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小話  作者: 鈴神楽
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プロなんだろ?

プロってお金を貰っていたらプロなのでしょうか?

 小学生を使ったCM撮影。

 監督が子供達の真剣になりきれない態度に怒鳴る。

「こっちは、真剣にやってるんだ! お前らも真剣にやれ!」

 数人の女の子が泣き出す。

 それに怒り出す監督。

「やる気が無いなら止めちまえ!」

 その一言に数人の小学生が帰ってしまう。

 その日は、結局撮影が中止になってしまった。



「これだから、ガキなんて使いたくなかったんだよ!」

 酒を飲んであれる監督。

 その様子を見て、となりのサラリーマンが呆れた顔をする。

 それに気付き、監督が怒鳴る。

「何か言いたい事があるんだったら言いやがれ!」

 すると、そのくたびれた感じのサラリーマンが言う。

「聞いても貴方が気分を悪くするだけですよ。所詮他人なんだからお互いに気にしないことにしませんか?」

「ふざけるな! お前がそんな顔をするからいけないんだろう!」

 監督が怒鳴ると、それに対して、サラリーマンがあっさり頭を下げる。

「すいませんでした」

 監督は、舌打ちして、酒をガブ飲みする。



 次の日は、更に酷かった。

 どの小学生も、監督の剣幕におそれてまともな撮影にならなかったのだ。

 酒飲んで荒れる監督。

「奴等には、金を貰って仕事をしてるって自覚が無い! ふざけやがる!」

 それを聞いて偶然、また隣に座っていた昨日のサラリーマンが溜息を吐く。

 舌打ちして監督が言う。

「また、お前か!」

 慌ててサラリーマンが頭を下げる。

「すいません、すいません」

 苛立ちを堪え、監督が言う。

「はっきり言え、これ以上、不機嫌になりようが無い!」

 それを聞いて、サラリーマンが言う。

「私に言わせれば、貴方がプロとは、言えません」

 その言葉に驚く監督。

「何だって! 俺は、何時も良い物を作る為に真剣だぞ!」

 それに対して苦笑するサラリーマン。

「プロは、結果が伴ってこそプロ。貴方は、監督のプロとして、結果を出せていない。それは、詰り、プロ失格という事ですよね?」

「それは、しかし、奴等が真剣にならないからだ!」

 監督の反論にサラリーマンが言う。

「私の部下にも、どうにもならない新人がいます。戦力には、殆どなりませんが、それでも先輩と組ませて働かせて、成果を出させています。成果が出ないのを他人の所為にするのは、プロじゃないですよ」

 正論だが、監督が納得できなかった。

「それは、お前の仕事がどんな人間でも出来る事だからだ。俺の仕事は、一部の特別の才能が要求される事だ。今回の仕事は、小学生を使わないといけないという無理難題があったんだ!」

 それに対して、サラリーマンが言う。

「でも、金を貰ってその仕事を請けたのは、貴方ですよね? 一度受けた仕事が難しいと投げ出すのは、どうしてですか?」

 監督は、悔しそうに言う。

「小学生のガキがあんなに使い辛いとは、思わなかったからだ」

「それは、貴方の事前調査が不十分だったって事ですよね。詰り、貴方の職務怠慢です」

 サラリーマンの指摘に逆ギレする監督。

「だったら、どうすれば良かったんだ!」

 サラリーマンが淡々と答える。

「一番は、そんな仕事を請けない。次善では、自分の理想に合う小学生を集める段取りをつけるですかね」

 あっさり答えが返ってきたことに監督が戸惑う中、サラリーマンが言う。

「はっきり言えば、その小学生でまともなCMを撮る自信がないのなら、辞めるべきです。それも早急に。クライアントの損失を減らすベストな判断です」

「そんな事をしたら、違約金を払わされる!」

 監督の言葉にサラリーマンが頷く。

「当然でしょう、出来ないことを出来ると仕事を請けた貴方に非があったのですから。プロと言うのは、常にそういうリスクを背負う物です。もし、そんな覚悟も無かったとしたら、貴方は、プロじゃありません。どんなにいい作品を作っていてもアーティストであってプロフェッショナルでは、ないですね」

 鋭い言葉に監督が押し黙り、過去の自分の仕事を思い出す。

 サラリーマンが言う。

「別にアーティストを馬鹿にするつもりは、ありません。芸術家の作品を求める人も居ます。貴方は、その要望に答え行けばいいのですから」

 監督は、立ち上がり言う。

「俺は、プロだ! 受けた仕事をきっちりこなし、スポンサーを納得させる。独りよがりの芸術家には、ならない」

 そして、酒場を出て行く。



 次の日の撮影、監督は、小学生を集めた。

「お前達の気持ちを教えてくれ」

 最初は、おずおずと、その内、饒舌に夢や気持ちを話し出す小学生達。

 監督は、それらに正面から答え、この仕事の大変さ等を語った。

「俺も、力の限りやる。だから、自分の意思を籠めてやってくれ」

 その後も何度も失敗する小学生達。

 中には、やる気がうせる小学生も居るが、一度、外して、他の真剣の小学生の仕事を見せる。

 すると、自然とやる気を取り戻した。

 そして出来上がったCMは、その年のベストCMに選ばれる事になる。



 酒場であのサラリーマンを見つけて監督が苦笑いをする。

「結局の所、俺もプロじゃなかったって事だ。周りの人間が俺の不足していた事を助けてくれていたから成り立っていただけでな。俺もまだまだ半人前って事だよ」

「そんなの私も一緒です。今日も顧客のクレームを聞いてきた帰りですよ」

 苦笑いサラリーマン。

「お互い頑張りましょう」

「ええ」

 乾杯をする監督とサラリーマンであった。

朝のドキュメンタリーでプロの監督が中学生相手に、舞台の上がったら、中学生だとか、八日間しか稽古してないなんて関係ないなんてふざけた事をほざいてたのが気に入らないので書きました。

ってそういう事情も考慮して作品を作るのが監督の仕事だろって思ってますから。

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