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第四話

いつまで蹲ったままだっただろうか。

都の側でない窓から差し込む月明かりが陰った。

見ると、何かがはためいている。逆光でよく見えなかったので、目を凝らす。

それは、少年だった。

(髪は長いし、幼子の区別なんてつけられない気もするが、ショタコン((初耳))である私の何かがあれは少年だと教えていた。あ、性欲を抱いているわけではないのでご安心ください。)

少年はゆっくりと腕をこちらに向けて何語とかつぶやいたようだった。

すると、ゲームで見るような魔法陣があらわれ、そこから衝撃波が生じた。

そして、窓のガラスが割れた。その破片が飛び散り月光を反射させている様子はとても幻想的で、私はついそれに魅入った。

正気に戻ったのは、私の前にその少年が立っていると気づいた時だった。

「お前が、ニカか。」

「え、」

なぜ、名前を知っているのか。

「魔力で偽装した様子もない。本人か。」

私の姿も知っているのか。

いくらショタコンといえども、限度がある。さすがに不気味に思っていた私だったが、次の言葉で、それらは吹き飛んだ。

「誘拐させてもらう。」

ホワッツ??

「俺は、魔王の息子、フィリップ。父上の復讐にやってきた。」

なるはどぉ〜。敵の姉さんと樹と関わりの深そうな私をさらうことで精神的苦痛を味あわせ、人質にするんですねぇ〜。………絶体絶命じゃない?

死ぬかも、と思ったら、先ほどのことを思い出した。

死んだ方がマシかもしれないとまで考えたのだ。

相手はショタ。誘拐されれば二人と顔を合わせずに済む。私は、少年を見た。

落ち着いて見れば、なんという美少年だろう。

こちらの世界に写真がないのが悔しい。

ちっちゃい!かわいい!

「……何か失礼なことを考えただろう。」

「いえなにも。」

コンプレックスだったりするのだろうか。

「……で、誘拐だっけ?イイヨ!!」

私は、グッと親指を立てて言った。

さすがにこれほどまでに協力的になるなんて思っていなかったのだろう少年……フィリップくんは、唖然としていた。

「え、なに、いいの!?本来誘拐って、無理やり連れてくものじゃないの!?なんでそんなに乗り気なの!?怖くないの?」

なんだがそこまで怖くなさそうな反応が返ってきて、余裕ができる私。ここは主導権を握らせてもらおう。

「ショタを怖がるなんて、ショタコンじゃないわ。」

いやまぁ、最初は不気味だなとは思いましたけど、あくまで『不気味』だから。怖いとは言ってない。

まだ納得いかないような表情のフィリップくんに、私は続ける。

「それに…………今は、あの二人がいないところにいたい。」

ここにいても、また会ってしまうだけだ。

私が差し出した手をフィリップくんはゆっくりと握った。

外に、人が駆けつけてくる音がした。

足には自信があったんだが。

「二花!!!ガラスの割れる音がした!!!なにがあったんだ!!!」

なるほど。そのせいか。

「早く、行こう。」

「いいのか?」

「誘拐犯のセリフなの?それ。」

「それもそうだな……。……追跡魔法や探知魔法の痕跡はなし、と。」

何かを確認された後、彼は窓辺に立ち、どこからか大きな翼を広げた。

そして、私の両腕を握り、夜空に飛び立った。

足が離れる直前、ガタンと扉が開いた。

「二花!!」

「二花ちゃん!!!」

二人がこちらに手を伸ばす。

しかしそれは空をきった。

ごめんなさい。ちょっとした家出です。

「……いいのか?」

「ん?なんのこと?あ、いいよ〜。ショタの手の感触♡ショタと手ぇ繋いじゃった〜。」

「…………離すぞ。」

「すんませんっした!」

後ろめたさを誤魔化すように、見当違いの答えを返す。夜の上空に吹く風はやはり冷たかった。

読んでくださりありがとうございます!!!

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