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☆氷の魔女のスローライフ☆  作者: にゃんたこ
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第四十一話〜スライムの島〜

 



 ある日の朝。



「んんー……外が何だか騒がしいな……グロッタ辺りが騒いでるのか? ちょっと早いけど起きようかな……ふぁ……」


 大きなあくびをしながら私は外に出てみた。



「うわ……」



 外は眩しかった。いや、朝日で眩しいわけじゃないよ? それならこんな反応はしない。



「ふんふんふーん♪」


「キリッ! キリリッ……!」


「フフフフフ」



 フユナ、グロッタ、スフレベルグの三人が光り輝いている。先日のバーベキューの時にカラットさんから頂いたやつだ。光り輝く着物・光り輝く大顎・光り輝く鶏冠がそれぞれ輝いている。



「そんなこれは夢なの……? 私の家族がもれなくアホキャラになっちゃった……!?」



 私がそんなショックを受けているとフユナがこちらに気付いた。



「あ、ルノ! おはよう」


「お、おはよう……」



 いつもは笑顔が眩しいフユナだが、今日は全身が眩しい。



「三人で朝から何してるの? それもそんなアホキャラ装備で……」


「むぅー! 何言ってるの、ルノ。かっこいいでしょ?」


「そうですぞ!」


「キリッ!」



 うぅ、みんな……私は悲しいよ。アホキャラはグロッタだけで十分だったのに!



「もうこの際、装備の事はいいや……で、何してたの?」


「ふっふっふっ……!」



 ヒュン!(氷の塊)



「ぎゃあああ!? まだ何も言ってないのに!」


「はは、なんかキメ顔だったからつい……」


「まったく! では、改めて。ふっふっふっ……!」



 ヒュン! (氷の塊×20)


 ヒュン! (氷の塊×50)


 ヒュン! (氷の塊×100)



「ぎゃあああ!? ×170」



 もはや完全にやってくれのフリだったので遠慮なくやってあげた。


 そうして氷の塊でグロッタを埋めてから話を再開。



「え、討伐に行くの?」



 どうやら三人は光り輝く装備で討伐に行く計画をしていたらしい。



「でも、山に行ってもスライムばかりじゃない? いや、危険な所には行って欲しくないからその方がいいけど」



 すると今度はスフレベルグが前に出てきた。



「フフフ……! 実はワタシが知っている場所に討伐に最適な島があるのですよ」


「島……?」



 何だかスフレベルグのキャラも変わってきたな。最初はクールキャラかと思ってたのに。



「島ってことはそれなりに距離があるのかな? 私、一人ぼっちになって泣いちゃうよ」


「ワタシに乗っていけば大してかからないですよ。それに、ルノは行かないのですか?」


「行く行く! で、その島ってどんなの? あんまり危険そうなら許可できないけど」



 そこでスフレベルグで一泊置いてニヤリと笑った。ちょっと怖い。



「その島とは……」


「ごく……」


「スライムの島!」


「……」



 なんの捻りもない上に、またしてもスライムだった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 スライムの島とやらには文字通りスライムしかいないので問題なくOKした。朝食も済ませて既に準備万端だ。



「それじゃ、出発しようか。スフレベルグ、お願いね」


「はい、お任せ下さい」



 という訳で出発。グロッタはこのままのサイズだと大きすぎるので魔法で小さくしてある。



「それにしても、こうして真面目に(?)討伐に行くのは初めてだね」


「前にサトリちゃんと行ったやつは?」


「あれはもはやピクニックだったからノーカンだね」



 サトリさんなんてサンドイッチまで作ってきてたからね。あれは美味しかった。

 


「そういえば、お昼持ってくるの忘れちゃったね。ルノサンドでも作ってくれば良かったな」


「ルノもピクニック気分になってる……」



 確かにスライムの島という事だから正直まったく心配してない。むしろ楽しく討伐しようくらいに思っている。



「皆さん、着きましたよ」


「ほんとにすぐ着いたね。その辺を散歩してる気分だよ」


「島の大きさはかなりあるので飽きない散歩になりますよ」



 ふむふむ。それは期待できそうだ。ちょっとドキドキしてきた。



「んじゃ行こうか。特に目的地とかあるわけじゃないから適当に歩こう」




 そうして始まった討伐の旅。


 今回は三人のネタ装備お披露目会みたいな感じなので私は後ろをついて行くだけにした。



「あ、いたよ! スラ……イム……?」


「ん、どうしたのフユナ?」



 先頭を歩いていたフユナが呆然としている。あんなに乗り気だったのに。疑問に思いながらスライムに目を向けてみると……



「うわぁ……何あれ。なんかイボイボ……」


「あれはイボスライムですね」



 スフレベルグが教えてくれた。この島を案内してくれるだけあって、スライムには詳しいみたいだ。



「そんなのもいるんだね。イボイボがちょっと気持ち悪いな……」


「ど、どうする?」


「ここはわたくしにお任せ下さい! ビュン!」



 おぉ、グロッタ! 頼りになる! ただ移動音を口に出しちゃったから一気にギャグになったけど。



「ムシャ」


「うわ……食べた」



 イボスライムをグロッタが光り輝く大顎で噛み砕いている。フユナが目をそらしてるけどその気持ちわかるよ……



「ふっふっ。大したことありませんでしたな」


「イボスライムが出たら全部グロッタの担当ね」



 すると今度は目の前に見覚えのあるスライムが現れた。



「あれは! コンゴウセキスライム!?」


「あの時のスライムだね!」



 そう。コンゴウセキスライムはフユナと山に行った時に一度出会っている。そうそうお目にかかれない超レアスライムだ。



「それがこうも簡単に見つかるなんて! さすがスライムの島!」



 私のテンションが一気に上がった。スライム討伐も捨てたもんじゃないね!



「ビュン!」


「あ!?」



 グロッタが喰らいに行った。バカー! それは高級なのに!



「ムシャ……あぐ!?」



 バキ……!


 なんか嫌な音したなぁ。



「な、なんという硬さ……! あ、牙が!?」



 グロッタが驚いている。見てみると光り輝く大顎の牙が一本折れていた。



「あぁ……なんでも食べようとするから。あれは超レアだから持って帰るよ!」



 そして捕獲。再び進行を再開する私達。



「あ、またスライムいたよ!」


「ふむ、あれは木のスライムですかな?」



 確かに緑色の身体をしている。ただ……なんだろう。生理的に触りたくないような色合いな気がする。



「スフレベルグ。あれは何スライム?」


「あれは木のスライムに似ていますが別物。カメムシスライムですね」


「……」



 カメムシなのかスライムなのかどっちだよ! なんて思っているとそのカメムシスライムとやらが華麗にジャンプした。



 ピタッと。スフレベルグの光り輝く鶏冠に張り付いた。その瞬間。



「く、くさ!? スフレベルグくさ!?」


「何これー! くさいー!」


「よ、寄るな! スフレベルグ! ぺっぺっぺっ!」



 正確にはスフレベルグに張り付いたカメムシスライムが臭い。とんでもなく臭い!



「ちょ、ちょっと!? 誰か取ってください!? おえー! おえー!」



 スフレベルグが吐き出した。キャラが完全に崩壊してるな……離れててもこの臭さだもんね。助けてあげよう……



「スフレベルグ、じっとしててね」



 というか既に気絶しているから動かない。私は氷の魔法でカメムシスライムを氷漬けにした。



「ふぅ。これなら匂いも出ないでしょ」


「今までで一番の強敵だったね……」


「まったくですな」



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 スフレベルグを回復させ、さらに歩くこと一時間。ちょっとした広場に出た。



「おぉ。小さな泉もあるし景色もいいね。ここら辺でお昼にしようか」


「なんだかルノと出会った場所に似てるね」


「ところでお昼はどうするのですか?」



 そうだった……すっかり忘れてた。魚でも取ろうかな?



「安心してください」



 スフレベルグがちょっとドヤ顔で言ってきた。まだちょっと臭い……



「ここには様々なスライムがいるのですよ」



 え……嫌な予感。






「今日のお昼はスライムを食べましょう」




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