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勇者連盟vs道具屋連合②

 ニョー!!豆腐屋のラッパのような音が俺の思考と小田爺の話を断ち切った。俺の結界が発する警報音。どうやらこの階に侵入者。地下30階に辿り着いた冒険者がいるようだ。

「おや、私目としたことが。ダンジョン内は一通り見回りながら進んだつもりでしたが、見逃してしまいましたな。それでは如月殿、失礼致しますじゃ。」

そう言って、小田爺は転送魔法を使って消えてしまった、と思ったらすぐに戻ってきた。

「警報音、ヘンテコな音ですな~。」

「はいはい、さっさと城へお戻り下さい。」

「では・・・」

マジックポイントの無駄使いだ。

 小田爺の話。まだ調整中とは言っていたが、穏やかではない。俺の経験から言って、小田爺の調査中はほとんど調査結果と同義だ。強力な武器や防具、また貴重な道具への需要が高まっている状況であれば、モノがあれば売れる状態であれば、アイテム探索専門の冒険者を雇うという考えは容易に理解できる。ルナを支払って、自店専属の勇者として契約し、アイテムの調達を依頼する。取引きに応じてくれる勇者がいて、店にルナの貯金があれば悪くないかと思う。だがしかし、あちらの首謀者はもう一つ先の企みを持っているということなのだろう。他店に納品させず、自分の店にだけ物を入れる。必然と客は自分の所にだけ流れる。薄笑いが止まらない計画だが、そんな愚策がうまくいくとは思えない。


 「いらっしゃいませ。万屋うどんこへようこそ。」

久し振りの接客で、恥ずかしながらちょっと緊張してしまった。万屋うどんこラストダンジョン支店最初のパーティーは人間4、モンスター4。モンスター仲間システムを作動させて初めてお目にかかる冒険者、その興味はどうしても元部下のモンスターに誘われてしまう。どのモンスターを選んだのか。どんな組み合わせか。人間のジョブは聖騎士、賢者、魔導士、拳闘士といった所か。訊いたわけではない、容姿だけで判断した。

 さて、仲間モンスターはというと、1体目『ゴーレム』。高いヒットポイントと守備力。壁役に最適のモンスターで、多くの勇者が仲間に引き入れるだろうと予想していた。魔法は使えず、スピードも極端に遅いのだが、盾の役割を担うには打ってつけの仲間。育成して損はない。

 2体目は『ホーリースライム』。回復魔法を得意とするスライムで、マジックポイントも豊富。回復役を任せて問題ないのだが、戦闘能力は低く、敵への大きなダメージは期待できない。そしてこの先、上位互換がいくらでも出現する。

 3体目は・・・おっ、『アイスドラゴン』か。地上で仲間にできる純血の竜族はこいつと毒属性の『グリーンドラゴン』の2種類。特技のアイスブレスによって、マジックポイントを消費することなく全体攻撃を仕掛けられるのは大きい。また竜族の名に恥じないヒットポイントや攻撃力など、基礎戦闘力も申し分ない。よって仲間にできる確率も低く設定したのだが、なかなかの強運と見える。火属性が弱点であるのはお約束だが、無限に全体攻撃を放てるというのは心強いはずだ。

 そして4体目が、ん、『ぽむりん』か。序盤に登場する、ふわふわしたお人形みたいなモンスターなのだが。もちろん強くない。レベルアップは早いが、だからと言って強くなるわけではない。多少回復魔法が使えて、装備で能力を補正すれば少しは、程度の戦力だ。かわいいからな、マスコット的な役割で仲間にしたのだろうが、近い内に別のモンスターと入れ替えるはずだ。

 「うわ・・・値段が・・・」

魔導士と思しき人物が思わず漏らした感想を訊き逃さなかった。そりゃ、1桁増えているからな。4人は各々、商品に添付された説明文を読みながら、何やら相談している。どれを購入するか決めているようで、手持ちのルナでは1つ買うのがやっとの様だ。

「封印の剣を1個ください。」

「かしこまりました。」

と、買い物は何事もなく終了した。

 「ラストダンジョンは地下100階まで続くと訊いたのですが、本当ですか?」

「ええ、地下100階まで続きます。」

「敵はどんどん強くなる?」

「はい、どんどんと。」

「この先もお店があるかって、分かりますか?」

「はい、この先は地下60階、90階にお店がございます。こことは比べ物にならないくらいに強力な武器や防具を扱っているそうです。」

「なるほど~・・・そうですか。どうもありがとう。」

そんな会話を終えると、一行は意思を固めたらしく、魔法の詠唱を始め、脱出の準備を開始した。このまま黙って返しても良かったのだが、せっかくのなので探りを入れてみることにした。

「本日は仕入れのお仕事ですか?」

「え?」

「最近は仕入れ目的のお客様が多くなっておりまして。」

「そんなに多いんですか?」

「はい。」

「先を越されたか―どこのチームだろう。うちではないよな・・・」

そんなことを呟きながら地上に戻っていった。安心しろ、お前さん達が最初だよ。もう何組かの勇者一行を見送ったら、地上の様子を見に行かなくてはなるまい。

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