1.憧れのジューンブライド
1.憧れのジューンブライド
6月。大安の日曜日。この日のために二年も前から押さえていた。
二年前、婚約者はおろか、彼氏と呼べる存在すらなかった。二年あればきっと何とかなる。そう思っていた。
そして、今、純白のウエディングドレスを着て鏡の前に座っている。
二年前…。
「結婚式を挙げるのなら、やっぱり6月よね」
親友の典子が言った。
典子は会社の同僚。会社帰りに立ち寄った居酒屋での会話だ。
「ジューンブライド!憧れるわよね」
「そう!ジューンブライド。6月の花嫁は幸せになれるっていうものね」
「私も結婚式を挙げるのなら、絶対に6月にするわ」
「あら、誰かいい人でも居るの?」
「今は居ないわよ。もし、そうなったらの話よ」
「そうなんだ…。翔子、私ね…。私、プロポーズされたんだ」
「えっ?ウソ!」
「本当よ。でも、式は残念ながら秋なんだけどね」
その時の典子のにやけた顔が忘れられない。と、同時にとてもショックだった。
大学を出て今の会社に入社した。典子とは同期入社で入社以来の親友だ。会社帰りにしょっちゅう、女二人で飲み歩いていた。他の同僚や後輩が次々と寿退社していく中で、私たちは7年間女二人でつるんでいた。だから全く気がつかなかった。典子にプロポーズをしてくれるようは人が居たなんて。
「30までには結婚したいね」
「そうだよね!会社でお局様みたいに見られるのは嫌だよね」
そんな話を典子が振って来たときに気付くべきだった。典子は願い通りに29歳で結婚することになった。
完全に油断していた。私も本格的に婚活を始めよう。30までには叶わないかもしれないけれど。だったら、せめて6月の花嫁になってやる。
私は典子に結婚の報告を受けた翌日、結婚式場に飛び込んだ。6月の大安の日を抑えるためだ。
「二年先になりますね…」
「それでいいわ。そこを予約します」
ニ年後の6月28日。大安の日曜日だ。憧れのジューンブライド。絶対に幸せになってやる!




