第二十七話「討伐戦」
前回の更新で一日で995PVで喜んで居たら、次の日に初めて1172PVで1000PV超えて、一人喜んでた、にぃです。 おはようございます。
はい。 どうでも良いですね…
と言う事で今回はスクウィッドオグル討伐戦ですね。
ロゼが新たな魔術を使います。 そんな感じです。
それからブックマークありがとう御座います。 感謝感謝です。
まだまだ粗削りで、至らない事が多々あるかと思いますが、今後とも宜しくお願い致します。
◆
時は少し遡る。
僕はアイエル様の後を追って海の上を飛行し、眼下に広がるレザリアの港町を二人で見下ろしていた。
「やっぱり昼間の海って綺麗だね、ロゼもそう思わない?」
「ええ、そうですね。 こうやって改めて見ると世界の広さを実感できますね」
僕はそう言ってアイエル様に微笑みかけた。
「海面がキラキラして、まるでおっきな宝石みたい」
アイエル様はそう言いながら、両手を広げて踊る様に空を舞う。
その髪は風に揺られ、相変わらず神秘的に虹色に光を反射し、僕を魅了する。
カイサル様がアイエル様に悪い虫が付かないか、心配するのも頷ける。 僕がしっかりしないと、アイエル様に危害が及ぶかもしれない。 執事としてしっかりお支えしよう。
そうやって二人、空の散歩を楽しんでいる時だった。
突如として巨大な水しぶきが、沖合いに立ち上がったのだ。
――ドバシャーン!――
僕もアイエル様も、思わずその水しぶきの方へと目を向ける。 そこに現れたのは巨大なイカの魔物だった。
「ねぇロゼ… あれって屋台のおじさんが言ってた、スクウィッドオグルの突然変異じゃない?」
アイエル様も、あの巨大なイカの魔物に見覚えがあったのか、僕に確認してきた。
「恐らくそうでしょうね…」
その巨大なイカの魔物は、屋台で買ったスクウィッドオグル焼きの魔物を、そのまま大きくした様な姿だった。 そしてその先に一隻の船が航行しており、今まさにスクウィッドオグルの十本ある触手に絡め捕られるところだった。
「ロゼ… あれってマズイよね…」
「そうですね… 確か屋台のおじさんの話しだと英伐級の魔物みたいなので、もしかしたら沈没してしまうかも知れませんね…」
「どうしよう、ロゼ…」
船を心配して、少し取り乱すアイエル様。
ここで考え無しに助けると、僕とアイエル様の存在が、公になってしまう。 その事がアイエル様の行動に制限をかけ、どうしたら良いか分からなくなってしまったのだろう。
「取り敢えず近くに寄って、様子を見ましょう。 船にも護衛は乗っているハズです。 今すぐ助ける必要はないと思います。 様子を見て危なそうなら、カイサル様や父様に後で怒られるかもしれないですが、見捨てる訳には行きません。 助けに入りましょう」
僕の提案にアイエル様も同意する。
「うん、ロゼ… 有り難う」
アイエル様もすぐに助けに行けないもどかしさに心を痛めていたようで、見捨てないと言った僕の言葉に安堵してお礼を言う。
僕とアイエル様は船の上空へと移動し、戦闘の様子を覗う。
兵士達はスクウィッドオグルの触手を攻撃し、船から引き剥がそうと躍起になり、魔術師は魔術で攻撃している。 しかし、魔術師が使う魔術は、どれも下級か中級止まりのお粗末なものばかりだった。
これでは船が沈没するのも時間の問題だろう。
「ロゼ… あの人達じゃ勝てなさそう…」
「そうですね… 彼等の実力では荷が重いですね。 そろそろ助けに入りましょうか」
アイエル様は嬉しそうに「うんっ」と頷く。
「アイエル様、雷魔術と火魔術は船を巻き込んでしまいますので、それ意外で討伐しますよ」
「任せて!」
アイエル様がそう返事した時だった。
「きゃっ!」
揺れる船体に体勢を崩した少女が、海へと投げ出されたのだ。
「いけない!
アイエル様。 僕があの子を救出したら合図するので、魔物への攻撃をお願いします」
咄嗟の指示だったが、アイエル様は「任せて!」と、直ぐに返事を返し、行動に移る。
アイエル様は船と魔物の間に降り立つと、何時でも魔術が使える様にマナを制御して一ヶ所に集めた。 僕も直ぐに溺れる少女の元まで飛翔し、少女の手を取って海から引き上げ、抱き抱えるとその場を離れてアイエル様に合図する。
「アイエル様!」
僕の合図でアイエル様は、集めたマナを制御し、氷結の特級魔術を無詠唱で発動し、魔物もろとも辺り一帯を氷つかせた。
沈没しかかっていた船の事を考えると、なかなか良い魔術を選んだと言えよう。 僕は少女を抱えたまま、アイエル様の元へと降り立ち、抱き抱えていた少女を降ろす。
少女は魔物に襲われた事と溺れた恐怖で、足が立たなくなっていたのか、よたついて僕に寄りかかる。 僕は支えながら少女に問う。
「お怪我はありませんか?」
少女は「ケホッ… ケホッ…」と咳き込みながら、「はい…」と返事を返すと、僕を見つめて頬を染めた。 海に落ちた事で、少女はずぶ濡れになっている。 張り付いた洋服から肌が透け、このままではあまり宜しくない。
僕は自分のジャケットを脱ぎ、少女に羽織らせた。
「そのままでは風邪を引いてしまいます。 今乾かしますので、じっとしていて下さい」
僕の言葉に、訳も分からずただ頷く少女。
僕はマナを操作して温風を作り出し、少女を乾かしながら濡れて冷えた身体を暖めてあげる。
少女は無詠唱で発動した温風魔術に「えっ? え?」と状況が理解できず、乾いて行く服と暖まる自分の身体に、目を見開いて驚いている。
「これでもう大丈夫ですね… 身体や服についた塩までは取れないので、着替えた方が良いでしょう」
僕がそう言うと、少女は深々と頭を下げて「有り難う御座います」とお礼を言う。
そんな僕達のやり取りを、アイエル様は頬を膨らませて羨ましげに見つめて居た。
そして、いち早く状況を呑み込んだ兵士の一人が、僕達にお礼を言い、質問を投げ掛けてきた。
「あの… 助けて頂いて感謝します。 それで、あなた方はいったい…」
「申し遅れました、僕の名前はロゼ・セバスと申します。 ただの執事です」
僕は胸に手を当て、軽く礼をしながら自己紹介をする。
兵士達は(ただの執事が空を翔べるものか!)と顔を引き吊らせてツッコミたそうな顔をしていたが、そこはスルーする事にする。
少女は少女で「ロゼ… 様…」と僕の名前を呟いて、頬を紅く染めて目を輝かせている。 もう色々と気にしたら負けだ。
「そしてこちらが、僕のお仕えするアイエルお嬢様です」
僕に紹介され、アイエル様は両手でスカートの裾をつまんでカーテシーをしながら「アイエル・フォン・グローリアです」と自己紹介をする。
別に家名まで名乗る必要なかったのだが、それを今言っても後の祭りだ。 なるようになるだろう。
船に乗っていた少年が「アイエル… 嬢…」と呟いてアイエル様に視線を釘付けにしている。 他の乗員もアイエル様のその神秘的な容姿に見とれている見たいで、女性であるメイド達まで頬を染めていた。
「これはこれは、貴族の方でしたか… 救って頂いたにも関わらず、名乗るのが遅れて申し訳ない。
我々はウィリアム侯爵家の者で、私は護衛隊長を勤めておりますディオールと申します。 お嬢様を含め我々を救って頂き、重ねてお礼申し上げます」
護衛隊長のディオールさんが名乗ると、慌ててそれに続き、少年はアイエル様の前で片膝をつくと、その手を取って自己紹介をする。
「お初に御目に掛かれて光栄です。 私はクライス・フォン・ウィリアムと申します。 侯爵家の嫡男です」
クライスと名乗った少年は、そう自己紹介するとアイエル様の手の甲に口付けをして微笑む。
アイエル様は、どう対応して良いか分からず、困惑して僕に助けを求める。
そんな時だった、轟音と共に突如として船体が揺れだし、氷付けにされた魔物がその束縛から抜け出したのは…
「「「きゃっ!」」」
「「「っ!」」」
砕け散った氷が辺りに飛び散り、激しい揺れに、女性陣は短く悲鳴を上げ、男性陣は驚き、声にならない声を上げる。 そして、怒りに染まったスクウィッドオグルの触手が、アイエル様もろとも船体を破壊するべく振り下ろされた。
僕は咄嗟に結界魔術で船体を覆い、その攻撃からアイエル様を護った。
ーードン!ーー
光の壁に阻まれ、その攻撃は届く事はない。
僕は咄嗟に特級魔術を発動しようかと思ったが、ここで派手な魔術はアイエル様よりも目立ってしまう。 執事として御主人様より目立つのはよろしくない。 そう思い至り、僕はあるオリジナル魔術を使う事にした。
マナを凝縮し、過去に魔石を創る事に成功した事から研鑽を重ね、編み出したオリジナル魔術。
そう、イメージの具現化だ。
僕は前世で慣れ親しんだ銃を二丁、マナを使って生成する。 この世界には存在しない武器だ。 傍目には特殊な武器を使う少年に映るはずだ。 特級魔術をぶっ放すよりは目立たない。
因みにこの銃はマナで出来てるので、弾切れも反動も存在しない。 マナを込める量を調整するだけで、戦車の大砲にも負けない威力も出す事も可能だ。
この魔術の欠点と言えば、より正確に対象をイメージしなければならないくらいで、剣や槍などの単純な物ならイメージ力さえあれば、誰でも作り出すことができる。
しかし、銃となるとそう簡単には行かない。 僕の場合は前世で散々分解して整備してたので、内部構造までしっかりイメージできるが、この世界の人にはまず不可能だ。 その為、アイエル様にも教えたがイメージが巧くできず、覚える事ができなかった。
この世界で唯一僕だけが使えるオリジナル魔術だ。
僕は産み出したマナ銃を馴れた手付きで構え、一瞬にしてスクウィッドオグルの触手を全て吹き飛ばした。
「アイエル様! トドメを!」
アイエル様もただ攻撃されるのを待っては居なかった。
初動こそ不意をつかれたが、僕が攻撃を防いだ事で直ぐに特級魔術の準備を行っていたのだ。
僕が指示するまでもなく、上空に巨大な氷の杭を生成していたアイエル様は、「任せて!」と言うと、それをスクウィッドオグル目掛けて撃ち放つ。
アイエル様の放った氷の杭は、深々とスクウィッドオグルの胴体を貫き、凍り付いた海面に突き刺さった。
その一撃が致命傷となって、スクウィッドオグルは今度こそ力尽きた。
「流石アイエル様です」
僕がアイエル様を褒めると、アイエル様は嬉しそうの微笑んだ。
船に乗っていた護衛の兵士も、魔術師も、メイドや船員達も皆口を開けて唖然としていた。
自分達の剣でびくともしなかったスクウィッドオグルの触手を全て一撃で吹き飛ばし、三人がかりの魔術でもびくともしなかった胴体に風穴を空ける。 信じられない光景に皆目を疑っていた。
そんな皆の様子に気づいたアイエル様が、首を傾げながら僕に聞いてくる。
「みんな、どうしちゃったのかな?」
恐らく僕達の実力を見て思考が停止してるんだろうと予想できるが、僕は「さぁ」と惚けて気付かないフリをした。
「さぁ、アイエル様。 僕達はそろそろ帰りましょうか…」
「うん。 このおっきなスクウィッドオグルは食べても硬くて不味そうだし… 早く帰ろ」
アイエル様は食べるつもりだったのか… よほどスクウィッドオグル焼きが気に入っているみたいだ。
「そうですね… 帰りにまたあの露店に寄って、皆の分も買って帰りましょうか」
アイエル様は手を挙げて「さんせー」と笑顔で賛同する。
僕達が空に舞い上がると、慌てて護衛隊長のディオールさんが静止する。
「まっ 待って下され! まだお礼もなにも出来ておりません。 せめて食事だけでも!」
その言葉に、僕はやんわりと断りを入れる。
「申し訳ありませんが、あまり時間も取れないので…
それにすぐに救助の船を手配しないと、氷が解けたら船が沈んでしまうかもしれません。 僕達が港に行って手配してきますから」
「いや、しかし…」
ここで引き止められて、いろいろと聞かれるのは面倒くさい。 ここは後腐れなく立ち去ろう。
それに救助の要請は必要不可欠。 このままじゃ本当に船が沈没しかねない。 その事もあってか、護衛隊長のディオールさんも無理に引き止める事ができなかった。
「それでは、僕達は行きますね」
そう言うと僕はアイエル様と共に港に向かって飛行し、近くに船を見つけたので、その船に救難を求めた。 流石に海の上で、僕達が空からいきなり現れたと言う事もあり、その船の船長さんは驚きながらも僕達の話を信じてくれた。
しかも、この近海を騒がせていた海の魔物を、その船の護衛と共に討伐したとあっては、船乗りとしては喜ばずには居られないだろう。
救助したら残骸の分け前をもらえるかもと、それとなく話した事もあり、船長さんは喜々として救難に向かってくれると約束してくれた。
後はなるようになるだろう… 僕は帰ってから父様とカイサル様にどう報告したものかと頭を悩ませ、宿へと戻ったのだった。
勿論、帰りにスクウィッドオグル焼きを買うのは忘れない。
お土産に買って帰ったら、皆喜んで美味しそうに食べてくれた。
おまけ
第十七話の魔物の群れ「なぁ、この作品って俺たちの扱い酷くないか?」
スクウィッドオグル「そうだな… あんな反則的な攻撃とかされたらたまったもんじゃない」
第十七話の魔物の群れ「お前なんてまだ良い方だろ、ちゃんと名前だってあるし… 俺たちなんてその他大勢みたいな扱いで、名前すら書いてくれなかったんだぜ」
スクウィッドオグル「確かに… それは酷い扱いだよなぁ…」
第十七話の魔物の群れ「分かってくれるかゲソの魔物!」
スクウィッドオグル「ゲソと呼ぶな! 私にはスクウィッドオグルと言う名がある!」
第十七話の魔物の群れ「串焼きにされてるけどな」
スクウィッドオグル「ゲソぬ…」
次回はムフフな温泉話です。




