81.薬草ティータイム
先に言っておきます
戦いはない!
異世界庶民のお茶会
「汚いけど座って座って。
お茶淹れてくるからくつろいで待っててよ」
ランブルの薬屋に到着すると、店に入らず裏口から中に通された。
そこは店と同じ建物にあるランブルの生活スペースだった。
通されたのは居間で簡素だがしっかりしたテーブルとイスが置かれており、壁際には少ないが調度品が置かれている。
ティアリスの手を引いて部屋の中央にあるテーブルのイスを引いて座らせる。
ランブルはその間に隣にある台所にお茶を淹れに行った。
「ここはランブルさんのお店の裏にある、ランブルさんの家なんだ。
そっちがお店に繋がってて、その隣の部屋が薬の調合したりする部屋なんだよ」
ティアリスの隣のイスに座って、店の位置を教える。
「ここに来たことあるの?
あ、お店には来た事あるような話をしてたけど、こっち側に」
シュウの説明に少し気を取り戻したティアリスが顔を上げて、部屋の中を見回している。
「依頼に何度か来てね、ランブルさんと普通に話せるようになってから薬の作り方教えてもらうのにそっちの調合室に入れてもらったことがあるんだ」
「あのポーションの作り方を教わったのランブルさんなんだ」
「うん。
そうだよ。
もう一人、知り合いに錬金術師のすごい人がいるんだけど、その人は攻撃専門らしいんだ」
「……。
少し会わなかった間にたくさんの人と出会ってたんだね。
それに比べると私は……」
ティアリスがまた顔を俯けてしまいそうになる。
「ティアはティアで強くなるのに必死だったんでしょ。
目的の為に強くなるって言ってたもんね。
僕がのんびりしてる間に危ない討伐依頼をいくつもこなしてたんだよね。
僕も頑張らないと」
「そんな、あなたがランブルさんと出会ってくれてたからこうやって私もここに来れた。
ポーションの作り方も教えてくれたし。
実を言うとね。
あなたがランブルさんから教わったって言うポーションの作り方は私のお父さんの作り方と少し違ったの」
「そうなの?」
「うん。
お父さんの作り方よりもより簡単でそれでいて効果も高くて効率的だった。
ランブルさんはすごい人よ。
それを再現するあなたもね」
「はは。
ランブルさんに比べるとまだまだだよ。
でも、ありがとう。
僕達二人とも頑張ってたってことにしよう」
「ふふ。
そうね。
私もお願いしたら薬の調合を教えてもらえるかしら」
「ティアリス嬢も薬の調合にご興味が?」
二人で話していると飲み物の用意を持ったランブルが戻ってきた。
熱々の湯気が立ったカップをシュウとティアリスの前に置き、対面に自分のカップを置いてイスに座った。
「二人が疲れてそうな顔をしていたから疲労回復に効果がある薬草茶を淹れてみたんだ。
苦みも抑えてるから飲みやすいと思うけど、飲んでみてくれるかい」
ランブルは街で会った時から二人がクエスト後で疲れている顔をしていると思っていた。
「それじゃ、すみません。
いただきます」
「いただきます」
シュウがランブルにお礼を言って、フーフーと息を吹きかけた後にカップに口を付ける。
それに続いてティアリスも恐る恐る薬草茶を飲む。
薬草特有の匂いはするが味はそれほど苦くなく後味は甘みを感じる。
「これは美味しい!」
「うん。
とても美味しいです」
薬草茶と聞いて少し引き気味だったシュウだが、一口飲んで美味しいとわかると二口目は熱いのも気にせず煽る。
「あちち」
そして一気に口に含むと思ったよりも熱かった。
「ははは。
落ち着いて飲むといいよ。
おかわりもある」
シュウが慌てて息を吹きかけて冷ましているのを見ながらランブルもカップを傾ける。
シュウとティアリスがお茶を楽しむのを待ってランブルがティアリスを見て、
「さっきも効いたけどティアリスさんも薬の調合に興味があるのかい?」
「来る途中で伝えたように、父が薬師をしていたので調合しているのを後ろからよく見てたんですよ。
教わる前に出てきてしまったんですが……」
「そうだったんですね。
いいですよ。
私で良ければ調合をお教えします」
「本当ですか?」
ティアリスが嬉しそうに顔を上げてランブルを見つめる。
「ええ。
店が忙しくない時で良ければですが」
「ぜひ!」
「あ、それともう一つ条件が。
私が出してる薬草採集の依頼を受けて採集をしてくること。
これが条件かな」
「薬草採集依頼ですか?」
「そう。
シュウ君は最初普通に依頼で来たからね。
今でも薬草採集の後に教えてるんだ。
薬草がよく生えてる場所も教えてるから、一緒に行くといいよ」
「わかりました。
よろしくお願いします。
シュウさんも行く時に私がクエストに行ってなければ声をかけてください」
「おや?
二人はパーティを組んでないのかい?」
ランブルが仲良く一緒にいる二人がパーティを組んでいない事に驚く。
てっきりパーティを組んでいるものと思っていたのだ。
「はい。
パーティを組んでません」
驚いているランブルにティアリスが答える。
「ティアは討伐依頼中心でとても強いんですよ」
シュウがティアリスの言葉に続けて補足をする。
「そうだったんですか。
お若いのに無理な討伐依頼を受けることが無いように気を付けるんですよ。
命があってこその物種です」
「……はい。
気を付けます」
少しティアリスが俯きながら答える。
「うちのシュウ君はおススメですよ。
素直でいい子。
剣も魔術も使える今一押し商品です」
「勝手に僕を売らないでください!」
ランブルのひどい物言いにシュウが突っ込む。
「ふふ。
私には勿体ないです」
師弟のやり取りに笑みをこぼしてティアリスは答える。
「いえいえ。
そんなことないですよ。
薬草の群生地の時に言ってないことがあったんですが」
「私が薬草の群生地に行ってもいいかって時ですか?」
「そう。
群生地に連れて行ってもいいとシュウ君が判断した。
それが実は一番大きいですね。
シュウ君は人を見る目があると私は思っています。
その彼が認めたのですからあなたは大丈夫です」
「私がですか……?」
「僕そんな!
偶然ですよ!?
たまたま会って仲良くなった人がいい人ばかりで……
ん?」
シュウが思い返してもこの街で会って仲が良い人達はみんないい人ばかりだった。
地球でもどうだっただろうか……
気にしなかったけど、周りにいるのはいい人ばかりだった。
まあ平和な日本の普通の高校生活を送っているだけだとそうそう悪人には会わないだろうが。
「悪意がある人は自然と注意を向けて避けているんだろうね。
冒険者として重要な感覚だよ」
「そうなんですか。
全然気にしてませんでした」
シュウは思いもよらない事に頭を掻く。
「ティアリスさんもパーティを組むときは考えてみてください」
「はい。
ありがとうございます」
何か流れ的にティアリスのパーティ勧誘をランブルがしてくれる結果になった。
「それじゃ、そろそろ本題に入ろうか。
君たちがここに来た理由を聞かせてください」
ここまで読んで頂いておわかりだと思いますが
ただの雑談回に……
本当にひどい……(笑
あれーこんなはずは……
もう、次の話に入るつもりでしたが繰り越しに
本当にすみません。
でも、次回もこの続きなので……(汗
ここまで読んで頂きありがとうございました
皆様の空いた時間を埋める手助けができていれば幸いです
それではまた~




