独りじゃない⑦
1日の仕事を終え、今日は宿へ直帰。シャワーを浴びて、美味しい夕食をたらふく頂いて、蓑口さんに挨拶をしてから部屋に戻る。さて・・・と。ベッドに横になりながら奇妙な履歴書を見比べた。
人物1。リーノ。男。30歳。接客2、勤務日数3、勤務時間5、勤務能力5。どうやら数字の最大値は7。日数の単位は3日/週、時間の単位は5hour/日のようだ。一方で接客と勤務能力は評価者によるものだろうか。まさか自己申告ということはあるまいて。それと、なになに・・・特記1が5で、特記2がマックスの7。レーダーチャートの下には『注』とあり、特記1と特記2の説明書きかな、内容が記されていた。特記1、深夜勤務可能。時間帯は22時から6時の間とあったが、24時間営業ではないウチの店には関係ない。続いて特記2、酒耐性・・・?ざる(・・)ということだろうか。え~と、水の様に、浴びる様にが信条。酒飲み仲間多数とあった。・・・・・・特記2はいらないだろう。よっぽどアピールポイントが見当たらないか、ウケ狙いか。ただ、プラス要素ではないよな、働く上で。
人物2。ラビ。女。17歳。接客6、勤務日数6、勤務時間6、勤務能力2。特記1が7で、特記2が1。随分と極端な評価だなと下の注釈に目を移すと、特記1の内容が愛嬌で、特記2は算数。
安定感の欠片もないレーダーチャート。人間、良い所と悪い所があると後者ばかりに目がいってしまうもの。この子だって短所ばかりではない。沢山働けて接客上手でむちゃくちゃ愛嬌があって、写真を見る限りは可愛らしいショートカットのボーイッシュな女の子だ。ただちょっとおバカという理解で合っているのだろうか。
人物3。コト。女。71歳。んっ!?うちの婆さんと同い年か。元気だな~。接客7、勤務日数5、勤務時間3、勤務能力2。特記1が7で、特記2が1。またなんか極端だな。バランスのとれたアルバイトはいないのだろうか。普通というか平均的というか。そういう面では最初のリーノという人物が適任なのかな。コトさんに戻ろう。えっと・・・特記1は朝に強く早起きが苦にならない。特記2は腰痛アリ、重い物は持てません。なんだか頭が痛くなってきたのでそのまま休むことにした。どっと疲れが出てきた気がする。待っていれば履歴書は追加されるのだろうか。本当に面接なしで採用を決めるのか。駄目だと思ったら辞めさせられるのか。根本的に雇って平気な、信用の置ける人達なのだろうか。
翌朝、運び屋に幾つかの質問をしてみたが、解決策や新しい発見、期待した答えは返ってこなかった。そうであれば、決めていた人物を発注するのみ。
「かしこまりました。そうしましたら明日、ラビさんをお連れしますね~。」
バビューン!3名共に一長一短あるように読み取れた。ラビという人物を選んだ理由は何かと問われると困ってしまうが、勤務日数が6日、勤務時間も6時間と沢山働いてもらえる、という点だろうか。勇者政樹の情報獲得まで、もう一歩。




