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異世界王道冒険譚  作者: 雪野ツバメ
第二章 冒険者と仲間
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93.夜に駆ける

久しぶりの戦いが……?

 <ティアリス・リン>

 シュウとビアンゼが食堂を飛び出していって、食堂は静かになった。

「リンさん。

 まず解毒を進めていきましょう」

 ティアリスがテーブルの上の解毒ポーションを手に取ってリンに振り返る。

 声をかけられたリンはクランの手を握って俯いて震えている。

「リンさん」

 ティアリスはリンの隣に行き、肩を揺すって呼びかける。

 しかし、リンからの反応は返ってこない。

 クランの様子を見ると、止血したことで出血が少なくなったので容態は安定しているように見えるが、毒と呪いがまだかかったままなので、時折呻き声を上げている。

 シュウが帰って来る前に少しずつでも解毒を進めておきたい。

 出血量もあるが体内の毒によって徐々に生命力が削られていってしまう。

 リンに解毒ポーションをかけていってもらい、その横で治癒ポーションを使って傷口からの出血を抑えていきたい。

 それにはリンの協力がないと、一人では効率が落ちてしまう。

「リンさん!

 聞こえてますか?

 リンさん?」

 肩を揺すられるリンは嫌々と首を振る。

 何も聞きたくないと言うように。

「リンさん!

 どうか手伝ってください!

 クランさんを助けたいでしょう?」

 リンさん!」

 ティアリスはリンの両肩を掴みぐいっ体をティアリスに向かせる。

 両手でリンの両頬を優しく掴み、リンの目を見て囁きかける。

「リンさん。

 クランさんを助けられるのはあなたですよ。

 しっかりしましょう。

 まだ助けられます。

 ね?」

 ティアリスが優しく囁いて行くうちに覗き込んでいたリンの目の焦点が合ってくる。

「あ、えっえとえと。

 もう、だ、大丈夫です」

 完全にリンと目が合うとリンの顔が真っ赤になって、今度は慌てだした。

「もう大丈夫そうね。

 急いでクランさんを助けてあげましょう」

「はい!」

 ティアリスは治癒ポーションを用意しながら、

(こっちは大丈夫。

 でも、急いでシュウさん)

 二階に駆けるシュウの方へ視線を送る。


 <シュウ>

 食堂を飛び出したシュウは気配察知に集中しながら、自身の足音も殺しつつ階段を目指した。

 二階の気配が生まれたのはクランとリンの部屋。

 侵入者は十中八九襲撃者たちの仲間なので、気絶した仲間を復活させて連れて逃げるか再度こちらを襲ってくるだろう。

(いや、目的が他の物なら……)

 シュウは音を立てないように慎重に階段を駆け上がる。

 気配の位置がクランの部屋からティアリスの部屋に移ったように感じる。

 階段から二階の廊下に差し掛かるところで壁に背を付けて止まる。

 気配がティアリスの部屋からも移動したからだ。

 相手も足音を殺して移動するスキルを使用しているのだろう。

 耳を澄ませても床の軋みすら聞こえない。

 気配察知で微かに感じ取れるだけで相手が男か女かもわからない。

 スキル上級者になれば男女から装備から剣士か魔術師かも判別できる。

 まあ、今のシュウがそこまで細かく判別できるほどスキルを使いこなせるかと言われれば、答えは否だが……。

 そもそも、シュウは人相手に本気で気配察知を使用する機会が今までなかった。

 

 侵入者はティアリスの部屋から奥には向かっていない。

 こちらに近づいてくるにつれて壁に張り付くシュウの緊張が高まる。

 だが、侵入者はこちらに来ずに途中の部屋に音も無く扉を開けて入った。

 シュウの部屋だ。

 中には縛られた状態の襲撃者がいるはず……。

 そういえば、侵入者は一人しか察知できなかった。

 ティアリスの部屋で気絶していた襲撃者は窓から先に逃げているのかもしれない。

 クランの部屋の襲撃者はすでに逃げているので外で合流している可能性がある。

 シュウは今まで以上に慎重に自分の部屋の前まで移動する。

 中では拘束していた襲撃者が解放されたのか気配が増えている。

 そして、増えた気配は先に窓の方へ近寄り逃げ出していった。

(ここ普通に二階なんだけどな……)

 二階の窓から逃げると言う事は飛び降りていると言う事で。

 地球では飛び降りるのに勇気がいる高さである。

 さすが異世界だな。と、感心している場合ではなく中に残っている一人が逃げるのを待つか突入するか決めなければならない。

 ……。

 一瞬の思考の後に、意を決して扉を開けて突入する。


 突然開いた扉に驚いた様子の侵入者。

 開いた扉の前に立っているシュウと目が合うが否や、部屋の中央に走り出した。

 そのままテーブルの上に手を伸ばす。

 シュウは密かにポーチに回していた手を引き抜き、侵入者に向けて振るう。


 カッ!


 テーブルにシュウが放った小さな投げナイフが突き立つ。

 投げナイフはテーブルに伸ばされた侵入者の手を掠めただけだ。

 侵入者はナイフに再度驚いたようだが、それも一瞬でテーブルから離れて窓に駆け寄って躊躇わずに身を躍らせる。

 シュウは走って窓側の壁に背を付けて慎重に窓から顔を覗かせて、逃げた侵入者の姿を探すが闇夜に溶け込んだ姿を見つけることはできなかった。

 シュウは部屋の中に視線を戻す。

 襲撃者を拘束していたロープは刃物で切られたようだ。

 その場にロープだけが残っている。

 他にシュウの持ち物で荒らされた物は……。

 錬金術の器具、壁に駆けられた衣服、元々部屋に出したままの物が少ないのでなくなった物はない。


 ただ、テーブルの上に置いていた短剣だけが無くなっていた。


 シュウの投げたナイフが手を掠めても短剣を掴むのをシュウは見ていた。

 テーブルに突き立ったままの投げナイフを引き抜く。

 微かに血が付いているが致命傷には程遠い。

 クランが受けた傷のように浅いものだが、このナイフにはもちろん毒は仕込んでなどいない。

(くっそ、逃げられたか。

 だけど、目的もなんとなくわかった。

 とりあえず、錬金術の器具を持って下に降りるか……)

 シュウは投げナイフを布で包んでから魔法鞄に仕舞うと、錬金術の器具も魔法鞄に入れて急いで部屋を後にした。

前回未来の私に誰だ託したのは

もっと頑張れよ!

ヒスイ地方で冒険したいんだよ!


ここまで読んで頂きありがとうございます

皆様の空いた時間を埋めるお手伝いができていれば幸いです

それではまた~


また某ウィルスが流行しだしているので

お気を付けてお過ごしください

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