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6・シーフギルド

本日6回目の更新になります。

 曲がりくねった狭い路地。

 今は突然、現れた美少女——アリサさんに付いていくだけなので大丈夫であるが、一人だけならすぐに迷子になってしまいそうだ。

 やがて辿り着いた場所は建物の入り口……とは一見しても分からないくらいの、ぽっかりと空いた洞穴のような場所であった。


「入って」


 アリサさんに導かれるままにして、頭を低くして入る。

 まるで小学校の時に作った秘密基地のようだな。

 だが中に入って俺の印象がいきなり崩れ去ってしまう。


「こ、ここは……!」


 小学生が作った秘密基地のような外観とは裏腹に、中は立派な造りであった。

 異世界に放り出されて訪れた冒険者ギルドのような造りである。


 広い室内にソファーが置かれており、壁には大量の紙が針で貼り付けられている。

 奥にはそれこそ、冒険者ギルドのような受付がある。


「モン、イチャ、ツケル。もう戻っていいわよ」


「「「は、はい!」」」


 アリサさんに言われ、チンピラ三人が背筋を丸くしてドアの向こうへと消えていく。

 ちなみにこの室内。ドアがいくつか存在している。

 どうやら他の部屋もいくつかあるらしい。


「ここは何処ですか?」


 アリサさんにそう尋ねる。

 するとアリサさんは優雅な動きでソファーに座り足を組んだ。

 スカートと靴下の間から見える絶対領域の白い太股に自然と視線が寄ってしまいそうだった。


「ここはシーフギルドよ。そして私はここのギルド長」


「シーフギルド? ギルド長っていうのはここで一番偉いってことですか?」


「ええ、その通りよ。

 あなた死にかけていたわよね? 田舎から王都にやって来た、というところかしら? それでお金を稼ぐ手段がなくて困っていた……というところかしら」


 全てを見透かすようなアリサさんの瞳。

 殆どアタリだ。

 唯一外れたところは『田舎から王都にやって来た』という部分であるが、まさか異世界から召還されたとは夢にも思うまい。


「ああ、そうそう。忘れていたわね。はい——これ飲みなさい。お腹は膨れないと思うけど、死にかけの状態は何とかなるはずだわ」


 そう言ってアリサさんは俺の方へ一つの瓶を投げかけた。

 瓶の中には緑色の液体が並々と注がれている。


「知っているでしょ? ポーションよ。それを飲んでおきなさい」


 ポーション!


 ゲームや小説にて回復薬として使われる液体だ。

 アリサさんの言葉に従って、瓶に口を付けポーションを一気に体に流し込んでいく。


 味は栄養ドリンクを不味くしたような……そんな味だ。

 しかしポーションが体に染み渡っていき、体に活気が戻っていくのが実感出来た。


「ありがとうございます」


「後で返しなさいよ」


 どうやらタダじゃなかったらしい。


「それで……話を戻すわね?

 田舎から王都にやって来た人でも体一つでお金を稼ぐことが出来る。それが冒険者、という職業。命の危険はあるけど、冒険者になって地下迷宮に潜り込めば一攫千金も狙うことが出来るわ。

 でもシーフという職業は犯罪ジョブと言われ、冒険者になることすら出来ない。だからシーフというジョブは悪いヤツ等だ、怖いヤツ等だ、と思われがちだけど実際は逆。社会的弱者なのよ。シーフというジョブだけで迫害され、ろくに生きることも出来ない」


 アリサさんの言葉に頷くしかない。

 シーフというジョブのハンデを異世界に来て三日目で思い知らされたからだ。


「そこで私が作ったのがシーフギルド。シーフだけで構成したギルドで依頼があって、それを達成すれば報酬金が支払われるわ。その依頼のことを私達では『クエスト』と呼んでいるし、そういう意味では冒険者ギルドと殆ど変わらない」


「どういう依頼があるんですか?」


「盗みや暗殺よ」


 やっぱりシーフっぽいクエストであった。

 まあ正規の依頼は冒険者ギルドに流れるので、シーフギルドはそういう闇の部分を請け負うしかないかもしれないけどよ。


「分かった? 見てみればあなたのジョブもシーフみたいだし……。あっ、ちなみに私のジョブも今はシーフね」


「はあ」


「何よ。お腹が減ってそうな顔してるわね。今度はあなたのことを教えてくれないかしら?」


 現にお腹が減ってるからな。

 まあアリサさんには情報を貰ったし、命の恩人でもあるのだ。

 この人のことは信じてもいいかもしれない。


 俺は今までのことを洗いざらい語り出した……。

 異世界から召還されて、いきなりシーフと言われたかと思ったら牢屋に入れられそうになった。

 そして城から脱出して、彷徨っていたら路地に迷い込んでしまった、と。


「異世界から召還……なんて信じられないですよね? まあ信じてもらえなかったらいいですが——」


「成る程ね。王家が異世界召還魔法を試している……というのは噂で聞いていたけど、まさかあなたがそうだ、なんてね。だからそんな面白そうなスキルを持っていたのね」


 あれ?

 簡単に信じてくれたぞ。

 もしかしたら異世界からの召還者というのはそう珍しくない存在なのだろうか……。


「そんなわけないじゃない。三百年前の勇者以来、異世界からの召還者はただ一人も現れなかったわ。しかも話を聞くに四十人くらいが一気に召還された……って。王家も頑張ったわね」


 どうやら違ったらしい。

 それならアリサさんはどうしてすんなりと受け入れることが出来たのだろうか?

 そんなことを疑問に感じながら、


「面白そうなスキル? スキルってなんですか?」


「あら、あなた。何も知らないのね……まあ召還者なら仕方ないかしら。スキル、っていうのはその人に備わっている能力だったり才能……まあ説明するより見てもらう方が早いわね」


 アリサさんは表情を崩さず、


「ステータスオープンって言ってみなさい」


 来たよ来たよ!

 異世界召還モノのテンプレ!

 少しワクワクした気分になりながら、


「ステータスオープン!」


 と声を張った。


「そんな大きな声出す必要ないわよ」


 指摘された。ちょっと恥ずかしい。

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