もう二度と、書かない、呼びかけない、問いかけない
以上……
これが今、リアルタイムで俺が置かれている立場の実況だ。
身体中が固まって、背筋が冷たくなっている。
届いたメッセージから、まだ目が離れない。
3回目だと?
それって、俺より上ってことじゃないか?
ずっと俺の行動を見てたのか?
こいつは何度も同じ終わりを見て、何度も同じ場所に戻ってきている人種。
画面の向こうにいる人間は、世界の終わりを知っている。
つまり仲間、なのか?
「……何で連絡してきた?」
と打ち込むと返事は、すぐに来た。
⸻そんなことしても、どうにもならないよ。ぼくも書いてたからさ
その一文を見て、俺は苦笑した。
ああ、やっぱりか。
俺たちは、同じことを繰り返している。
警告を文字に残していくが、誰にも信じられない。
ぜんぶ、頭のおかしい人間が書いた妄想小説、
って扱い程度ってことか。
⸻自己満で書くんじゃなくて、次の段階に進まない? 傍観者のままじゃ何も変わらないよ?
次の段階?
こいつが何をしたいのかわからなかった。
ただ、言いたいことは何となく伝わった。
部屋の片隅でパソコンを打つだけで満足げな俺への不満、
その限界がついに来たってとこか。
「……わかった、会って話そう。お前の連絡先を教えてくれ」
すぐに電話番号らしき数字が届いた。
俺は、電話番号をメモし終えるとそこでパソコンを閉じた。
あいつは、自分も書いていたと言った。
何のため? 話の内容からすると何かを変えたかったから……
未来を救いたかったってことか。
俺も、そうだった?
確かに、そういった願望もどこかにあった。
でも、それはほんのわずか。
俺は、こんなの書いても何かが変わると思ってない、そういう姿勢を貫いた。
信じるやつなんているわけないし、たとえ現実に起こったとしても、
本人じゃなければ、他人事の変わった出来事のひとつって感じだろ。
じゃ、何のために俺は書き続けたんだ……
自己満という、あいつの言葉が蘇った。
そうか、これは俺が嫌いだった自己承認欲求ってやつだ。
名もなき一般人だったのにさ、過去に戻ったと言うだけで、
自分が特別であると、無意識のなかで思ってたんだな。
がっかり、だろ……
あいつはそれを気づかせたかった。
あるいは、1度目のあいつもそうだったのかもしれない。
だとすれば、あのメッセージは俺に対しての警告だよな。
こんなことをいくら書き並べても、何も変わらない。
無意味、それこそ貴重な時間のムダ使いってやつさ。
そこに気づいた以上、もうこの先、書き続ける意味はなくなった。
だから……
最後にひとつだけ言わせてくれ。
俺の文章を読んで「理解できた」と思ったやつがもしいたら、
それは、未来の崩壊を一度経験している可能性があるということだ。
その記憶が消されているだけ、だから何としても思い出せ。
そして、俺たちと繋がってくれ。
俺はここで書くのを止める。
でも、これは終わりでない、
この世界から一旦、切断される、
それだけのことだ。
(名もなき未来の一般人)
全てのデータが消えてしまいました。
機械の不具合、ネット上の問題、わたしの何らかのミス……
といったトラブルが最初にあって、白紙にしようと思いました。
でも、
こんなわけのわからない物語でも、読んでもらえたのなら、
ここに書き続けた甲斐がありました。
そんな読者皆様に感謝いたします。




