緊急事態 五
「うぉっ」
目の前に来た大きい腕を避け、すれ違いざまに吸魂剣で撫でるような感覚で切る。
すると、あら不思議。腕を簡単に斬れた。
(う、うゴー)
ゴブリンキングの呻き声。デカイだけの雑魚なのかな?
すると、シャルムがゴブリンキングに追撃し、腹を殴る。
(おりゃ)
(グチャ)
おいおい、今嫌な音がしたぞ。ゴブリンキングは大丈夫かと、敵の心配をしてしまった。
すると怒ったのか、咆哮をしてきた。
(グガー)
とても大きな声で、人間だったら耳が痛くなるだろうが、俺は特に変化なし。動きに変化もないし、何か意味があるのだろうか?
「なぁシャルム、なんか意味あるの?」
(咆哮は、使用者より下位のレベルなどには通用する)
俺は、ゴブリンキングよりも下位のレベルなんだか、闇勇者補正が働いているのか。ラッキーだなぁ。
にしてもなんか、かわいそうな気がしてくる。
俺たちに何も被害を与えられず、このまま命を落とそうとしているなんて。だが俺は無慈悲にも首をはねようとする。
魔物に慈悲は与えない。
「さぁ終わりにしようか!」
この言葉を言った瞬間、ゴブリンキングは魔力を纏いだし、急激な身体能力向上を果たした。
一瞬の間に、俺の前に現れ殴りに来る。巨体にもかかわらず何と言う身体能力、俺は驚き、危機感を抱いた。
まさかこれまでは油断していただけだったのか。
そのような考えに至ったが、今になっては仕方がない。俺も闇魔法で体内に黒いモヤを生成、それによる闇合成による身体強化、魔力による身体強化。つまりダブルで強化し、攻撃を避ける。
俺の真骨頂は、風魔法だ。風を自分にまとわせ、高速で動く。
確かにゴブリンキングは魔力をまとったことで強くはなったが、所詮その程度である。
横目でシャルムを見ると、シャルムも高速で動いていた。
「死ねー」
(無駄、無駄)
二人とも、野蛮な言葉使い。子供達に見せていけない姿である。
俺は、剣に先程から尋常じゃないほど魔力を込めている。何故なら、どんどんブラックホールのように吸収してくるからだ。
俺は、これ以上魔力を吸収できないと思ったため、これまで貯めた魔力を全て解き放つ。
すると、目の前に黒い、漆黒の、闇が現れ、すべてをなぎ払った。
(ドギャン)
周りの廃墟は、吹き飛び、周りで様子を見ていたゴブリン共は、消滅した。
「南無」
なんか可哀想なことをしたなぁと、感慨深く感じている。
すると、シャルムが、呆れたように言ってくる。 (やり過ぎだろ)
そんな意見に俺はすかさずに言う。
「知らなかった」
素晴らしい反論である。高校生が、自身のやったことを知らなかったで、済ます。責任どこ行ったー。
ゴブリンキングを倒した。ハッピーエンド。以上でいいじゃないか。
にしても、ドロップアイテムが、魔石、ゴブリンキングの皮、肉、指輪、王冠。鑑定を発動。
ゴブリンキングの魔石……ランクA
ゴブリンキングの皮……ランクA
ゴブリンキングの肉……ランクA
王の指輪……ランクA
効果 ……魔法の威力増大
王の王冠……ランクA
効果……スキル威圧の習得
スキル威圧は、王の王冠を最後に被った人に習得される。
ランクAの魔物からは、ランクAの素材、又はアイテムが落ちることを知った。
そして、色々突っ込みどころがある。まず、王の指輪。効果は絶大。
しかし、ゴブリンキングは魔法使ったの一回。咆哮だけ。無意味な装備だなー。
次に王の王冠。名前は王冠だけで良くねー。
まさか、王の中の王、つまり王のトップとか言いたいのだろうか。あのゴブリンキングが。それだったら爆笑である。
「シャルム、この装備は、いい方?」
(まぁ、普通一個しかアイテムは落ちないから、二個はいい方じゃ)
ラッキーだなー。皆のレベル上げ、そして装備品の入手。アァ嬉しい。
(ピロン。武器吸魂剣のランクが上がりました)
急に機械音。
レベルアップの時の機械音とはちょっと違う。少し、音が大きい。まぁそんなことを考えながら、鑑定。
吸魂剣……ランクA
スキル
堕剣……斬りつけた相手のステータスの一部を自身のステータスに加算。唯、効果は斬りつけてから、一時間以内。
new王の配下……斬りつけた相手が、魔法抵抗力が自身と比較し、百倍低かった場合、奴隷とする。
まず驚くことは、剣のランクがAとなったこと。流石、自動進化型の剣だ。
ゴブリンキングを倒してから、進化したことから、魔物のランクによるものか疑問に思う。
そして、堕剣は元からあったが、新しく王の配下というスキルを手に入れた。
なんか、直接的な戦闘力ではないが、まぁ役に立つだろう。
ゴブリンキング戦闘前のMPは50000のため、MP500以下の場合隷属可能。
これからもっとMPも上がるし、魔法師以外の前衛は、MPの量は少ないため、かなり使えそう。
そして、隷属の限界がないため、戦争などでは、有力なスキルだが、今のところその予定はない。
戦闘音が終わったのに、何も返事がないからか、ルカ、サモン、ライトが警戒しながら歩いてくる。
そのため、大きな声で、呼びかける。
「おーい。終わったぞー」
ルカが、真っ先に走ってきて、俺の胸に飛び込んでくる。
(お兄様ー。心配しました、怪我はありませんか?)
おれは、反射的にハグをし、恥ずかしさを隠しながら言う。
「それは、今一番触っている、ルカなら分かるだろう」
なんか変態なことを言っている気分になるが気のせいだろう。
(無事で、良かったです)
そんな言葉に、これから絶対にルカを残して、死ねないと思った。たわいの無い話をしていると、
シャルムが強引に仲を裂こうとする。
(おい、離れるのじゃ。妾の特等席だぞ)
(私とお兄様の関係は特別なんです)
(わ、妾だってダークと、か、かぁ、家族っだし!)
(私の方が、可愛がってもらってますー)
(このガキが、年長者を敬わんかい)
(え?その胸で)
(このヤロー)
可愛い、二人の少女の取っ組み合い。目の保養になる。眼福です。
そんなことが起きてる中、ライトが近づいてきて、労いの言葉を言う。
(ダーク様、お疲れ様です)
それに続き、サモンも行ってくる。
(お疲れ様です)
「そっちも、大変だったな。でも、かなり強くなったんじゃないか」
(たしかに強くなりましたが、ダーク様程では。影魔法をもっと練習しようと思います)
(私は、Cランクの魔物の召喚に力を入れようと思います)
「そっか、頑張れ」
緊急事態を完璧に対処し、強大な力を手に入れた。
しかし未だ災いは起っていない
ゴブリンキングを倒してレベルも上がったのに、なぜステータスを出さないと思った方。次話は、驚くべきステータスになっているでしょう。
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