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第九話 「最深部への扉」

 シャドウウルフとの戦闘を終えた俺たちは、遺跡の奥へと進んでいた。


 ガルドを先頭に。


 ジンが後ろ。


 俺とバーツが中央を歩く。


 相変わらず薄暗い通路だった。


「しかし助かったな」


 ガルドが笑う。


「零が止めてくれなきゃ潰されてた」


「偶然ですよ」


「二回連続でか?」


「……」


 言い返せない。


---


 だがガルドは深く追及しなかった。


 代わりに肩を叩く。


「助かったのは事実だ」


「ありがとうございます」


 少し嬉しかった。


---


 しばらく歩く。


 すると脳内表示が出る。


---


【罠発動率:72%】


---


 またか。


「止まってください」


「ん?」


「この辺危ないです」


 ガルドたちが足を止める。


 次の瞬間。


 ガシャン!!


 壁から槍が飛び出した。


「うおっ!?」


 ジンが飛び退く。


「また当てたのか!?」


「なんなんだお前!」


 俺も知りたい。


---


 その時。


 ちらりと視界の端に映る。


 バーツ。


 なぜか彼だけが最初から槍の射線を避ける位置にいた。


「……?」


 気のせいだろうか。


---


 さらに奥へ進む。


 途中で休憩を挟んだ。


 ガルドが水を飲みながら言う。


「妙だな」


「何がです?」


 ジンが聞き返す。


「この遺跡だよ」


 ガルドは周囲を見る。


「罠が多すぎる」


「古代遺跡なんだから普通じゃないか?」


 バーツが言った。


 だがガルドは首を振る。


「いや、おかしい」


「?」


「罠が全部、俺たちが来るタイミングで動いてる気がする」


 その言葉に。


 一瞬だけ。


 バーツの表情が固まった。


 ほんの一瞬だった。


 俺しか気付かなかったかもしれない。


---


 やがて。


 大きな広間へ出る。


 そこには巨大な石扉があった。


「おお……」


 思わず声が漏れる。


 今までで一番大きい。


 高さ五メートルはある。


 中央には円形の窪み。


 見覚えがあった。


 魔鍵と同じ模様。


---


 その瞬間。


 胸ポケットが熱くなる。


「っ!」


 魔鍵だ。


 激しく脈打つ。


 そして。


 勝手に浮かび上がった。


「なっ!?」


 ガルドたちが驚く。


「なんでお前が鍵を持ってるんだ」


「拾った」


「説明になってねえ」


 俺もそう思う


 魔鍵は空中を漂いながら石扉へ近づく。


---


 カチリ。


---


 窪みに収まった。


 次の瞬間。


---


 ゴゴゴゴゴゴ……


---


 巨大な石扉が開き始める。


 長い年月閉ざされていた扉。


 その向こうから冷たい風が吹いた。


---


「開いたぞ……」


 ジンが呟く。


 全員が息を飲む。


---


 そして。


 扉の先にあったのは、


 巨大な神殿のような空間だった。


 中央には黒い石碑。


 天井は見えないほど高い。


 そして――


---


【危険率:95%】


---


 過去最高の数字。


 嫌な汗が流れる。


---


「なんだよ……ここ」


 俺が呟いたその時。


 ガルドの足元で、


 小さく何かが光った。


---


 バーツが後ろで、誰にも聞こえないほど小さな声で呟く。


「ようやく辿り着いたか……」


---


 だがその言葉は、


 誰にも聞かれなかった。


---


 神殿の奥。


 闇の中で。


 何か巨大なものがゆっくりと目を開いた。


――第十話へ続く。

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