第6話 幻想のダンジョン②
「ふぅ……」
現在、ダンジョン9階層目。
当然、出てくる敵も徐々に強くなっていっている。
しかし、最初にゲットした槍と盾は強いし、装飾品のバフ効果もある。プラスにレベルも上がりに上がって、入った時は1だったのが、既に23になっている。
ステータスはと言うと、武器や防具にもレベルやレアリティの概念があったらしく、その他諸々色々を踏まえたした上で武具や装飾品のバフもろもろ合わせての数値は……
攻撃力は、槍で+200、魔物限定だが対魔の腕輪で+110で、合計攻撃力は535になっている。
防御力は、盾で+185、暗影の装束で+210で、合計防御力は500になっている。
魔法攻撃力は、特に上昇する防具は着ていないため、合計魔法攻撃力は150である。
魔法防御力は、暗影の装束で+180で、合計魔法防御力は350になっている。
速度に関しては、特に変わらずで合計速度は135となっている。
魔力は、宝呪の首輪で+120で、魔力総量は280となっていた。
とまぁ、現在はこんな感じになっている。
個人的には、暗影の装束ってのがお気に入りだ。ファンタジーの世界観に合うのかどうかは疑問だが……。それと装束っていう割には少しヴァンパイアとかが着てそうな服なんだけどよ。
とりあえず、暗影の装束は黒を基調とした服なのだが、横に水色のラインが入っている。服とか袖の内側は、赤黒い布で出来ている。どこが影なんだって感じだが、それは防具の効果にある。真影の装束を着ていると、まず魔物に気付かれにくくなる。それと、そもそもの気配が薄くなるため、近付いたところで人間だろうがあまり気付かないらしい。一応オンオフできるから便利な品物である。
とりあえずはこんなんである。
そして、次はダンジョンの10階層。
ゲームとかなら、大体10の倍数階層でボスが出てくるから、少し気をつけたほうが良いだろう。
一応、フレイアにも忠告をしておいたが、不安だ。
俺の方でも、ちゃんと準備をしておく。
盾とか槍の扱いにも慣れたとはいえ、別の危険なスキルでもあったりするかもしれないと思い、ステータス画面を確認する。
すると、槍と盾にある面白いスキルを発見した。
それが、両方にある放出スキルと、槍にある忠誠スキルだ。
放出スキルとは、正式には【天衝光烈】という名前である。
【天衝光烈】スキルは、槍と盾によって放出するのに必要な溜めを作る方法が違う。
槍の場合は、攻撃や忠誠スキルがトリガーとなり溜めが作られていく。
盾の場合は、とにかく相手の攻撃を盾で受けて防ぐことがトリガーとなり溜めが作られていく。
どちらも、溜めれば溜まるほど【天衝光烈】発動時のパワーが上がるらしい。盾で防ぎ続けて、わざと防戦一方に見せてから反撃開始するのも楽しそうだ。
それと、槍にある忠誠スキルとは、投げると自動的に回転しながら自身の手に戻ってくるというモノである。ロマンしかないかっこいいスキルだ。追加効果として、槍の着地点に自信がワープすることもできるらしい。素晴らしい武器だな。後で使ってみるとしよう。
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「準備は良いかい?ルミナス君。」
俺はフレイアを連れて10階層の扉の目の前に来た。
「俺は別に問題ないぜ。武具の準備も完璧だ。いつ扉を開いてもらっても良い。」
別に、俺の方は準備は全てできている。
そのため、開けるタイミングも全てフレイアに委ねた。
「そうか。なら、私に任せてもらおうか。」
「キョンシーの見た目でそんな口調なの良い加減やめてくれないか……」
「無理だねっ。私は君の世界のキョンシーとやらを何も知らない。口調なんてもってのほかだ。」
そうか。コイツ、俺のことを弄んでるな。
俺の趣向を見れる時点で、頭の中にあるキョンシーのイメージ像は見えているんだろう。
それをわかった上でわからないフリをしているのか。
ま、いい。今は10階層の敵に集中力を割こう。
「それじゃ、開けるね。」
フレイアはそう言うと、扉に手を翳した。
その瞬間、押した時とは段違いの速度で、扉がバァンという音を立てて開いた。
奥に居たのは、大きな魔亜人族だった。
1階層に居た筋骨隆々の魔亜人族とは比にならないほどに大きい。恐らくは魔亜人族の中でも上位種族のようなものだろう。
ステータス画面を開いて、目の前の大きな魔亜人族に手を翳すと種族名が出てきた。
こんな機能があったのか。初めて知った。実際ただダメ元でやっただけである。
とりあえず、表示された敵の種族名は魔化亜王族であった。どう見ても魔亜人族の中でも上位種族、かなり強いと思われる。持っている棍棒も、かなり太く大きい。
名は体を表すとか言ってたけどこういうことか。
覚悟決めて凸らないとな。
と思ってたけど、【魔化亜王族】が既にこちらに気付いていたようで、棍棒を上に掲げながら襲いかかってきた。
まぁどうみても殺る気しかないので、俺とフレイアも対抗する。
俺は一旦、盾で敵の攻撃を受け続ける。
しっかしこれ、左腕についてるから右側から来る攻撃は槍で弾くしかない。体制を変えようにも、相手の攻撃速度が速い。少しでも隙晒したら、攻撃に当たるだろう。なので、今はとにかく盾で攻撃を受け続けて【天衝光烈】に必要な溜めを作る。
俺がヘイトを買っている間、フレイアは【魔化亜王族】から離れたところで、魔法を発動させていた。
援護射撃はフレイアに任せるとしよう。それよりも俺は、目の前にいる敵をどう倒すかに集中する。
まず【天衝光烈】で敵に大ダメージを与えて、少しだけでもダウンしてくれたらすぐに槍に持ち替えてから連続攻撃を叩き込む。槍の扱い方は知らないけど、連続攻撃を打ち込んだ後はとりあえず投げてみることにする。スキルの効果で、着地点に瞬間移動できるはずだから、相手の意識をこちらに向けている瞬間に背後をとって後ろから溜まった【天衝光烈】で攻撃とかが良さそうか。
攻撃力の数値はそこそこ上がってるし、結構なダメージは与えられそう。
思い通りにいくかはわからないが、とりあえずやってみようか。
まずは溜まりに溜まった衝撃を【天衝光烈】で放出するところなんだが……これどうやってやるんだ?単に心の中で唱えれば良いだけか?無理だったら叫ぶ。それだけだな。
"【天衝光烈】"
俺が心の中でそう唱えると、盾全体が一瞬だけ青白く輝いてから今まで溜めていたエネルギーを解放し、相手を大きく吹っ飛ばした。
一度に全てを解放したため、征矢自身も衝撃を喰らい、バランスを崩してしまった。
しかし、すぐに体制を立て直して、槍をしっかりと持ち、【魔化亜王族】の方へと走った。
【魔化亜王族】も、すぐに体制を立て直して走ってくる征矢に合わせて棍棒を大きく振るっていた。
棍棒を振り下ろしてくる【魔化亜王族】に対し、征矢は攻撃に合わせて盾を使って棍棒を弾いた。
そして、槍を剣を扱うかの様に【魔化亜王族】を横に薙ぎ払い、斬りつけた。そこから更に、【魔化亜王族】の下から槍を投げて背後に瞬間移動した。ジャンプし宙へと舞った征矢は百烈スピアを叩き込んだ。一つ一つのダメージは少ないが、手数が多い槍技だ。
そして、征矢はその攻撃で【天衝光烈】の溜めを作っていた。
溜めを作ったら、征矢は一旦地面に降り、槍を地面に突き刺した。そして、心の中でこう唱える。
"【天衝光烈】"
地面に向かって放出されたエネルギーを利用して、征矢は高く舞い上がった。
【魔化亜王族】の頭上へと行くと、再び槍を下に向けて、自由落下をした。重力加速によってある程度のダメージを与える算段である。プラス、当たる場所は脳天であるため結構なダメージは入るだろう。
そう思いながら、征矢は【魔化亜王族】の脳天に槍を直撃させる。
その瞬間、相手の動きが止まったのだった。
やった、な。脳天直撃喰らって生きてるやつは最早生き物ではない。
俺は突き刺した槍を抜いてから地面に投げ、そこに瞬間移動した。このスキル、便利だな。落ちそうになっても突き刺して瞬間移動すれば無傷だ。
さて、この【魔化亜王族】が消滅するのを待ちましょうか……
宝箱には何が入ってるかね。槍と盾は扱いが難しいから別の武器とか来てくれないかな……でもまぁ、槍は楽しいからいいか。盾が要らなくなるような武具が欲しいかな。それか、速度のステータスとかを上げたい。速度が上がると刺突攻撃の威力も上がりそうだろ。
にしても、今回の【天衝光烈】を利用して高く跳ぶってのは天才の発想だね。俺ってやっぱ天才だったか……昔から思ってたんだよね〜
なんて茶番は置いておこう。
それよりも、異常に【魔化亜王族】が消滅するのが遅くないか?本来ならもうとっくに消えているはずなのだが……
その時、フレイアが俺の方へと走ってきた。
「ルミナス君、コイツまだ死んでないわよ?」
緊迫した表情で俺に伝えてきたフレイア。
死んでないってどう言うことだ?
「は?死んでるだろ。いやだって、脳天直撃だぞ?実際に、今も動かないし。」
「そうだけど、そうなんだけど!!魔物と人間を同じにしないほうがいいわよ。魔亜人族ならまだしも、【魔化亜王族】は人から離れすぎた種族なの。だから、例え体自体の構造が同じでも死なないことだってあるのよ。」
なんっだその面倒なシステム。
つまり魔物として上位種に行けば行くほど人からかけ離れていくってワケね?
それで、まだ【魔化亜王族】は死んでない、と。
面倒だな……攻撃のレパートリーは出し尽くしちゃったし……槍が難しいんだよ。【天衝光烈】も溜めがないから使えないし、どうすりゃいいんだ?槍は斬ろうにも貫通攻撃とか持ってないと上手く斬れないし……貫通攻撃ならもっとレパートリーがあるんだよ。ゲームとかアニメとか見てたから。
でも実際にやるとあんなこと出来ない。逆にあれどうやってやってるんだよ。
その時、【魔化亜王族】が再び動き出した。ドス黒いオーラ的なものを放っているため、第二形態に変化したか、本気を出したのである。
うーん……勝つ方法はなんだ?やっぱ盾で攻撃を受け続けて、エネルギー溜めて【天衝光烈】で全部放出してを繰り返すか?クソ戦法だけどな。
……あっいいこと思いついた。
頭の中でのシミュレーションは完璧だから出来るはずだ。速攻で片付けてやるぜ。ヘッヘッヘ。こう笑うのはなんか違うな……ま、いいか。
俺は【魔化亜王族】の腹に向かって、槍をぶん投げた。ちゃんと槍が突き刺さってくれた。これでよし。
そして、俺は投げた槍のところへ瞬間移動した。宙に浮いている状態で、槍を回収して腹を縦に横に斬り続けた。たまに百烈スピアも混ぜて、大量のエネルギーのスタックが溜まった。
そうしたら、また槍を腹に深く突き刺して再び唱える。
"【天衝光烈】"
そう唱えた瞬間、【魔化亜王族】の腹を中心に、周囲に衝撃波が広がった。
その衝撃で、【魔化亜王族】は後ろへと倒れた。
そのことを確認した俺は、倒れた【魔化亜王族】から槍を引っこ抜き、しばらく腹の上で観察していた。
……
……
うん、死んだな。多分平気そうだ。
俺がそう思った瞬間、【魔化亜王族】の体は青い粒子となり消滅していったのだった。




