4話
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「これがいい。ピザ」
「華凛ちゃんはマルゲリータね? おっけ~。楓蓮さんは?」
「カルボナーラでお願いします。あとテリマヨのピザとか、一緒に食べませんか?」
「はい! 喜んで! でも1切れくらいしか食べれないかも」
華凛ちゃんがマルゲリータのピザ。楓蓮さんがカルボナーラのスパゲティでウチもミートソースのスパゲティ。そしてテリマヨのピザを皆で食べるというミッションが課せられた。
先に「あんまり食べれません」と言ってあるので、残しても大丈夫だよね? かなりのボリュームだとは思うが、ここは楓蓮さんを信じて食すのみ。
で、先ほどのピンク白竹さんの話題に戻るんだけども……
なんというか、色々とおかしい。
いあ、絶対おかしい。
それしか思い当たる感想が出てこないという事態に陥っていた。
そりゃまだ学校でも2日しか知らない白竹ちゃんだけど、何かもうおかしいんだよ!
別に彼女の何を知っているとか、そんなの関係ないくらい俊敏すぎる。
しかも、今までの彼女からは感じなかった「カッコよさ」というパラメータが爆上がりしている。
それは白竹ちゃんに必要なのか?
勇ましさというか、そういうカテゴリーまで極めなくてもいいでしょ?
【すごいね。お姉ちゃん達の友達】
【ははっ。ちょっとこの動きを見るのは初めてかな?】
必死にその場を取り繕うウチであった。
【お姉ちゃんみたい! あ、えっと~楓蓮お姉ちゃんのことだよ。ビュンビュン飛び回るのはお父さんももそうだし、お姉ちゃんもあんな風にビュンビュンするよ】
そ、そうなの? でもあれ。ちょっとオカシイよ?
あんなの人間じゃないよ?
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「お待たせしました。こちらマルゲリータとツナマヨのピザ。カルボナーラにミートソースのスパゲティです! ごゆっくりどうぞ~」
テーブルに運んできた白竹ちゃん。ニコっとスマイルは殺人級だ。
殺人級なのだが……なんかちょと変な気がする。
学校で見せるようなオドオドした雰囲気が全く感じられず、どこか堂々としてて、目にも凄まじい力があるというか……まるで別人のようだ。というか別人だよな?
そして俊敏。
コレだよ。動きがなんていうか早すぎてオカシイんだよ。
接客は白竹ちゃんと小太りの爺さんぽい人と2人で走り回っている。
客は20人くらいだろうか? ほぼ満席なのに、回せているのが凄すぎる。それもこれも白竹ちゃんの4倍速での動きが全てをカバーしているんだよ。
極めつけは……アレだ。あの動きだよ。
ジャンプしてる。それだけなら問題はないと思う。だけどその跳躍力が色々と問題がある。
地上から3メートルくらい飛んでる。
客の頭上を余裕で飛び越していくあの動きは一体何なんだ?
「と、飛び越してるよね?」
と、思わずつぶやくと、楓蓮さんが
【あれは俺もできますよ】
何か……張り合ってるだと?
そんでもう一つ。やめてほしいんだけど、
厨房の中から、料理が店内に飛んでくるんだ。
あぁマジでやめてぇ。落ちるぅ!!
それを空中でキャッチしてお客さんのテーブルに置いて「お待たせしましたぁ」とかニコニコして言うの怖すぎるから!
アイツだ! あのジジイが悪い! アイツが料理をボコスカ投げやがるんだ!
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さて、豪勢な料理を前に喜んでいたのもつかの間、結構な量なんで完食が難しくなってきた。残しちゃダメだとママからキツく教えられたウチは何が何でも食わなければ、そういう使命感があった。
欲張ってツナマヨのピザを2切れ食べたのが致命的だったのか、ミートソースのスパが来た瞬間に「この量はマズい」と思っていたが……
それにしても、楓蓮さん。めっちゃ食べますね。こういう所は男の子なのだろうか。
華凛ちゃんもモリモリ行くね~気持ちいいくらいピザがなくなっていくぞお。
「加奈子ちゃん。デザートはどうする?」
うぅ……吐きそうっす。なんて言えない。
というか急に飛んできた加奈子ちゃん呼びに、ウチは一瞬で冷静になる。
「ウチはいいっす! 楓蓮ねーさんは?」
「私は……このパフェが食べたいです。華凛はどうする?」
可愛く言い放つ楓蓮さん。吐きそうっす。じゃなくて……
そうなのだ。彼女は今、黒澤蓮ではなく、白峰楓蓮として振舞っているのだ。
完全に……女になってしまった楓蓮さん。
とてもじゃないが、中身が男の子の心を持っているとは誰も思わないだろうな。
「じゃあこれ! このちっちゃいソフトクリーム!」
華凛ちゃんもまだイケるのか。胃袋は兄弟ですね。
「ちょとウチは……やめときます。お腹パンパンっす。遠慮じゃなくて本気で無理です」
本当に無理なんだ。冗談とか、そういうんじゃなくて、これ以上食べることがウチにとっての冗談っす。
そして食べた食器を重ねていると、タイミングよく厨房から出て来たのは魔樹くんだった。
「おさげしま~すぅ」
そういいながら食器を回収していく魔樹くんに……ウィンクされた。
その後、クネクネしながら厨房に消えていく。
ごめん。何か……イケナイものを見た感じになった。ウチにそういうサービスされても困るから。
「実は、あの男の子も同じ高校になったんです」
ここはあえて楓蓮さんに喋ってみる。すると、
「そうなんだ。あの男の子もカッコよかったよね?」
そう返す楓蓮さんがニコニコ笑顔でさ、完璧すぎて泣きそうになってしまう。
もう完全に別人ですよ楓蓮さん! もう女の子として生きてもいいと思います!
「加奈子おねえちゃんは本当にいいの? 小皿貰って、楓蓮お姉ちゃんの、少し分けてもらう?」
「いやいや、いいですよ。もう本当に限界。ミートソースの量が……」
マジで多かった。あれで普通サイズだったのか?
300gくらいあったような気がするんだけど。
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「イチゴパフェとソフトクリームお待たせいたしましたぁ」
白竹ちゃんが持ってきてくれると、後は姉妹が食べるのを眺めておけばいい。
そう思ったのに……
楓蓮さんたちが食べ始めて2分後くらいに、魔樹くんが近づいてくるのはいいんだけど。
ウチらのテーブルに、楓蓮さんと同じようなイチゴパフェを置いていくのだ。
「間違えて作っちゃったのです。なので、み、三輪しゃん。三輪しゃんどうぞぉ。あ、お代は必要ありませぬ。さ、サービス? サービス精神……タダとか、そんな感じで勘定に入りませんからね。安心してくださいね」
魔樹くんが喋っている間、身動きが取れない。
というか動いたらヤバそうな気がした。
何かさ、魔樹くんの喋り方があまりにもクネクネしてて、恥ずかしそうに喋る姿は学校で見かける白竹ちゃんそのものだった。
「ぼ、ぼくも、な、仲良くしてくれると、嬉しいですぅ。み、美優もね、み、みわしゃ……ゴフゥ!」
一瞬何が起こったか分からなかった。
気が付いた時には、魔樹くんはその場に崩れ落ちてて、その身体を白竹ちゃんが片手で引きずって厨房に投げ捨てていた。そういう映像が流れていた。
ごめん。説明が下手だったら謝る。
だけど、ウチに言わせてみれば、これ以上解像度の高い説明はできなかった。
あと、サービスでいただいたイチゴパフェは白峰姉妹が平らげてくれました。
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「ありがとぉございました! また来てくださいっ! 三輪さんっ。学校でもよろしくねっ!」
白竹ちゃんに見送られて喫茶店を後にしたのはいいんだけど、暫く歩いてからウチはこう切り出す
「白竹さん。凄かったですね」と。
「弟さん。白目になって3回転くらい回ってましたよね」
楓蓮さんがそういうと、
「投げ捨てられてたよね?」と華凛ちゃんが言うからウチは吹き出してしまった。
白竹ちゃんさ……アンタさ、激強いんですね。
後ろからビンタかまして男の身体が横にグルングルン3回転回るんだぞ? どんな威力なんだよ!
「でもなんか……学校の白竹さんとはまるで別人ですよね?」
違いすぎるだろ。まぁそれは楓蓮さんも気が付いたようで。
「うんうん。ですよね。さっきの白竹さんは何ていうか……覇気というか、そんな感じがヒシヒシと感じて来たというか……とても学校の白竹さんとは違う感じがしました」
楓蓮さんがいうには、目力が凄まじかったというのと、あの俊敏な動きが気になったということ。
あの動きは常人のそれではなく、相当鍛錬したヤツじゃないとあんな動きが出来ないらしい。
「あんな動きをしろと言われれば出来ますよ。まぁ接客もしろと言われたら、それは訓練しないと無理ですが」
何か、張り合ってるんですか? そんな風にも思ってしまいます。
「ねぇ。コンビニ行こうよ」
ナイス華凛ちゃん!
「あ、ウチも寄って行こうかな」
「行きましょ! コーヒー買って帰ります」
というわけで、コンビニに寄るのはいいんだけどさ、
ウチが一番苦手とする人種がコンビニ入り口の横に座っている。
いかにもソッチ系だと思われる女性が2人。イカツい人達だな。
一人はロン毛の金髪さんで、もう一人はウチよりも小さいガタイだったが、木刀持ってるし。
あ~ぁ。もうさ、こう言う人たちだけは本当に苦手なんだよ




