいない。これまで時々見てきた、ホームレスのような人も、パッと見た限りではいなそうだ。
そして、お屋敷のようなものがある。
これまでは民家は大きくても日本の一軒家くらいだったが、ここには明らかに、洋館に近いお屋敷がある。
きっと高級住宅地なのだろう。この国には貴族がいるらしいから、そういう人たちが住んでいるのかもしれない。
恵麻は猫の姿をしているのを良いことに、存分に辺りを見回した。猫に対して、「おのぼりさんだ」などと思う人はいまい。
道行く人は皆、明るい表情をしている。
家族連れ、若者同士のグループ、老夫婦に若いカップル。
皆思い思いに歩いており、これまで見たどの街よりも、明らかに栄えていた。
「なんていうか、すごいね。都市!って感じ」
「この街は公爵領の中でも中心地だからね。国でも有数の街だよ」
「そういえば公爵領だって言ってたもんね。私の住んでいた国は貴族制度が廃止されてたから馴染みがないけど、確か公爵ってすごい身分が上だよね?」
「うん。3代前の公爵様が当時の王弟殿下だったから、王家の傍系ということになるね」
「ほー…」
王様がすごいということくらい、恵麻にも分かる。
その弟なのだから、かなり高貴な血筋ということだ。
「さて、では、行こうか」
「どこに行くの?」
「私の友人に会いに」
「あ、そうか。それが目的だもんね。お友達はどこにいるか、わかるの?」
「うん、分かるよ」
そう言ってエストは街を走る乗り合い馬車に乗り込んだ。
この街だけでかなりの大きさなので、街の中を馬車が走っているのだ。
初体験の馬車に、恵麻は少々興奮した。
馬車は混み合っていたため、会話はせず大人しく猫のふりをすること半時。
徐々に他の人が馬車を降りていき、気付けば残るは恵麻達だけとなっていた。
「エスト、どこまで行くの?終点?」
「うん、次かな」
ちょうど馬車が止まり、エストはお礼を言って馬車を降りた。
先程の賑やかな中心街と比べ、静かな場所だ。商店のようなものはなく、しっかりと手入れされた道が続くのみ。
エストに連れられてしばらく歩くと、視線の先に大きな、とても大きなお屋敷が見えてきた。
「着いたよ」
「え…?」
「先触れが出せてないけれど、恐らく会えると思う」
「あの、エスト?」
「うん?」
「お友達って、何者…?」
恵麻が広大な敷地に建つお屋敷を見上げて震えていると、エストはキョトンとした顔で答えた。
「あれ、言ってなかったっけ?私の友人はダスティン・シス・オスロレニア公爵。この地の領主だよ」
「ひぇ…」
予想外の大物の登場に、恵麻は目を丸くした。




