校舎の放送室にて 1.5
「というメモが見つかった。心当たりがあるメンバーは?」
桐旗学園高等部の放送部面々を集めた。
放送部の面々に僕は尋ねた。三年は僕と関本、二年に女子の桜庭と樫村、一年の男子の溝部だった。今度の学祭でホラー放送をしようとしていたタイミングでこんなよく分からないメモが出て来た。桜庭はともかく怪しいのは樫村である。
最近はモキュメンタリホラーが人気ですよ。先日、たくさんの本を持って来てプレゼンテーションをしてくれたが、みんなはそれがあまりにも面倒で流している。今さら、上塗りをしても新しいアイデアも出ないだろう。僕はほとほと呆れて「心当たりがあるメンバーは三十分後にもう一度来てくれ」そう言って、解散になった。
それにしてもこれではホラーというより自分勝手な妄想ではないか。大体、こんな下手な台本を書くとは樫村もまだまだだな。近くの公園からドボルザークの新世界が聞こえる。まもなく五時です。良い子の皆さんは帰りましょう。
僕は放送室から公園を見た。藤棚がある公園はこの辺りではあそこだけだよな。
「神原、もう時間だ。閉めてくれ」
放送部の顧問である谷本先生が放送室を覗いた。
「分かりました」
「あんまり学園祭のことで詰めるなよ。最後なのは分かるけど」
「勉強しているので」
谷本先生は満足気に「それならいいんだ」と言って後ろ手に手を振ってすぐ隣の職員室に入って行った
僕はメモをカバンに入れて「結局、樫村は来なかった」と一人事を行って、放送室を出た。
昔、十年前はここの放送部は有名で今年もいい所までは行ったけど、結局ダメだった。谷本先生が気にかけているのも先に行くことが出来れば推薦が決まっていたのにという気持ちだ。それに頼らずに勉強をしていたので、僕は平気だ。明日、樫村を問いただそう。アイツしかいないのだ。




