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小話  作者: 鈴神楽
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パラドックスは、起こり得ない

パラドックスに対する学生の会話の話。

「パラドックスって何?」

 クラスメイトの集まりで女子の一人が尋ねた。

 元々は、男子が話していた漫画の話しに出てきたタイムパラドックスが気になったらしいが、男子逹が回答に困って居た。

 するとクラス委員長が答える。

「簡単に言えば矛盾の事よ。タイムパラドックスの有名な例で言うとタイムマシンを作った人間がタイムマシンを使って自分が産まれる前に親を殺したら、タイムマシンが作れなくなるから結局、親を殺しに行くことは、出来ないって事になるって話があるわ」

「変な話」

 質問した女子の反応にクラス委員長が頷く。

「パラドックスって言うのは、推論上のみで存在する概念ね。全能の神様は、何者でも持ち上げられない石を作れるかって設問もあるわ」

 それに男子の一人が手をあげる。

「全能の神様だったら、そんくらい出来るんじゃないか?」

 その答えにクラス委員長が言う。

「でもそうしたら、その全能の神様は、その石を持ち上がられないから、全能では、無くなるわよ」

 すると女子が言う。

「それじゃ、作れないんじゃない?」

 クラス委員長がその答えにも反論を告げる。

「そうしたら、何でも出来るはずなのに、出来ない事が出来てしまうわね」

 混乱を深めるクラスメイト達にクラス委員長が言う。

「だからあくまで推論上の概念。全能なんて言葉だけの存在の立証をしようなんて自体で無理があるの。因みにあたしは、こういったパラドックスの事を優柔不断な決断って言っているわ」

「何だよ、それ?」

 男子の問い掛けにクラス委員長が答える。

「矛盾の言葉の語源、どんな盾でも貫ける矛とどんな矛も防ぐ盾なんて物があるけど、これが良い例。最強の矛を売りたいと思いながら、最強の盾も売ろうと優柔不断な考えから商人が答えに困ってしまう。どちらかに優勢順位をつければ片方をもっと効率的に売れたのにね」

「なるほど」

 納得するクラスメイト達にクラス委員長が笑顔で告げる。

「因みに、来週から期末試験。ここで楽しみたいと思う欲望と良い成績を取りたいって欲望とは、両立しないパラドックスだって理解してる?」

 一気に寒くなるクラスメイト達を尻目にクラス委員長は、立ち上がって言う。

「あたしは、どちらも売れなくなる馬鹿な商人と同じになりたくないから、良い成績を取りたいって欲望に忠実に家に帰って勉強するけど、皆も中途半端だけは、止めなさいね」

 部屋を出て行くクラス委員長を見てため息を吐き、帰り支度を始めるクラスメイト達であった。

パラドックスに対する私なりの解釈です。

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