遠い記憶 << セルバート王 >>
私は何かを忘れている。
土曜の休日。
歳のせいだろうか。
手帳のメモを見る。
仕事で漏れはない。
私はもう一つの手帳を見る。
それはゲーム手帳だ。
国王だからな。
行き当たりばったりで指示や発言をしていたら、大きな失敗を招く。
ゲーム手帳を持ってこのゲームをやっているのは、世界で私だけだろう。
勝つには理由があるんだ。
しかし、これを見ても思い出せない。
そうだ。
ザラのことだ。
今朝、夢の中で何かを思い出したんだ。
何だったか。
あ、ガルナス王国との戦況報告で、王都と繋ぐのを忘れた。
ザラとシャルルが、王国チャットを見ていないと、鷹の目ギルドが小都市ハールを占領したことが伝わっていないな。
まぁ、彼らなら見ているか。
グループチャットの役員チャットだけ入れておくか。
ギルドチャットで話すのは、スパイがいる可能性も考えると、今回は止めた方が良いだろう。
私はグループチャットに戦況と、今後の作戦を入れた後に、忘れていたのはこれだったのか?と、また考えてしまった。
私はもう一度仕事の手帳を見る。
今日は夕方から、部署の親睦会がある。
大丈夫だよ。
そのことは忘れていない。
思い出した。
店の予約を入れたときに、近くのアパレルのZARAを見かけて思い出したんだ。
ザラ。
その名前は、私が妻の前に、付き合った女性だった。




