鉄腕ファルダード
******************************
:帝都手配手記参照――第二種手配「鉄腕ファルダード」について
鉄腕ファルダードは過去に多数の恐喝・傷害・詐欺の罪を犯した中々に大物な犯罪者である。最近になって刑期を終え、出所を果たした。
元々の手配区分としては“逸脱級”。出所後の区分としては“重警戒”対象である。これは「現在の素行に関わらず、過去に犯した罪の計画性・暴力性等を考慮して治安局による定期的な所在の確認を要する」というものだ。ただしこれに法的な拘束力は弱く、拒絶しようと思えば無理でもない。
ところが、意外とファルダードは治安局による定期の干渉を拒否せず、模範的とも言える態度で接しているらしい。感心したものだが、これは心を入れ替えた……というより後見人への信頼による“余裕”の可能性もある。
本来、ファルダードの服役はもっと長いものだった。それが真都のとある実業家による“保証”と“誠意”によって刑期短縮を成された経緯がある。現在、ファルダードはその実業家を後見人として、彼の家に勤めている。
真都の魔技師家庭に生まれたファルダードは十代の前半までをそこで過ごし、早々に独り立ちして帝都に移住した。少々悪癖があるものの腕は確かとされた父親から様々なものを受け継いだようで、実際に魔技師としての技量は評価が高い。ただし、これも受け継いだらしい悪癖に関しては父親の比ではない。
ファルダードは知人の手伝いを得つつ、自らの左腕/右腕/胸部一部/頸部一部/腹部半分程度/顔面の頬と額、それに脚部全体を機械に置き換えた。そこに至るまでいくらかの“代替治療”を他者に行うことで十分に予行練習していたらしく、この際の罪についても当然として加算されている。
練習の成果は抜群だったのだろう。彼は己が身体の機械化に成功し、常人を超えた耐久性や運動性能・怪力を備えた。半別号でもある“鉄腕”は、文字通り鋼と化した彼の両腕に関連して付けられたものである。
人間離れした格闘・運動能力と一線を容易く越えてしまう倫理観……これらの素質によって帝都の裏社会でも目立つ存在となったファルダードだが、若くして帝都守護の槍玉に挙げられることになる。
さすがの彼もヴァルキュア2人を同時に相手取るのは難しかったようで、少し抵抗しただけで封縛されたようだ。
10年以上の時を経て、鉄腕ファルダードは社会へと復帰。現在は資産家の子息護衛として真っ当に生きているとされる……が、その御曹司もまた不安要素ではある。
今後の彼が誠実な人生を歩めることを祈るばかりだ。
:参照終了
******************************




