ハッピーエンド
ハッピーエンドって誰の視線によってかで大違いですよね。
始まりは、ちょっとした国と国との行き違いだった。
反撃が反撃を呼び、最終的には、大国同士が核ミサイルを打ち合うことになった。
最後の瞬間、星の心を感じる力を持つ少女が告げる。
「これは、星の涙に気付かなかった人類への罰。大いなる悲しみを持った星は、きっと人類の滅びを願い、これは、その結果なのでしょう」
人類が放った核ミサイルは、地球上の生態系を完全に破壊し、微生物すら滅びに向かっていくのであった。
数千年後の会話。
「本当にありがとうございます」
子供の母親が感謝の言葉を送る。
「気にしないで下さい。私は、ただ運んできただけですから」
長い時をかけて旅する、旅人の謙遜に母親が慌てて言う。
「お前からも感謝をしなさい」
子供がすっかり他の兄弟と一緒になった体に嬉しそうにしながら。
「ありがとう、ハレー彗星のおじさん」
「冷凍保存された人類の遺伝子を偶々持っていただけだよ」
ハレー彗星の答えに子供、地球の母親、太陽が答える。
「本当に、生物って物は、困った存在ね。小さいくせに生存本能だけは高いんだから。子供の体の上を這い回るバイキンの癖に!」
「とにかく、駆逐用の人類と言う、自滅可能な存在の遺伝子を打ち込んで、治療終了したんだから良いじゃないか」
長男の水星の言葉に太陽が同意する。
「本当ね。生物全滅の特効法よね」
三男、地球の上から生物が一掃されて、幸せな太陽系一家であった。
星が泣いているなんて勝手な言い草を聞く度に考えていたお話し。
生命があふれている事が星にとって本当に幸せかどうか、なんて解らない。
だからこんな事を星が考えていてもおかしくないと思いませんか?




