ファックの産物
ある日の夜、中学生の頃からの友人である真由と、地元のバーにいた。真由とは地元は同じだけど、出身の中学は違う。私たちの出会いは彼女が3年、私が1年の時で、市内にある中学校が合同で開く吹奏楽の演奏会だった。
昼休憩の時、他校のブレザーを着た彼女は一人で弁当を食べていた。中学生にしては大人びていて、整った顔をした彼女は人を近寄らせないオーラを放っていて、吹奏楽部員独特の「好きな言葉は“一人はみんなの為、みんなは一人のため”です!」とでも言いだしそうな雰囲気と相反する彼女に私は一目惚れをした。そして、彼女の昼ごはんが終わるのを待って、私がナンパしたのだった。
そんなオーラを出した彼女が簡単に釣られたかって?そんな筈はない。最初はすごくうっとおしそうな顔をされた。だけど、
「私、あなたみたいな人好きなんです!気が向いたら連絡してくださいっ!」
っとメルアドを書いた紙を渡したらその日にメールが来た。
「あんた、酒飲めるの?」
と一言。それに対し、
「一応飲めます!あんまり飲んだことないけど、結構好きです。」
と返した。
それ以来、飲み友達としての交流が続いている。私が飲兵衛になったのも、生まれ持った体質はもとより、彼女の影響がかなりのウエイトを占めてるんじゃないかなあ。
「あなたみたいな人好きなんです!ってメアド渡された時は内心笑ったね。女に告白されちまったよ、って。」
と、彼女はジャックダニエルのロック片手に、静かに笑う。
「しょうがないじゃん。真由は私が好きなニオイを発してたんだから。それを告白して何が悪い。」
と、私はアブサンの水割りを飲みながら笑った。
数杯飲んだところで店の閉店時間になったのでチェックを済ませて店を出た。店から2、3歩歩いた所で
「あぁ、彩乃ちゃん!」
という声がかかり、こちらに向かってくる2人組の男たちが見えた。顔を見て、かなり前に酔った勢いでヤった男の友達だということが解ったけど、どっちの名前も思い出せない。
「あーあ、すっごい昔に排泄した汚物がこっちに向かって歩いて来やがったよ・・・」私は呟いた。
「ったく、彩乃はどうしようもねえ奴だな」と彼女は呆れたように言う。
近づいてきた負の産物たちが、
「よかったらこれから飲みに行かない?奢るよ。」
とはニタニタと下劣な笑みを浮かべていう。
「彩乃、濡れる?」
と真由が今までの付き合いで聞いたこともない位わざとらしい大声で私に聞く。私はニヤリとして
「濡れない。もうカラッカラ!」
と答えると、真由は男たちの方を向き
「ごめんねぇ、私たち、あんたたちみたいな祖チンじゃ濡れないんだ!あんたたちの顔、“僕は祖チンです”って顔に書いてあるから消しといた方がいいよ!」
と言う。男たちは唖然とした顔でこちらを見た。真由は勝ち誇った顔で男を見て、颯爽と歩きはじめた。私もニヤニヤしながらそれについていく。
私は真由のことが心底大好きだ。中一だった時の勘が見事に的を得ていたことを改めて感じた。
その後私たちは、ゲラゲラと笑いながら24時間営業している飲み屋に入り、私の奢りで空が明るくなるまで飲んだ。




