表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界王道冒険譚  作者: 雪野ツバメ
第二章 冒険者と仲間
92/303

89.長い夜の始まり4

今回こそ戦闘がっ!

 シュウが勢いよく扉を開けると向こう側にいた人物に当たってしまったようだ。

「あれ?」

 シュウは感じ取っていた気配が扉に当たらない距離に来たところで開けたつもりだった。

 しかし、開いた扉の先には扉が当たったであろう頭を両手で押さえて(うずくま)る人影が見える。

「あれえ、お兄さんたちじゃん!」

 蹲る人影の向こう側から声が聞こえる。

 灯りの無い廊下の暗闇から近づいてきたのはリームだった。

「あれ?

 リームちゃん?

 って、ことは……?」

 シュウは少し集中して、

「ライト」

 灯りを灯す魔術を使う。

 シュウの周りを中心に明るくなった。

 そして、扉の敷居を挟んだ向こうにホッとしたような顔のリームとその前に蹲る女性。

 そう、ビアンゼがいた。


「アイタタタタ」

 全員が食堂に入り、一つのテーブルを囲んでいた。

 ビアンゼはまだ涙目で頭を押さえて唸っている。

「あの、本当にすみません!」

 シュウは先程から頭を下げて謝ることを繰り返していた。

「いえいえ。

 いいのよ。

 緊急事態でお互い慌てていたのだし。

 私も気配を確認しながら来てて、何人かの気配が食堂にいることがわかっていたけど、扉の前じゃなかったから油断してたわ」

 頭を擦りながらビアンゼが話す。

「僕も扉の向こうの気配がまだ距離があると思って開けたのですが……」

 シュウが感じ取っていた気配はリームのもので、その前にいたビアンゼに気付いていなかったようだ。

「お兄さんは私の事感じてくれてたんだね」

 リームがなぜかモジモジしながら器用に上目遣いでシュウを見てくる。

「ハァ……。

 どこでこんなことを覚えてくるんだろうね」

 ビアンゼが別の意味で頭を抱えながら呟く。

 シュウは黙って両隣に座っている女性陣からの針を刺すような冷たい視線に困惑していた。

「それにしても、聞いてた以上に気配を消すのが上手ね」

 手は頭に残したままビアンゼがシュウに視線を向けてくる。

「え?

 いえ、ルーツさんの教え方が上手なんですよ。

 足運びから身体の動かし方まで丁寧に教えてくれました」

 シュウの気配の消し方と察知の方法はルーツから教わったものだ。

 最近は自分なりにより足音や気配が消せるように工夫も試している。

「さすがルーツさんだ。

 でもシュウ君は自分でいろいろ試してるんじゃない?

 例えば、ルーツさんに気取られないようにみたいな感じで」

「え?

 なんでわかるんですか!?」

「私も駆け出しの冒険者だった頃にルーツさんに教えてもらってたんだ」

「ビアンゼさんもルーツさんに!?」

「そうさ。

 だから、大元がルーツさんの気配察知術でそこからルーツさんに気取られないような工夫をした気配消去術だったからお互いに感知できなかったんだろうね」

 ビアンゼがシュウとお互いが気配を感知できなかった理由を説明してくれた。

「僕もですが、ビアンゼさんもルーツさんに気取られないように?」

 説明の中で気になったことを質問してみた。

「あー……」

 ビアンゼが少し体の動きを止めた気がする。

「私の場合は、教わった後の冒険の中で自然と磨かれたと言ったほうがいいかもしれないわね。

 ルーツさんよりも気配の察知と消去のすごい人もいたしね。

 ふふふ」

 ビアンゼが遠い目をしながら乾いた笑いを浮かべている。

 これは聞いてはいけないやつだ……。

「それにしても、現役を引退したからってこんなに鈍ってるとは思わなかったわ」

 ビアンゼが頭を擦るのを再開しながら溜息を付いた。

「本当にすみません。

 思い切り扉開けてしまって……」

 再度テーブルに擦り付ける程に頭を下げる。

「お兄さん。

 女の人を傷つけたらセキニンを取らないとイケないんだよ?」

 リームが再度年齢にそぐわないことを言い出した。

 不意に左右からの視線を感じ、頭を上げれなくなる。

(なんだ!?このプレッシャーは!?)

「ちょっと、おいおい!?

 本当にこの子はどこで覚えてきたんだい!?」

 ビアンゼも顔を赤くして、リームの口を塞ぐ。

「むぐむぐ……。

 プハーッ。

 色街のお姉さんが教えてくれたよ」

(子供に何てこと教えてんのーーー!?)

 ビアンゼの手から逃れてリームが答える。

「い、色街ってそんな所になにしに行くの」

 恐る恐る聞くと、

「友達とお手伝いに行くの」

「この子たちはたまに街を回って冒険者ギルドの住人クエストに出すまでもない仕事を手伝ってるみたいなんですよ」

 リームの答えをビアンゼが補足してくれた。

「なるほど」

(それで手伝った所でいろいろ聞いて帰って来るのか。

 案外、子供たちが来るのを楽しみにしてる人たちもいるのかもね)

 ゆっくりと顔を上げて頭を擦るビアンゼを見ていると、ティアリスが静かに立ち上がってビアンゼの横に立つ。

「ヒール」

 手をかざして魔術を発動させるとビアンゼが光に包まれる。

「ありがとう。

 痛みが引いたよ」

 光が消えると、頭から手を下ろしてビアンゼがお礼を言う。

「いい腕をしているね。

 これからもっといい治癒術師になれるんじゃないのかな」

「い、いえ。

 私なんかまだまだ……」

 ティアリスが褒められて照れている。


「さて、とりあえずみんな落ち着いたとして、ビアンゼさんに聞きたいんですが」

「襲われたかどうかという事なら、返り討ちにして縛って転がしてきたよ。

 リームは私と一緒だったからケガ一つしていない。

 私も……誰かさんに頭に扉を当てられたぐらいだわ」

「重ね重ねすみませんっシタ―」

(逆に私に気取られなかった時点で今回の襲撃した奴よりも実力が上だったってことよ)

 ビアンゼは優しくシュウを見つめる。

「コホン。

 じゃ、次に何か襲われる心当たりは?」

「心当たりはいくつかあるけど、最近は鳴りを潜めていたから……。

 こんな急に実力行使に打って出て襲ってくるってことは今までなかったな。

 だから私の方は違うのかもしれない」

 顎に手を当て今までの事を思い返しながら応えてくれる。

「クランとリンは最近ルーツさんの所とここを往復してるぐらいで、特に騒動に巻き込まれたりとかは無かったよね?

 話には出てないところで」

 シュウの確認に横に座るリンが頷いて応える。

「だとすれば」

「私、か……」

 シュウがリンと反対側に座るティアリスに顔を向ける。

「私がみんなを巻き込んだのかな……」

 ティアリスは俯きながら呟いている。

「いや、ティアだけの所為じゃないと思う」

 ティアリスが顔を上げてシュウを見つめてくる。

「実は……」

 シュウが思いついたことを説明しようとした時、


 ドサッ


 ここまで無言で話を聞いているだけだと思っていた


 クランが椅子から崩れ落ちた。

戦闘するとは言ってないキリッ

すみません。


読んで頂いたように襲撃があった中でのんびり話してます。

みんな気持ちが慌ててしまって、一周回って落ち着いて情報の共有をしようとなった結果

だと思います(?)


ここまで読んで頂きありがとうございます

皆様の空いた時間を埋めるお手伝いができていれば幸いです

それではまた~


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ