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☆氷の魔女のスローライフ☆  作者: にゃんたこ
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第三十九話〜ツリーハウスでBBQ〜


〜〜登場人物〜〜



ルノ (氷の魔女)

物語の主人公。見た目は十八歳の不老不死の魔女。少し癖のある氷のような美しい髪が特徴。氷の魔法が大好きで、右に出る者はいないほどの実力。


サトリ (風の魔女・風の双剣使い)

ルノの友達。綺麗な緑色の髪をお団子にした、カフェの看板娘。風の魔法・双剣の扱いに関してはかなりの実力者。


フユナ (氷のスライム)

氷漬けになっているところをルノに助けてもらい、それ以降は魔法によって人の姿になって一緒に暮らしている。前髪ぱっつん。


カラット (炎の魔女・鍛冶師)

村の鍛冶屋『カラット』の店主。燃えるような赤い髪を一つにまとめた女性。彼女の作る武器は例外もあるがどれも一級品。


グロッタ (フェンリル)

とある人物の手により、洞窟に封印されていた怪狼。ルノによって『人に危害を加えない』事を条件に開放された。ちょっぴりアホキャラ。


ランペッジ (雷の双剣使い)

ロッキの街で出会った双剣使い。雷のような黄色い髪を逆立てた、ちょっぴり目つきの鋭い青年。


スフレベルグ (フレスベルグ)

白銀の大鷲。自宅に植えてあるロッキの樹にある日突然やって来て住み着いた。


 



 我が家の大掃除をしたその日の夕方。予定よりもかなり早く終わったのでツリーハウスでバーベキューをする事になった。


 お誘いの話をするためにまずやって来たのは村のカフェ。今日は定休日らしいので丁度いい。



「という事なので、サトリさんもご一緒にいかがですか?」


「いいんですか? では、お言葉に甘えさせて頂きます」


「え、あれ……? サトリさん?」


「サトリも今呼んできますよ」



 なんで!? ノックした時に『サトリさーん?』って呼んだのになんでお姉さんが!



「お、なにルノちゃん。バーベキューだって? いいねいいね。さっそく準備するよ!」


「はい……」



 サトリさんが奥に行ってしまいその場に私とお姉さんが取り残された。



「あの、お姉さんはバーベキューとかお好きなんですか?」


「えぇ、もちろんです。今から楽しみですよ」


「そうなんですか。てへぺろ……」



 まぁ、アルバイトしたあの日に心を開いてくれた(?)からきっと大丈夫でしょ!



「それに今日はグロッタもいるしね。何かあったら押し付けちゃおう」




 続いてはカラットさんのいる武器屋へ。都合良くランペッジさんもいた。



「いらっしゃい、ルノちん! それにサトリと……」


「久しぶりね、カラット」


「お前まで来るなんて珍しい。ついに店が潰れたか? ははは!」


「……(メキッ)」


「ぎゃあああ!? 冗談だって! 今のは笑うところだろ!?」


「ならあなたの頭が潰れたその時に笑ってあげましょう」



 ふーむ、どうやらあの二人は知り合いだったらしい。カラットさんのおかげで今日の私は安全ぽいな。



「とまぁ、あのお二人は放っておいて。ランペッジさんもどうですか? ついでですけど」


「その一言が無ければ喜んで行けたものを……」


「え、来ないんですか?」


「もちろん行くさ! (キリッ)」



 なんかいい顔で言われた。


 何はともあれこれでメンバーは揃ったな。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 その後、私達は少しの買い出しをしてからツリーハウスに戻った。上まではスフレベルグが乗せていってくれた。



「さて、それじゃ始めようと思うんだけど……」



「「ワイワイ!」」


「「ゲラゲラゲラゲラ!」」


「「ぎゃあぎゃあ!」」


「ムシャムシャ」



 なにこれ。小学生の集まりかよ! あと、スフレベルグは食べるの早い!



「えー、皆さん。とりあえず簡単に乾杯だけしましょうか。その後は御自由にして頂いて結構ですので……」



「「ワイワイ! ゲラゲラ! ぎゃあぎゃあ! ムシャムシャ!」」


「……」



 仕方ない。



「とりゃ!」



 私は全員に氷の塊をプレゼントした。



「いたーい!?」「サッ!」「ぎゃあああ!?」「ごふっ!?」「いて!?」「うっ!」「ムシャムシャ!」



 ち、一人(サトリさん)避けやがったか。



「では、皆さん。いいタイミングですので、カンパーイ!」


「「かんぱーい……」」



 そうして始まったバーベキューは肉や魚、野菜など色々焼いて食べた。このツリーハウスに来るのが初めての人達もいるが気に入ってくれたみたいだ。



「なぁなぁ、ルノちん。酒もあるのかい?」


「ありますよ。飲みすぎて落っこちたりしないでくださいね」


「サンキュー!」



 それからしばらくして、妙な事が起きた。



 私が魚を焼いて食べていると誰かに肩を叩かれた。ちなみタイミング逃してぼっちになってる訳じゃないよ?



「一人で何してんの? ほら、お姉さんが一緒に焼いてあげるよ!」


「サトリさん……飲みすぎですよ。顔真っ赤じゃないですか」


「何言ってんの! 今日はそういう会でしょ? ほら、ルノさんも飲んで飲んで!」


「はぁ、じゃあ少しだけ……ん?」



 ルノさん? 今、サトリさんが私の事ルノさんって呼んだ? なんか嫌な予感……そうだ。



「サトリさん、そのへんにしとかないと倒れちゃいますよー! チョンチョン!」



 私は脇腹をつついてみた。これにどう反応するかで判別できる。



「あふ! こーら、ルノさん。そういうことする子はお仕置きだぞ♪」


「呼び方は気になるけど……これはサトリさんだ」


「変な事言っても誤魔化されないぞ! チョンチョンー!」


「はふ! や、やりましたね。お返しだー! チョンチョンチョンー!」



 そんな感じでじゃれあっていると横から声をかけられた。



「ルノちゃん……なにアホ丸出しなことしてんの?」


「? 急に真面目ちゃんになってどうしたんですか? チョンッ!」


「ぐふ!? 威力つよ! よーく見て! わたしはこっち!」


「何言ってるんですか? だったらそっちのサトリさんは……」


「うん」


「……」



 なんてこった。酔っ払ったお姉さんだ……最初に名前呼んだ時に否定してよ!



「これはお仕置きが必要ですね……」


「ルノちゃん、何する気?」


「もちろんこうするんですよ。こちょこちょ……」


「!? ぎゃははは!?」



 うわ、グロッタみたいな笑い方!



「ルノちゃん……正気に戻ったらどうするつもりさ……殺されるよ!?」


「ふっふっふっ! 大丈夫ですよ。今のお姉さんはただのアホなお姉さんですから! りんご扱いされたあの恨み、今こそ晴らす時!」


「ぎゃは!? ぎゃははは!」


「も、もう知らないからね……!?」



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 酔っ払ってアホになったお姉さんをくすぐり倒した後、私はサトリさんとバーベキューを楽しんでいた。


 そこに意外な人物が紛れ込んできた。



「やぁやぁ、お二人さん! オレも混ぜてもらっていいかな?」



 ランペッジさん登場。この人もちょっと酔ってるな。



「どうぞどうぞ。実は今、どっちが美味しく焼けるか勝負してたんです。ランペッジも焼いてください」


「よーし、どんどん焼いちゃうぞー!」


「ルノちゃん、上手いね」


「お姉さんの件で分かりました。酔っ払った人はちょろいです」



 そうして自動焼き機・ランペッジを手に入れて私達は女王様気分を味わった。



「ルノさん。相談があるんだ」


「なんですか? 急に改まっちゃって」


「実はな……ロッキの街で初めて見た時から……」



 え、なにこれ。告白!? 突然そんなこと言われても……!?



「フユナちゃんがずっと気になってるんだ」


「え……?」


「ルノちゃん……これはロリコンってやつだよ。このままだとフユナちゃんが汚されちゃうかも……」



 えぇ!? この人そんな事を考えてたの!? 酔った勢いでとんでもない事言ってきたぞ。



「だめですよ。フユナとお付き合いしたいなら……いや、会話をしたいなら私を倒せるくらいの人じゃないと認めません」


「ハードルが高すぎる!」


「それにまずはお肉を焼く力を身に付けないとお話になりません」


「よーし、どんどん焼いちゃうぞー!」



 とにかくそのあとはひたすらにお肉や野菜を焼き続けてもらった。


 フユナが気になるか……酔っ払った勢いで言っただけだといいんだけどな。忘れてくれることを祈ろう。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 あれからしばらくバーベキューを堪能して、ランペッジさんはサトリさんにあげてきた。



「ふぅ、お腹いっぱい。おや?」



 ツリーハウスの前で、フユナ、グロッタ、スフレベルグ、そしてカラットさんが何かしている。主にカラットさんが。



「そしてこれが今日のメイン!『光り輝く鶏冠』」


「「「おー!」」」


「あの、何してるんですか。またネタ装備お披露目ですか?」


「お、ルノちん。いい所に来た! さ、これをスフレベルグにつけてやってくれ!」



 そう言ってカラットさんが手渡してきたのはロッキの結晶をふんだんに使った鶏冠。



「え、これがスフレベルグの標準装備になるんですか?」


「ふふ、かっこいいだろ? な、スフレベルグ」


「えぇ。カラット、あなたなかなかやりますね」



 あぁ、いつの間にかスフレベルグが餌付けされちゃってる。



「まぁ、本人がいいなら構わないけど。はい」



 私はスフレベルグに光り輝く鶏冠を装備させた。



「うわ、なんか急にスフレベルグがアホキャラに見えてきた。やっぱり外さない?」


「何を言ってるのですかルノ様!」


「そうだよ、ルノ! フユナも欲しいー!」



 え、なにこれ。私の感覚がおかしいの?



「安心しな、二人とも。フユナちゃんには『光り輝く着物』グロッタには『光り輝く大顎』を用意してある!」


「「おー!」」


「いやー! やめてください! 私の家族がもれなくアホキャラになっちゃう!?」


「そうか? かっこいいのに……」


「「ブーブー!」」



 私は家族の名誉を守ろうとしたが猛烈なブーイングをくらうハメになった。




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「さてさて、そろそろお開きかな」



 周りを見回してみると、相変わらずお姉さんはダウン中。ひとまずみんなで下まで降りる。



「じゃあ皆さん、今日は来てくれてありがとうございます。気をつけて帰って下さいね」



「こちらこそありがとうね、ルノちゃん!」


「今日は楽しかったよ。ルノさん!」



 お姉さんは起きたものの、まだ酔っているらしい。もうずっとこのキャラでいいんじゃないかな。



「お二人は大丈夫そうですね」


「当たり前だろ、ルノちん! また色々作っておくからな!」


「オレは諦めません!」


「いや、諦めてください」



 今後はランペッジさんにはフユナを近づけないようにしないとな。



「みんなまたねー!」


「「キリッ!」」



 フユナの声が響く中、グロッタとスフレベルグはカラットさんの装備を着けてキメていた。




 こうして、そこそこ大規模なバーベキューは新たな思い出となって幕を下ろしたのでした。




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