8. まだ1月 写真
やった〜やった〜レジ、レジ、焦らされた。またせたな。今日からレジ業務。やる気、元気、根気。
まずは、今いるレジスタッフへ挨拶だ。
統括から山野サンを紹介されて付いて歩く。この人からずーっとメインで教えてもらう事になる。あいさつ大事。
「登坂です。よろしくお願いします。」
「上着は脱いでください。レジは、カーディガンを着ます。」
はあ?先日届いた新品、返品か?
く〜クリーニングに出して、後日返却した。痛い出費だ。そして、カーディガンをもらう。薄い気がする。寒い。気合いだ。気合い。寒くないはず。連日マイナスだけど、
「レジの業務は多岐に渡ります。でもその前に、覚えておいて欲しいことがあるの、」
「ハイ」
「レジ係は女優って、覚えて。」
「えっ。もう一回言ってください。」
「もう、女優よ。わかった?」
うん?女優になってしまった。レジは女優。一番に教えられた。本当の話し。いつか、普通の人になる時は、引退だ。
次は、レジ周りを教えられた。
要はカゴ片付けだ。昨日までの、牛乳をケースで持ち上げる事考えると、軽い軽い。
後は拭き掃除とか、ゴミ捨てとか。
1月の後半になって来ると正月で散財したから?客が少ない。今が教育の狙いめか?
「事務所に行ってください。副店長が写真撮影をします。」
このスーパーはネームに写真があるのだ。打刻カードも写真付き。私も写真付きカードにグレードアップ。グレードアップの女。
あっ!‼化粧。マスクをしているから、半分しか化粧してない。いや、修正してくれるか?私はたくさんの従業員のネームを見たのだ。みんな、顔が違う。ちょっと若くて、かわいい顔で写っている。私の顔も修正してくれるだろう。副店長にたのもう。
「修正は出来ません。」
「な?なぜですか?」
副店長のネームを指差して、言いたいことを伝える。なるほど、普通にみなさん、お若いときのお写真で、今でもずーっと同じ写真で使いまわしか。私だけ47歳の顔はいやだ。
「化粧をさせてください。」
結果、化粧はした。顔ばかり気にしすぎて、頭に着けた三角巾が横にずれ、風に吹かれた頭の?ネームが出来あがった。マヌケな頭の女。毎日打刻カードを見るたび、心底修正してほしかった。女優を引退するまで、このカードと一緒に。明日も頑張ろ〜




