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あの時、君はそこにいた2 → ロマール王国大戦  作者: マイノス
ガルナス王国遠征

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一撃必殺の奇襲 << マール >>

 私たちは一撃必殺のガルナス王国ヌーア国王の暗殺を目指して、密かに夜半に出立致しました。

 部隊は3部隊で、1つ目がグリーンさんの部隊、2つ目がグロースさんの部隊、3つ目が私たちの部隊です。

 総勢1000名弱になります。

 手順としては、斥候を放って、ヌーア王の部隊を見つけたら、まずグリーンさんの部隊がヌーア王の正確な場所を見つけるために決死の突入をして、見つけ次第場所を遠隔通信の魔法でグロースさんに伝え、グロースさんがワープホールを作って私の部隊を突入させ、一気に暗殺するというものでした。

 私はムーア王の武力についてまだ会っていないので何とも言えませんが、戦闘タイプの領主ではないということで、グリーンさんは私なら勝てると言ってくれました。


私たちが黄金都市ミダースを発ってから3日後、小都市モルトが陥落したという知らせが鷹の目ギルドのリーダーのログリーから来ました。

 鷹の目ギルドのメンバーの部隊は、小都市モルトを捨てて黄金都市ミダースに移りましたが、一部の人は小都市モルトの近隣に自分の町があり、どうせ潰されるのなら小都市で戦いたいと残ったようでした。

 小都市内では略奪や虐殺が発生して、一夜にして人口が1万人減少したという噂が広まっているようです。


「負けたら何かも失う。それが戦争だ」


 グロームさんが私に悲しそうに言いました。

「そろそろだ」とグリーンさんが私たちに声をかけました。

 私たちは小都市モルト近郊を見渡せる密林の丘の上に到着しました。

 その場所は本当に見事なまでに、手に取るように小都市モルトの動向が見れました。

 もしかしたら、小都市モルトはここから見渡せる場所に、あとから作られたのかも知れません。

 長い歴史です。

 ガルナス地方とロマール地方の行き来は、遠い昔もあったことでしょうからね。

 グリーンさんが、「急に作戦を変えることになって申し訳ないのだが」と、私たちに言いました。

「ヌーア王を殺害しても、ガルナス王国の侵攻が止まるかはわからない。余計に怒りを買って、弔い合戦を仕掛けられるかも知れない。ヌーア王を殺害するためにワープホールを作る前に、ヌーア王と交渉させてもらえないか。命を助ける代わりに、侵攻を止めることができるかという交渉を。リゼア王国からしたら、ガルナス王国が20万もの部隊をロマール王国に向けていたら、ガルナス王国との停戦を続けずに、奪われた都市の奪還に動く可能性が高い。その時は2カ国を相手に戦うことになり、ヌーア王も望むところではないだろう。和平できる可能性はある。私は彼と同郷の人間だ。他の人よりは理解が出来る」と言うのです。

 ガルナス王国の弱みは、最もな話だと思いました。

 グロームさんも、「あなたならできるかも知れない。しかし位置だけは必ず教えてくれ、ワープホールは作る。それはあなたが脱出するためにも必要だ」と言いました。

「ありがとう。もちろんだ」とグリーンさんは言い、私たちは小都市モルトの監視を続けました。


 私たちは1週間以上、その場で監視を続けましたが、ヌーア王と思しき部隊は出征せずに、黄金都市ミダースからは、敵が近づきつつあることが日々遠隔通信で伝えられました。

「どうするか。このままだと大都市ミダースは包囲され、近隣に町のある領主は、気が気ではないだろう」とグリーンさんが悩ましそうに言いました。

「多くの場合、都督は都庁に入り政務をする。そこには泊りがけで生活ができる場もある。今回はヌーア王が入っている可能性は高い」とグロームさんは言いました。

「深夜になったら都庁へ、ワープホールを作ってくれ。ヌーア王は起きているかも知れないが、兵士たちは眠りこけているだろう。都市内で襲われるとは想像もしていないだろうしな。マールさん、悪いがヌーア王に会うだけでなく、都庁を制圧する必要もある。あなたの部隊にも来てもらい、都庁の制圧をお願いしたい。私はヌーア王のところへ真っ先に行く」とグリーンさんは言いました。

 私は「わかりました。どんなに大軍勢でも、都庁に1万も兵士はいないでしょう。いて1千。無防備な相手に夜間の奇襲なら、十分に勝てます」と返答したら、グリーンさんは鷹の眼ギルドのログリーさんから預かったという、都庁の図面を見せてくれました。

 この作戦は、突発的に思いつたものではなくて、周到に練られた作戦だということを知りました。


 その夜。

 私たちはグロームさんのワープホールで、都庁に侵入しました。

 グロームさんのワープホールは到着先でワープホールを作る必要がなく、最強の奇襲魔法でした。

 私たちは都庁の執務室から侵入し、そこにヌーア王はいなかったので、グリーンさんは生活スペースに部隊を進め、私は執務室から出て、一部屋一部屋制圧を始めました。

 兵士は各階に100名ほど詰めていましたが、通路にはほとんど誰もなく、私は3階から1階の入口まで、全ての部屋と通路を制圧しました。

 それから再び執務室に行くと、寝具のヌーア王がグリーンさんの部隊に囲まれて出てきました。

 グリーンさんは、「話はついた。期限のない和平が成立した」と私に言いました。

 この間、たった1時間ほど。

 チャードンさんやセルバート王の了解も取れたということです。

 和平交渉も用意周到に準備されていたようでした。

 せめて着替えさせてくれと、ヌーア王は言い、私たちはその隙にワープホールで離脱し、グロームさんがそれを閉じました。

 交渉はその場にて成立したとのことですが、実際にどうなるかは、まだわかりませんでした。

 私たちは小都市モルトが見える丘の上で、引き続き監視していましたが、彼らは撤退を始めました。

 その最後列がいなくなると同時に、鷹の目ギルドの部隊が小都市モルトに入城するのが確認出来ました。

 私は凄いことに立ち会ったと思います。

 ガルナス王国20万の大軍勢を撤退させる、歴史的な戦いに立ち会ったのですから。

 それをグリーンさんに言ったら、「ヌーア王にも名誉がある。今回の件は公にしないでください」と言われました。

 私は「わかりました」と言い、グロームさんに、「グリーンさんて、良い司令官ですね?」と聞きましたら、グロームさんは、「チャードンさんはもちろん新世界ギルに相応しいリーダーだけども、グリーンさんも特に戦争に関しては、誰からも信頼されているリーダーです」と教えてくれました。

「皆さんと同盟を結べて光栄です」と、私はグリーンさんとグロームさんに伝えました。


 それから私とペラーの部隊は、小都市ポプラで布陣していたチャードンさんに会い、今回の件のねぎらいを受け、マイノスさんとドノフに遠隔通信を繋いでもらい、遠征の無事と成功を伝え、ご褒美として北回りで、都市を巡りながら帰還することを許してもらいました。

 ルートは、山の都市シエラ、魔法都市ライツ、そしてロマール渓谷を越えて、谷の都市アルンに立ち寄って帰還するというルートです。

 ペラーもこれには嬉しさを隠せないようで、私たちは楽しい旅になりそうです。

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