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おだんご太平記  作者: 東のマ王


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25話

ちよ「若様、そろそろ食事の時間になりますよ。居間の方に向かいましょう」

勘十郎「あれ、もうそんな時間? それじゃあそうしましょう」


 桜の事を考えたり色々話していたらそんな時間になってしまったみたい。

 食事は大事と言う事で居間に向かう事にしましょう。


 …………。


勘十郎「よいしょっと」


 と言う訳で居間に来ると僕はいつもの席にキチンと正座をして座りました。

 父上と母上が奥の上座の所に横に並んで座っていて信長にいちゃんが僕の正面で父上の斜め前の場所に座って僕が母上の斜め前の所とコの字のような形で座っています。

 お客様が来た時は信長にいちゃんが僕の右隣りで母上と僕の間に座るような形に座る場所が変わったりするけど基本的に家族だけで食事をする時はこんな形で食事を食べています。

 さて、今日のごはんはなにかな?

 楽しみ〜〜。


信長「むっ、見知らぬ女子おなごがいるが、そいつは誰だ?」


 信長にいちゃんが僕の後ろにいる桜を見てそう話しました。

 この中で桜をまだ見てないのは信長にいちゃんだけだからそれは気になるよね。


土田御前「その子は新しく雇った勘十郎ちゃんの侍女のサクラよ。吉法師ちゃんも仲良くしてあげてね」


 僕が答える前に母上が信長にいちゃんにそう答えてくれました。

 父上も頷いているからそう言う事で話がまとまったみたい。


信長「そうですか……でも女ばかり増やしてもなんの役にも立たないのではないですか?」


 母上の話を聞いて信長にいちゃんは少し納得いかないようでそう話したよ。

 信長にいちゃんにもチャント身の回りの世話をしてくれる侍女はいるのだけど女に周りをうろちょろされるのは好かんと言って、侍女を連れて歩いたりはしていないんだよね。

 僕はおしゃべりしたり遊んでもらえるからチヨとほとんど一緒にいるけど、信長にいちゃんは硬派な男の子なのです。


土田御前「勘十郎ちゃんはまだ子供だしコレからもっと出来る事とか行動範囲も広がっていくでしょうから見ていてくれる人が多い方が安心なのよ」

信長「……そうですか」


 信長にいちゃんはまだ少し納得してないみたいで桜と僕を見ています。

 食事の時までこんな風にベタっと僕の側にチヨとか侍女の誰かがいた事はないのだけど、桜に部屋で待っていてって言っても付いて来ちゃうし側から離れないのだから仕方ないのだけど、信長にいちゃんに軟弱な男の子だと思われてしまったのでしょうか。


土田御前「それじゃあ食事にしましょう。ぜんを運んでもらえますか?」

侍女「かしこまりました」


 母上がそう話すと膳を持った女中さんたちがわらわらと入って来て僕たちの前に夕食の乗った膳を配り始めました。

 今日のごはんはなにかな?


女中「勘十郎さま、どうぞ」

勘十郎「ありがとう」


 女中さんが置いた膳に焼き魚の姿が見ました。

 おっ、今夜はお魚ですか。

 シンプルにお塩をふって焼いただけの物みたいだけどとっても美味しそうだよね。

 見ているだけでお腹が減って来ちゃった。


土田御前「みんなに行き渡ったみたいね。それではお前さま」

信秀「うむ、それでは食べるとするか」

土田御前「はい、いただきます」

信長「いただきます」

勘十郎「いただきます」


 父上の掛け声でみんなはしを持って食事を食べ始めました。


勘十郎「まずは、小皿に乗っているこのたくあん……じゃなくて大根の塩漬けから食べようかな。ぱりぽり……」


 うん、ちょっと塩味が強い気がするけど美味しいね♪

 この口の中に塩っ辛いのが残ったままごはんを一口……ぱくり、うん、ごはんを食べると塩っ辛さが薄まってちょうどいい感じ、この時代の食事も言うほど悪くはないよね。


桜「じぃーー」


 むむっ、桜が僕のすぐ隣に来てジッと僕を見ています。

 そんなに近くで見られていたら食べづらいのだけど……。


土田御前「あら? サクラさんも食べたいのかしら。それでは誰か膳を持って来てもらえますか」


 ありゃ、母上に気をつかわせてしまったのかな?


信長「母上、使用人にソコまでする事はないのではありませんか? そいつは他の侍女と同じように向こうで勝手に食べさせれば済む話でしょう」


 うーん、この場合は信長にいちゃんの言う事の方が正しいのかな。

 ココは僕たち家族が食べる場所だから他の侍女とか侍女扱いの桜がココで僕たちと一緒に食べるのは前代未聞と言うかマナー違反みたいな感じになっちゃうよね。


土田御前「まあ、そう堅い事を言わずに、サクラさんは今日初めてココに来て、色々勝手が分からない事もあるでしょうし、コチラで私たちと一緒に食べてもらしましょう。ねぇ、お前さま」

信秀「う、うむ、そうだな」

信長「……そうですか。分かりました」


 はう、父上まで賛成したら誰も逆らう事はできないよね。

 なんだかごめんなさい。


土田御前「それではお膳を一つ、いえ二つ持って来てもらえますか」


 んっ? 二つってどう言う事だろう?


土田御前「チヨあなたもココで一緒に食べてくださいね」

ちよ「えっ? そんな、お殿さまたちと一緒に食事をするなんて、そんな畏れ多い事はできませんよ」


土田御前「そう堅い事を言わずに、サクラさんは色々分からない事があるでしょうし、一緒に食べながら色々教えてもらえると助かるわ」

ちよ「あっ、そう言う事ですか。それなら申し訳ありませんが、ご一緒させていただきます」


 あっ、さっきの僕の部屋での事を見ていて母上はそう話してくれたのか。

 確かに僕一人だけよりチヨも桜を見ていてくれたら安心だよね。


土田御前「サクラさんは勘十郎ちゃんの隣りが良いのかしら。それならサクラさんチヨの順で座ってね」

ちよ「はい。サクラさんもう少し若様から離れてこの辺りに座ってください」

桜「……こくこく」


 と言う訳で僕の隣に桜その隣にチヨが座りました。

 

侍女「どうぞ」

ちよ「あっ、すみません。ありがとうございます」

桜「…………じぃーー」


 女中さんが桜とチヨの分の膳を運んで来てくれました。

 それじゃあさっそく。


勘十郎「桜、おはしはこう持つの、やってみて」

桜「……こくこく」

勘十郎「そう、その状態で人差し指と中指をこうして動かすとおはしの先が開いたり閉じたりするからそれでオカズを摘んで食べるの、わかった?」

桜「……こくこく」


 念のためにおはしの持ち方と使い方を教えてあげたけど教えてあげて正解だったかも、ちょっとぎこちない感じの持ち方だけどチャントおはしの使い方はマスターしてくれたかな。


信長「なんだその女は、はしの使い方も知らないのか。いったいどこの田舎なら連れて来たのだ」


 はぅ、信長にいちゃんがおはしの使い方を練習している桜を見て呆れたようにそう話しました。

 おはしくらいチャント使えないとそれはオカシク思われてしまうよね。


土田御前「まあまあ、分からなければ教えてあげればそれで済む話だからそんなに怒っちゃダメよ?」

信長「怒っている訳ではありませんが、そんな女を雇ってもなんの役にも立たないのではありませんか?」

土田御前「まだ初日ですし、そんなに焦らないで長い目でみてあげましょう」

信長「はぁ……」


 はぅ、母上がフォローしてくれたけど信長にいちゃんは納得してないみたい。

 桜が追い出されてしまわないようにシッカリ教えてあげないとだよね。


勘十郎「それじゃあ、そのおはしを使ってごはんを食べます。こんな感じでお茶碗に入っているお米を取って食べるの。ぱくり……やってみて」

桜「こくこく……そぉーー。ぱくり……?」


 桜が僕の真似をしてお米を落とさないように気を付けながらお米をすくって食べました。

 なんだか首を傾げているけど一応チャント食べれたみたい。


勘十郎「それでは次は大根の塩漬けを食べてみましょう。こうしておはしで摘んで食べるの。やってみて」

桜「こくこく……そぉーー。ぱりぽり……!! ぱりぽりぱりぽり……」


 あっ、こっちの方が簡単に摘んで食べれているみたい。

 大根の塩漬けの方が固いから摘みやすくて食べやすいのかもしれないね。

 そうかコッチを先に教えてあげれば良かったのかな。


桜「ぱりぽりぱりぽり……」


 って、メッチャ食べている。

 あっ、大根の塩漬けの方がお米よりシッカリ味が付いているから美味しく感じておはしが止まらなくなっちゃったのかもしれないね。


勘十郎「それではメインのお魚を食べます」

桜「こくこく……」

勘十郎「まずはお魚の皮を剥がします。このお魚の背中とお腹の間の色が変わっている境目の部分におはしを当てて、すーっと、おはしを横に動かします。やってみて」

桜「こくこく……すーー」

勘十郎「うん、それでその皮をおはしで摘んでペラっとめくると皮が取れてお魚の身が見えるの」

桜「ぺら………!」


 うん、上手に皮が剥けたみたい。

 少し皮が残っている場所もあるけど皮ごと食べちゃう人もいるからそのくらいは問題ないでしょう。


勘十郎「それではその身をおはしで摘んで食べます。お魚には骨があるから気を付けて食べてね。はい、やってみて」

桜「こくこく……ぱくり……!! ばくばくばく……」


 えっ? ええーー!! お魚を手掴みして頭がむしゃむしゃ食べ始めちゃったよ!

 ええーー、それはお行儀が悪くないでしょか!


信長「なんだその女は、手掴みで食べるなど野生の猿とか動物みたいな女だな」

土田御前「あらあら、サクラさんは随分と大胆な食べ方をしているのね」

信秀「なっ」


 うわ、信長にいちゃんたちが桜を見て驚いてなにか話しているよ。

 こんな食べ方を見たらそれは驚くに決まっているよね。


桜「……けぷっ」


 うわ、尻尾まで全部丸かじりにして食べちゃった。

 皮どころか骨ごと全部食べちゃってお腹とか壊さないか少し心配です。


信長「なんなんだその女は、ほとんど魚を丸呑みにして食ってしまったではないか」

土田御前「うふふ、サクラさんはお魚が好きだったのかしらね」

信秀「ふむ、なかなか見ていて気持ちの良い食いっぷりではあったな。はっはっはっ」


 はぅ、母上と父上は笑っているけどコレは教えるのは大変みたいだね。


桜「……じぃーー」


 んっ? なんだか桜が隣のチヨのお膳をじぃーーと見ているのだけど。

 もしかしてコレは……。


桜「ひょい……むしゃむしゃむしゃ……」

ちよ「えっ? ええーー、それはチヨのですぅう。チヨのお魚返してぇええ」


 わわわ、やっぱりチヨのを食べちゃった。


信長「むむむっ、人の物を盗んで食うとはなんといやしい女なのだ」

土田御前「あらあら、これは大変、どうしましょう」

信秀「あっはっは、そこまでされるといっそ清々しい気すらするな。儂にもなかなか面白い女子おなごに思えて来たわ。あはははは」


 あわわ、コレはお行儀とかチャント教えられるのか少し不安になって来たよ。

 むしゃむしゃとお魚を食べる桜を見ながら僕はそんな事を思うのでした。

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