第11話 ラブソング 〈ゆくらみんゆい〉
「君のことが好きだから
君のことが好きだから
今君に伝えたいんだ
この気持ちを」
アップテンポな曲が流れ始め、鳥羽くんはリズムに乗って歌い始めた。恥ずかしがっていた割には結構ノリノリだ。知ってる歌だったのかな?
私自身も、この歌は聞いたことがあった。たしか「君のことが好きだから」だったかな? 結構そのままだけど。
すると、鳥羽くんがちらっと私を見てきた。もちろん、歌いながら。もしかして、私も一緒に歌っていいってことなのかな?
マイクのスイッチを入れると、彼は微笑んだ。私の推測はあっていたみたいだ。
疲れているというのもあったけれど、やっぱり最後は一緒に歌うのもいいかもしれない。私はマイクを口に近づけ、鳥羽くんの声に合わせて歌った。
「君のことが大切で
君のことが大切で
今君に伝えたいんだ
この気持ちを」
曲も終盤にさしかかる。この曲が終われば、帰らなくちゃいけない。
打ち上げ、楽しかったなぁ。
また、こんなことができたらいいなって、私は思った。
「じゃあね~」
「またなー」
カラオケ店を、みんなで出た。パーティールームの人たちは、楽しげに部屋から出てくる。
その中には、鳥羽くんと仲の良い舞桜さんもいた。うつむいている。少し暗い雰囲気だ。
と思ったら、不満げな顔で私を見てくる。な、なに?
「……絶対、許さない」
敵意むき出しの彼女は、私を睨みつけながら低い声でそう言った。こ、怖っ!
なんのことだろう? 私、舞桜さんに許されないような事なんて、何もしていないんだけど。
まさか、鳥羽くんと私が二人っきりになったから……とか? もう、やだなあ。
何で女の子ってこう、面倒くさい性格の子が多いんだろう。私と鳥羽くんが同じ部屋になったのは運だし、別に仕組んだわけじゃない。それを恨まれても困る。
「じゃあ、帰ろうか」
鳥羽くんの笑顔は私のオアシスだ。私もつい、ほんわかしてきて笑顔になる。こういう人って、やっぱりいいよね。
すると、遥がにやにやしながら近寄ってきた。そういえば、遥はパーティールームにいたんだっけ。
「麻友、せっかくなんだし鳥羽くんと一緒に帰れば?」
「へ!?」
私は驚いて、大きな声を出してしまった。慌てて口を押える。まあ、もう遅いんだろうけど……。
遥はああやって言うけど、そもそも鳥羽くんと私の家は遠いし、一緒に帰れるはずがないよ。そりゃあ、一緒に帰れるものだったらそうしたいけれど、そんなことできるはずがない。
現実は、そう甘くないんだよ。
そう思っていると、鳥羽くんから声がかかった。
「望月さん、もしよかったらだけど、一緒に帰らない?」
「え!」
横で遥がにやにやしている。もう……。
すると鳥羽くんは「舞桜も一緒でよければ」と付け足した。舞桜、さん。
(そんなこと、ある?)
こういう時に、私はついてない――――。




