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小話  作者: 鈴神楽
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死神の懐中時計

動かない懐中時計。

それが動く時、それは?

 休日、私は書斎で動かない懐中時計を見つめる。

 文字盤に死神が描かれた、悪趣味とも思える懐中時計を。

 この懐中時計には一つの謂れがある。

 この何をやっても動かない懐中時計は持ち主が死ぬ前に動き出し、死神が振り上げた鎌の先にある十二時を示した時、その持ち主が死ぬと言う、正に死神が描かれた懐中時計としてはぴったりな謂れが。

 非科学的なそんな謂れだが、私はそれが実現するのを見た事が有る。

 私がまだ小学生の頃、この懐中時計の当時の持ち主である祖父の家に遊びに言った時だった。

 私は、祖父の書斎でこの懐中時計を見て、興味心からなんとか動かせないかとしっくはっくした。

 私の努力を嘲笑う様に懐中時計はピクリともしなかった。

 私が諦めきった時、それは突然動き出した。

 私は得意げに周りの大人に見せて回った。

 しかし大人は、謂れを知っていたのか、余り良い顔をしなかった。

 そして外出していた祖父にその時計を見せた時、それは起った。

 懐中時計を見た祖父の目が驚きに開きそして、そして突然倒れた。

 大人達が慌てて駆け寄って蘇生を試みたが、祖父は数分後息を引き取った。

 そして祖父が息を引き取る直前私は、懐中時計の針が十二時を指すのを見た。

 祖父の死因は、心臓麻痺だった。

 偶然なのか、それとも謂れを知っていた祖父が時計が動き出した事にショックを受けた為なのか判断は付かない。

 しかし、祖父が息を引き取るってからこの懐中時計は動いていない。

 私がそんな過去の事を思っていると、妻の呼ぶ声が聞こえた。

 妻の所に行き、簡単な用事をすませ帰って着たとき、書斎に息子が居た。

 そしてその手の中にはあの懐中時計があった。

「お父さん見て、この懐中時計動き出したんだよ」

 息子の言葉に私は天地が引っくり返る思いを受けながら懐中時計を奪い取る。

 そして懐中時計は私の手の中で確実に動いていた。

 これで決着が付くのであろうか、あの時が事が事故だったのかが?

 時計はもう直ぐ十二時を指そうとしていた。

結果を敢えて書かないホラーっぽい展開です。

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