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最終話

 勇者は死んだ。永遠に。何しろ勇者の血に魔王の血が混ざっちゃったのだ。でも仕方ないよね。

 

 私の出自を知った魔族達は、魔王になって欲しいと要請してきたけど断った。そのかわりに魔族の各部族の代表者を集めて合議制にしたのよ。


 そしたら議長に就任してくれと頼まれた。仕方ないから引き受けたんだけどね。力が正義の世界に生きてきた連中ばかりで、話し合いなんか進まないんだ。仕方ないから拳で教え諭したんだけどさ。


 話し合いの重要性を暴力をもって説いた偉大なる英雄アルマ。


 とか書いたビラを人間の王国にまでばら撒いた部族が出た。最後まで敵対してた連中で、おかげで私は笑い者になってしまったのよ。悔しいので殲滅してやろうとしたけど、止められた。


 後任のアリマは、その部族に対して、こう言ったらしい。


 諸君らは戦争においてアルマに敗れ去った。しかしペンを取って戦い、今度はアルマを見事にやっつけた。彼女は人間の王国で笑い者になり、悔し涙を流してる。諸君、ペンは剣より強しとは、このことだ!


 これ以降、この部族では弁論大会や討論会が盛んになり、名うての論客が大勢現れたとか。

 ちくしょー、脳筋のクセに生意気だ。


 魔族と人間の対話も積極的に行われて、小競り合いも当初に比べたら格段に減った。そこで私は死霊都市になったマース王国のトレゴールの浄化するため、各王国、各部族に協力するよう要請を出した。


 この世界に生きる者が協力できる世の中になる。それを世界に知らしめる共同作業。それが今回の作戦だと思うのだ。

 各王国、各部族が出陣準備をしてる間に、あたしは都市の様子を子供や仲間と共に見に行く事にした。


 「マース王国に来るのも久しぶりだよね」


 振り返って仲間を見ながら言った時、異変は起きた。急に身体の力が抜けた。足元の強固な大地が、スポンジのように柔らかい。そのまま果てしなく沈んでいきそうな恐怖感。これには覚えがある。異世界へ飛ばされる前兆だ。


 「アリマ! あんた、体は何ともない!?」

 「どうした、姉貴!?」

 「異世界へ飛ばされた時と同じ前兆がきてる。あんたは!?」

 「俺は何ともないぞ!?」


 あたしとアリマの会話を聞いて子供達にも緊張感が走る。もう時間がない。あたしは間も無く飛ばされる。


 「アリマ、あたしが消えたら、あとは頼むわよ」

 「まかせろ!!」


 アリスが泣きそうな顔で抱きついてくる。私は強く抱きしめてアレスを見た。アレスは決意を秘めた男の顔であたしに頷いてみせる。

 かぁ〜、こんな時に何だけど、こんな顔するとアルスそっくり。萌えるなぁ。


 「途中で投げ出す形になって、ごめんね!」


 アレスも抱きついてきた。なんか泣きそうな顔してる。さっきの男の顔はどうしたのよ?

 でも、これはこれで萌えるね!

 二人を抱きしめ、アリマの顔を見る。シーナの子供達、一緒に戦った戦友、みんなの顔を見る。でも、これが最後とは思わないよ。


 「みんな! 私は必ず戻ってくるから!!」


 そう叫んだ直後、みんなが急激に遠くなる。胸が締め付けられるように寂しい。ああ言ったけど、本当に帰るのは難しいだろうな。


 私は気を失った。





 目が覚めた時、金属か、それとも他の素材か。何で出来てるか分からない廊下に倒れてた。元の世界か、あるいはもっと科学の進んだ世界か。多分、後者だろう。なぜなら廊下全体が柔らかい光を放ってるんだけど、素材そのものが光ってるぽい。


 私は立ち上がると、まっすぐ前に向かって歩くことにした。どんな世界だって、同じ人間が生活してるんだから大丈夫。


 さぁ頑張るぞ!!


終わり


これで終わりです。

読んで下さった皆様、ありがとうございました。


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