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小話  作者: 鈴神楽
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三度目の正直

神様が起こした奇跡。

二度だけやり直せるとしたら貴方は、どういう選択肢を選びますか?

 一人の男が居た、その男は今危機的状況に居た。

 男は、崖の上で両手には妻と娘を掴んでいた。

 どちらかの手を外しもう一方の手に添えれば助ける事が出来るだろう。

 そんな時、男の脳裏に神の声が聞こえた。

「お前に二回だけやり直すチャンスをやろう。心の底からやり直したいと願えばやり直す事が出来る力を授ける」

 その言葉を男は只の心の迷いと決め付けた。

 そして男は、妻の手を離し娘を助けた。



 娘は大きくなり、好きな男性と一緒になり、男は一人寂しく暮していた。

 娘からは一緒に暮そうと言われているがどうしてもその気には成れなかった。

 そして妻の遺影を見てあの時の事を思い出して呟いた。

「もう一度あの時に戻れれば……」



 男はあの崖に戻っていた。

 そして手には死んだ筈の妻とまだ若い娘が居た。

 困惑しながらも男は、娘の手を離し妻を助けた。



 男とその妻の間には新しい娘が生まれ、幸せに暮していた。

 そして新しい娘が死んだ娘と同じ年になり、死んだ娘が着る筈だったドレスを着た時、男は思った。

「もう一度あの時に戻れれば……」



 男は三度あの崖に戻ってきて居た。

 そして手にはまだ若い妻と死んだ筈の娘が居た。

 男は両手に力を込めて引き上げようとした。

 しかし男失敗してそのまま三人とも転落し死んでしまった。



「神様、あの男はどちらが正しいか判断できなかったからしんだのですね?」

 天使の言葉に神は首を横に振る。

「あの男は一度でもどちらかを切り捨てる事を選んだ時にあの結末は決まっていた」

「でも二人とも助けようとして死んだんですよ?」

 天使の疑問に神は再び首を横に振る。

「一度目では駄目、二度目でも駄目、三度目にあれは二人を助ける事が出来たのだ。あの男が、どんな状況でも強く二人を助けようと思い続けられれば妻も娘も失わない未来を選べたのじゃよ」

 神は悲しそうな顔をして、新たな救いを求める者の所に向った。

意地悪問題とも思えるこの問いかけですが、私にとっては、これが正解だと確信します。

一度見棄てた人間をやり直せるからといって本当の意味で救うことは、出来ないと思いますから。

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