80.マナーは大事
またギリギリになってしまって
雑な文になってしまった
すみません
もちろん戦いません
冒険者ギルドを後にしたシュウとティアリスはランブルの薬屋に向かった。
「これから行くランブルさんの薬屋にティアは行ったことある?」
歩きながらティアリスに目的の店に行ったことがあるかを尋ねる。
「たぶん行ったことないと思う。
私、治癒術が使えるから。
ポーションは少ししか持ってないし、ギルドの売店で間に合ってるから」
ティアリスはシュウの質問に首を横に振ってから答える。
「おや、それは危ないな。
治癒術師だからこそポーションは常に多めにストックしておいたほうがいいよ」
話していると横から話に入ってきた人がいた。
「こんな所で会うとは奇遇だね。
シュウ君」
「あ、ランブルさん。
こんにちは」
横から声をかけてきたのは向かっていた薬屋の店主であるランブルだった。
「はい。
こんにちは。
女の子連れてデートかい?」
ランブルが隣のティアリスに目を向けて茶化してくる。
「いやいや、違いますよ」
顔の前で手を振りながら答える。
横から冷ややかな視線が突き刺さってる気がする。
「冒険者仲間のティアリスです。
僕には釣り合わない程の美人なので彼女に失礼ですよ」
振っていた手を止め、ティアリスに向けるとランブルに紹介する。
「え、ど、どうも。
ティアリスです」
ティアリスが顔を赤くしてランブルに自己紹介をする。
「ほほぉ。
私は薬屋のランブルです。
どうぞお見知りおきを」
ランブルも胸に手を当てた、綺麗なお辞儀を返す。
「これからランブルさんのお店に行くところだったんですよ」
二人の自己紹介が終わったところでシュウがランブルに行く先を告げる。
「それは行き違いにならなくてよかったですね。
私も薬の配達に出てまして、今戻るところだったのです。
ここでお話しするのもなんですから、店まで向かいましょうか」
「はい。
行きましょう」
ランブルが歩き出し、冒険者二人は後ろに付いて行く。
「あ、ランブルさんに教えてもらった薬草の群生地の場所、とても助かりました」
シュウが薬草や毒消し草のキリア草の採集依頼の時に街周辺で探して見つからない場合に向かう群生地の場所はこのランブルから教わった場所だった。
「いえいえ。
私も時々行きますが、シュウ君が丁寧に無理のない採集をしてくれているのがわかりましたよ。
同じ場所で何度も採取せずに、日によって採取する場所も変えているでしょう?
適度な間引きになって、薬草の育ちが良くなっています」
「そこまでわかるんですか?」
「ええ。ええ。
君に教えた場所は数人しか知らないんですよ。
その中で薬草に興味があるか必要とするのは私かシュウ君ぐらいなんだよ。
わかりにくい場所だからね。
あまり広めないでほしいっていうお願いも守ってくれてるみたいだね」
ランブルは忙しい身であるのに薬草の群生地を見て回ってもいるようだ。
「あ、でも、ティアと今日行ったんだった」
「あ、すみません!
誰にも言いません!」
「い、いや、ティアは悪くないよ。
僕が連れて行ったんだから。
ごめんなさい!」
シュウの失態なのにティアリスが頭を下げて謝ってしまい、シュウも急いで頭を下げる。
そんな二人に振り返ってランブルは、
「はっはっは。
二人とも大丈夫だよ。
ティアリスさんも薬草の大事さをわかってくれているようだから、場所を広めることはないだろう。
別に独占しようと思ってるんじゃないんだ。
シュウ君のパーティぐらいなら教えても大丈夫さ。
大事なのは無理のない採取を心掛ける事、それができる人には教えてもいいよ」
「私も行かせてもらってもいいのですか?」
ティアリスが顔を上げてランブルに尋ねる。
「先程も言ったようにティアリスさんも大丈夫だよ」
「何か判断の基準でもあるのですか?」
「明確な基準という物はないけど。
んーそうだな。
ティアリスさんは小さい頃から薬草を扱ってきたんじゃないかな?」
ランブルが足を止めて、ティアリスに向き直る。
「ど、どうしてそれを?」
ランブルの言葉に驚いて問い返す。
シュウもランブルにティアリスの事は話していないので、ランブルは初めて会うティアリスの過去を言い当てていることになる。
「さっきもティアは薬草の大事さをわかってるって言ってましたよね?」
「それはね、微かだけど薬草特有の香りがしたからだよ。
これは長い間、自分で薬を作る者じゃないと嗅ぎ分けることができないぐらい微かなものだけどね。
最近シュウ君も自作しているみたいだね。
若々しい薬草の匂いがするようになった。
今日は二人でポーションを作ったんじゃないかな?
同じ若々しい匂いがするね」
「そこまでわかるんですか!?
しかも僕も!?」
シュウは自分の服の匂いを嗅いでみるが全然わからない。
薬草の匂いというよりも汗や土の匂いがする気がする。
(帰ったら水浴びでもしようかな……
そろそろ久しぶりに風呂入りたいな)
名色のいなか亭には風呂がないのだけがマイナスポイントだ。
自分の匂いはわからないので隣のティアリスの匂いも嗅いでみる。
「ちょ、ちょっと!?」
ティアリスが慌てて少し離れる。
「あ、ごめん。
つい!」
「ははは。
それは女性には失礼だよ。
シュウ君」
「ランブルさんだって匂いがするって言ってたじゃないですか!?」
「そんなあからさまにしてないからね。
仕草や雰囲気からというのもありますが、やはり最終的には薬師や錬金術師の嗅覚といいますか。
ティアリスさんは親御さんが薬を扱っていたんじゃないのですか?
新しい薬草の匂いの中に大分身体に染みついた匂いを感じました」
ランブルの言葉にティアリスは目を見開いた後に俯き、
「父が……、
村の薬師をしていました。
私は薬草の栽培を手伝っていました」
「へーティアのお父さんはお医者さんなのか」
「もう過去の事よ……」
「え?
それって……?」
「シュウ君。
ティアリスさんもいらぬ詮索をしてすみませんでした」
「いえ。
大丈夫です」
急に空気が重くなってしまった。
「これは私の失態だね。
気を取り直してうちでお茶でもしながら、うちに来る用事でも聞かせてもらおうか」
そう言って振り返り歩き出すランブル。
シュウは一歩足を踏み出すが隣のティアリスは動こうとしないので、静かにティアリスの手を取って歩き出す。
ティアリスはその手に引かれて歩き出す。
シュウの握った手をキュっと握り返して付いてきた。
前回までのクエスト報告回に続き
まだ冒険しない回です。
場面が変わっただけで進展が……
少し進んだってことにしましょう……
ここまで読んで頂きありがとうございました。
皆様の空いた時間をほんの少しでも埋めることができたなら幸いです。
それではまた~。




