親子の塔13
…
三日月の旗は止まる事なく上がっていく。僕の体は身動きの一つも取れずただ、絞られて持ち上げられて、縄との接点の熱と体の先から無くなっていく熱との区別をつけられないままに死へと近づく。
城の中間地点に達する。最終地点は塔の最上部、庭園と並行に縄がなった地点かそれ以前に僕の意識は止められた血流と共に奪われて、気が付かぬ間に死んでいける。
視界が霞んでいく。痛みが体を包んでいるのだろうけれど、それを伝えられるだけの余裕さえ体にはない。
縄は更に締まっていく。冷たい。足先など最初から地面に置いて来たかの様な感覚で、指先は体と一体化している。喉元から、顎、唇と冷えていって、逃げ場を追われた血液がどんどんと上の方に溜まっていく、脳の付近には熱が容赦なく襲っていき、内側からはち切れんばかりの圧力を感じる。
熱は痛みだ。忘れそうになる、当然区別がついた感覚を僕は再度理解して、その瞬間前に考えていたことを忘れる。
縄は更に締まる。位置は塔の最上部へと更に近づく。
体が先に痛みを忘却した様に、徐々に首から痛みがなくなっていく、冷たい手に触れられてそれが蛇の様に上に上がってくるみたいだった。
僕は忘れる。息をすることも、考えることも、ゆっくりと感じない痛みの中でじっくりと自分の事ばかりを考えて。
最終地点に到達しようと更に近づく。僕は虚ろう。もうすでに意識はない。最後にバチリと何かが切れる音が聞こえて、僕は眠った。
…………
暗闇。この建物はどこにいっても闇が付き纏う、彼は心の中でそう思っていた。ここの製作者が日の光を嫌っていたと言っていたから、それが理由なのだろうけれど。
暗闇は悪い考えが浮かぶ絶好のシチュエーションを生み出す。だからこそ、この闇に塗れた地は罪を犯すにはうってつけである。
およそ何もバレる事は無い。何かを止めるのに、現行犯を発見する以外には方法など無いほどに方法がありふれている。
彼は月夜に照らされる。窓からの光が彼の長く細いしなやかな手足の影を床に落とす。
塔を登る。娘の方の塔では無い。そして、この塔は親子の塔と表現するらしい。その答えは単純なのだろう、いやつまり片方を娘が占領しているという事はもう片側を親が保有しているとそう考えることが出来る。
こちらの塔にも螺旋階段、登る。
螺旋階段には手すりが存在しない。暗闇と階段は合わさると距離を惑わせる。階段を踏み外さない様に螺旋階段の支柱に手を這わせながら登っていく。
最上部、大きな扉、予感。四罪ヶ楽王断の一室。




