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プロローグ
こんな話を聞いたことがあるかい?
時折、天空に巨大な雲が出現する。その雲の上に都市が存在すると言う話を。
それは天空に飛び立ったと言われる、はるか過去に失われた都市。
嘘かまことか知らないが、こんな逸話がある。
空から黄金が落ちてきた。他にも宝石が落ちてきた、とか。何もないはずの場所に魚が落ちてきたという話まである始末。他にも建造物の一部が落ちてきたという話もある。
だが天空に浮かぶ都市の存在を証明できたものは、誰一人としていなかった。
その都市へ足を踏み入れたものが、誰一人としていないのだから。
ただの噂話。
けれど誰もが知っている伝説。
けれどこの話には続きがある。
たった一人だけ。
この天空に浮かぶ都市に、たどり着くことを許された人間がいた。
彼か、それとも彼女なのか。何年かに一度、一人だけ必ずその都市へと旅をするものが現れる。その旅人は何故か、その都市へと至る道を知っていた。
それが唯一都市へと入ることを許された存在。
何故に許されているのか。
何故一人だけに。
誰もその理由を知らない。
これは、その都市にいるとされる“守り手”の話。
そして失ったものを取り戻そうとした者の、物語。




