幕間 二度目の絶望
――ねぇ? 絶望を視せられて楽しい?
「…………だ、れだ?」
キョウヤは見知らぬ暗闇の空間を浮遊していた。意識は混濁し、ここが夢なのか、現実なのか、判然とせずぼんやりとしている。先程まで自分が何をしていたのか、記憶が曖昧で思い出せない。
一つ分かる事は目の前の”――――”は異質で、異形で、恐怖の対象だということ。それなのにキョウヤには何の感情も沸かなかった。ただ無心で”――――”に問いかけた。
――質問に質問はよくないよ。くく、ただ私は寛大だから答えてあげる。私は”――――”
”そいつ”はキョウヤの問いに答えるが、名前にノイズが走って聞き取れなかった。
「……どう、して……ここは?」
――どうやら私の力はまだのようね。ここであなたと出会ったのもまだ早かった……。くく、それより私の質問に答えて? 絶望は楽しい?
“そいつ”の質問の意味が理解できず、ぼんやりと思考する。そして、首を左右に振って否定すると、”そいつ”は哄笑した。
――私は楽しい! あなたが何もできず壊れていく様を視るのは無様で、無力で、馬鹿らしく、それで楽しく、愛おしい。ねぇ? もっとあなたが絶望する顔を私に見せてちょうだい?
「いみが…………わ……ない。どう、して……おれに………そ、んな……ものを?」
混濁した意識では”そいつ”の言葉を理解するのが不可能。何を言っているのか分からず、視界がぼやけ始める。
――そろそろ時間切れのようね……
”そいつ”は残念そうな顔を浮かべているように思えた。
一体ここはどこで、キョウヤは一体誰と会話をしていたのか。
いや……キョウヤは……。
意識が浮上し、この暗闇の空間から徐々に離れていくキョウヤ。もう”そいつ”と会話をした記憶は消えて、謎の空間からいなくなる。
後に残されたのは”そいつ”のみ。
ニタアと口があれば三日月のように嗤っていただろう。
姿形が定かで無い”そいつ”は「くく」と愉快そうに嗤う。
――まだその時じゃ無い……。私が覚醒するのはもっと先……。それまで壊れないようにね? キョウヤ




