勇者撲滅計画⑧
な~んて偉そうに語った直後にこう言うのもなんだが、客の求めているモノ、売れるモノが分かればこんなに楽な話はない。さらに付け加えると、今の俺にはほとんど関係ないが、販売期限や在庫管理などの対応は、例えば生物を扱うサタンズは頭を悩ませているかもしれない。
尖らせるとはすなわち、刺しやすいが折れやすいということ。換言すると、メリットを目立たせる代わりにデメリットも大きくなる。客が、デメリットを把握したうえでメリットの恩恵に魅力を感じれば購入に結び付く、というのが一応の理屈かな。
まず品揃えに選んだ武器は『封印の剣』、125,000ルナ。桁は間違っていない。十二万五千ルナだ。攻撃力は350。地上で入手できるどの武器よりも高い攻撃力を有するが、もちろんそれだけではない。覚えた魔法を剣に捧げることで攻撃力の上乗せが可能なのだ。上乗せ値はその魔法の消費MP分。要は、強力な魔法を封印するほどに剣の攻撃力が大きく上昇する。封印できる魔法は最大で5個まで。ただし、封印した魔法は使用不可能となる。武器が壊れれば魔法の封印が解けて使えるようになるが、装備を外したり捨てても魔法は復活しない。重要な留意点だ。
続いては『死霊の鎌』。攻撃力は660。装備可能なジョブは狂戦士と一部のモンスターだけで、使用者は限られてしまうが、隣の封印の剣と比べても攻撃力は相当に優秀。ただし、毎ターンヒットポイントが減少していく、最大値の10パーセントずつ。結構えげつない・・・
どうにかこうにか武器、防具、道具を品揃えして、改めて万事屋うどんこを開業した。誰が何と言おうと魔王は俺だ。俺が何をしようと文句は言わせない。勇者一行をサポートし、攻略の手助けを使用とも。
小田爺にも話していないが、プレゼン以外の変更点も着々と進行している。
ひとつ。モンスター専用の装備品を作ること。アイテム合成で勝手の良さそうなモノが出来上がったらこっちに回すつもりだ。人間では装備できない、モンスター専用アイテム。
ふたつ。パーティーメンバーの構成を変更可能にする。これまでは人間4プラスモンスター4だったが、勇者1を固定として、残りの7枠をフリーに入れ替えできるようにする。変わらず4+4でもいいし、勇者1とモンスター7だって構わない。仲間モンスターにはそれだけ秀逸な逸材を、人間と比較しても見劣りしない能力を備えさせてある。
俺は知らなかった。俺の計画と対をなすそれが同時に進められていたことを。勇者撲滅計画。
【勇者撲滅計画 終】




