緊急事態 四
いや〜順調。そして、楽。
何たって、俺さっきから何もしてない。ルカ、サモン、ライトの働きにより、俺暇だわー。
これはニートの始まり!少年、少女の楽しいヒモ生活の始まり。なんか本当になりそうで怖い。
いくらスライムを虐殺したりしていても、そこまでの屑じゃない。あれ?結構屑じゃね?
にしても、ゴブさんお疲れ様です。登場した瞬間に、ライトの剣で切られる、又サモンの召喚したウルフに掻かれ死亡。
俺だったら即逃げるね。バカの九官鳥みたいに休みなく働いている。まじ笑笑。
なんか危機的な事態に陥らないかなぁと思っている。
すると、帽子を被ったゴブリンが出てきた。呪文らしきものを唱えている。
(ゴギャ、ゴギャ、ファイヤ)
そう言えば、ゴブリンの進化した、上位版は魔法が使えたりするらしい。そんな事を、本で読んだなぁと思い、警告する。
「ゴブリンマジシャンが来たぞ!」
この言葉を伝えた瞬間、火の玉が、ゴブリンマジシャンの手から放たれる。すぐさまライトが、皆に指示を出す。
(散開)
この言葉に皆が直ぐに反応する。ライトは、ゴブリンマジシャンに特攻しながら、叫ぶ。
(皆は他のゴブリンを宜しく)
サモンはクールな感じで言う。
(了解)
ルカは、少し心配そうに言う。
(わかりました。気をつけて)
それぞれに個性があっていいなぁ。
現在、ゴブリンマジシャンの首がライトによって跳ねられた。魔法士が、前衛無しで魔法を打つ。これは自殺行為だろう。
もしかしたら、一発で決めるつもりだったのかもしれない。
一時間経過。
最初の頃の動きより軽やかさが消えてきている。やはり人間だから、疲れやすいのだろう。
俺は木の葉だから、実際寝たりしなくてもいいけど、人間の頃の記憶があるため、寝てしまう、暗示効果的なものが働いているんだろう。
つまり、俺は木の葉のため、疲れを感じない可能性がある。完璧なパフォーマンスを保ったまま、戦える。便利だ。
あれから、何体もの上位版が現れ、剣を巧みに操る、槍、斧などで、十二体ほど現れた。
しかし、少し危なげな所も、有ったが、問題無く倒していた。
やはり、タンク、攻撃を止める、パーティーの盾を持つ人が必要だろう。そんな人が、見つかるかは不明だが。
逆に、ヒーラーは強い。少しの傷は、ルカの回復魔法で治るため、パフォーマンスが落ちることはない。
地味に、ライトがいい働きをしている。パーティーの邪魔にならず、ゴブリンを五体以上と交戦しないようにしている。
偶に影魔法を使っているが、使い方が上手で、ゴブリンの横を通る時、する違いざまに影魔法による短剣を作り、首を撫でるように切る。
あれ?暗殺者じゃね。俺の首も切られるかもと思った。水が流れる、滑らかな動きのように、自然な感じで切っていってる。
影魔法が、将来俺の闇魔法を超えられないよう練習しようと、心に決めた。
ゴブリンの叫びにも慣れ、まるで家にいるかのような安心感で、シャルムと話し始める。
「やっぱさ、この剣かっこよくない」
(確か、魔剣と言ってたかな?)
「そうそう、名前は吸魂剣。誰が付けたか分からんが、ネーミングセンス有るなー」
(妾の名前にもネーミングセンスがあるんじゃよ)
「え!そうなの」
(お主だって、ダークリーフ、闇魔法を持つ、葉っぱだからそう言う名前にしたんじゃろ。我が名シャルムは魅力、魅惑、女性の色気があるから、こういう名前なんじゃ)
たしかに、シャルムを最初見た時、視線が釘付けで、この世の女神より美しいと思った。容姿、身体、髪全てが美しい。
改めて見ると、自然と意識してしまう。一度告白しようと思った時のことを思い出し、顔が赤くなる。直視できん。
(おーい、どうした?ふ、ふ、ふ我が魔の魅力に)
「う、うるさい」
この話はしない事を心に決めた。にしても、平和。ゴブリンの群れが、半分以下となったころ、遂にゴブリンキングが姿を現した。
ゴブリンキングの危険度はB+、群れだからAなのだが、鑑定結果は驚きで声が出ない。
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レベル85 名前 ゴブリンキング
種族 ゴブリンキング
役職 王
HP 350000/350000
MP 10000/10000
攻撃力 5800
防御力 38000
素早さ 1500
器用さ 1500
知能. 1800
魔法 咆哮 レベルMax
スキル 指揮 レベルMax 威圧 レベルMax
頑丈 レベルMax
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レベル26 名前 ダークリーフ
種族 闇葉
役職 闇勇者 Extra
効果 称号勇者の効果を消滅する
闇魔法の獲得
習得熟練度量の上昇
レベルアップ時のステータス向上
HP 23000/23000
MP 50000/50000
攻撃力 2650
防御力 1550
素早さ 1950
器用さ 2500
知能. 4500
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これまでの戦闘で、ステータスは少しずつ上がっていたのに、この差。
見た瞬間、慄然とし、目を見開いた。なんだこの生物は。HP、防御力がいかれているだろう。俺は恐怖を感じ、信頼して、好きな人に聞く。
「シャルム、あいつは倒せるのか?」
(勿論。主人なら、鈍間なゴブリンキング如き倒せるに決まっている。まあ、彼奴らだけなら、死ぬがな)
俺の信頼するパートナーが言うのなら、そうなんだろう。
俺は、自分自身を勇気付け、覚悟を決める。
「ルカ、サモン、ライト撤退!」
ルカは元気に言う。
(ハイ)
サモンは、弱々しく言う。
(分かりました)
ライトは、軍に所属しているかのように言う。(了解)
俺が負けたら、俺の家族も殺される。この事を胸に刻み、シャルムに合図する。
「共戦宜しく」
(ふ、勿論だ。我に任しておけ)
強大な敵に、俺は立ち向かう。
「ほーれ、挨拶だ」
挨拶がわりにウィンドスラッシュ。
はっはっは、これが俺の冒険だ。
圧倒的強者、ゴブリンキング。それに対して、どう立ち回って行くのか。是非お楽しみに




