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世界観について

かつて二つの世界は、同じ地形を持ちながら、互いに交わることなく存在していた。しかし、次第に世界同士の距離が近づき、人間や妖怪が別の世界へ迷い込む「神隠し」が増加していく。


やがて人類は、並行世界の存在を科学的に証明する。並行世界の新たな物質「霊素」は人類の新たなエネルギーになるとして研究が進められた。ところが、その研究によって二つの世界の接近が加速し、証明から二年後に世界は融合しかけてしまう。人類は融合を食い止めようとするが、十年にわたる抵抗の末、二つの世界は完全に融合した。


両世界は同じ地形を持っていたため、融合後も大地の形そのものは大きく変わらなかった。しかし、人工物は消滅。世界には妖怪の生命力の源である「霊素」が満ち、植生や生態系、環境は一変する。高濃度の霊素に適応できなかった多くの人間が命を落とし、現代文明も崩壊した。


完全融合から約三百年後、人間は五人の統率者を中心に霊素濃度の低い土地に国や集落を築き、集団で暮らしている。一方、妖怪は主に霊素濃度の高い森や山を中心とする「霊域」に生息し、それぞれの縄張りを持って生きている。


妖怪は人間よりも強大だが、必ずしも人間を敵視しているわけではない。基本的には個として生き、縄張りを侵されなければ人間に関わらない者が多い。


この世界では、妖怪は神として崇められていた。完全融合直後を生きた人々は、五人の統率者を中心に後世の人間へ妖怪の縄張りや性質を伝えるため、それらを神話や詩として残した。しかし時代が進むにつれ、本来は人間を守るための知恵だった伝承は、信仰や支配のために利用されるようになった。


現在の人間の国では、五つの有力な家系である「五家」が政治を支配している。五家は本来、権力を分散させ、互いの暴走を防ぐために生まれた。しかし、長い年月の中で結託し、現在では自らの利益を守るために国を動かしている。


そんな中、霊素に完全に適応した人間「皓月」が生まれる。それに気づいた五家は人口増加による食糧難や貧困に対する民衆の不満を全て妖怪へ向け、妖怪を「偽りの神」として討伐の対象にし、「真の神は皓月だ」と民衆へ周知した。五家は人間の生存と領土拡大のため、人間を騙し続けていた偽りの神への制裁を大義に掲げながら、妖怪の縄張りを奪おうとしている。


人間は弱いからこそ集団を作り、文明や制度を築いた。しかし、その集団はやがて欲望を正義へ変え、他者から土地や命を奪うための力となった。


一方の妖怪は強大で危険だが、人間のように大義や正義を掲げて行動を正当化しない。縄張りを守り、敵には怒り、受けた恩には報いるなど、自らの感情や本質に忠実に生きている。


人間の浅ましさと、妖怪の純粋さ。


二つの世界が融合した地球を舞台に、人間と妖怪の対立、信仰と歴史の変質、正義を理由に他者から奪うことの愚かさを描く世界である。

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