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黄昏に鳴らぬ鐘、イシュタムの魂を宿すさえない俺  作者: 和泉發仙


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-地底探検の章- 第二墓所「影の近衛、覚醒」

前書き(カエナ視点)


 うっわぁ……また暗ぇしジメジメしてやがる。

 ったく、こんな所に二回も三回も突っ込むオレたち、正気かね? いや、正気じゃねーな。きっと。


 あたしはカエナ、ジギーお館さまの門徒でございまーす。……って言ったら少しはカッコつく? へっ、笑わせる。実際はサジと一緒に罠仕掛けて、気づかれねーようにコソコソ動いてるだけ。竹槍と撒菱まきびしが頼りの身分よ。


 でもな、そんなオレでも仲間に混じって歩いてんだから不思議なもんだ。

 ユウキさんは相変わらず深刻そうな顔してるし、クリフさんは真面目すぎて見てるだけで背筋が伸びる。ニーヤ姐さんは「しっかりせぬか!」って猫目を光らせるし、よっしー兄貴は……あいかわらず昭和の変な菓子をポケットから出してみんなを笑わせてる。


 サジ? あいつは真剣な顔で木刀握ってるけど、正直あたしの竹槍と似たようなもんだろ。

 でもよ、あの集中力っていうのか、油断を絶対に見せねぇ構えは、なんか羨ましくもあるんだ。だからオレも「よし、やってやるか」って気になる。


 今回の墓所は「影の近衛」ってやつが眠ってるって話だ。

 ただでさえ普通の兵隊でも厄介なのに、影になって起き上がるだぁ? 聞いただけで背中がぞわっとするじゃねーか。

 でもまあ──あたしらのやり方は決まってる。鐘を鳴らさず、蝶番を外す。正面からぶっ叩くんじゃなく、撓めて外して抜ける。それが旅の心得なんだろ?


 ……なあ、サジ。

 お前が前を走るなら、あたしも後ろから槍構えて突っ込むぜ。

 行こうぜ、影の墓所。




 地下墓所の空気は、さらに冷たく、さらに重たくなっていた。

 苔むした石壁の間を抜けるたび、火の明かりが吸い込まれるように揺れ、気配が濃くなる。


「……出るぞ」

クリフが弓を構え、鋭く囁いた。


 次の瞬間、石棺の影がゆらりと揺れた。

 そこから立ち上がったのは、鎧をまとった人影。兜の奥に顔はない。ただ空洞が闇で満たされている。


「影の近衛──」

ユウキの喉がひりついた。


 そいつは剣を引き抜き、ぎぃぃ、と音を立てて歩き出す。

 だがそれだけでは終わらなかった。周囲の石棺すべてから同じ影が立ち上がり、隊列を組む。


「やべぇ数だな……!」よっしーが顔を引きつらせる。

「ほう、ここは“モンスターハウス”とやらか」あーさんが眉を寄せ、二鈴を鳴らす。


 その時、声が割って入った。

「サジ! 撒けっ!」

「おう!」


 サジが袖口からぱらぱらと銀色の小粒を投げ出す。撒菱だ。影の近衛が踏み込むと、その足が一瞬鈍った。


「よし、チャンス!」

カエナが竹槍を構え、影の膝裏に突きを放つ。

ぬるりとした抵抗ののち、影の膝が崩れ、隊列がわずかに乱れた。


「ふむ……! ならば!」

クリフの矢が青光を帯び、乱れた列を貫く。

その瞬間、黒い影が一体、音もなく霧散した。


「おおっ、倒せるのか!」ユウキが目を見開く。

「油断すんな!」ニーヤがすかさず火弾を投げ込む。

炎が石棺の群れを照らし、残りの影を逆に怒らせたかのように、剣が一斉に唸った。


「おーい、ユウキ! 後ろ!」

よっしーの声に振り向けば、いつの間にか別の影が背後に回っていた。剣が振り下ろされる。


「っ……!」

反射的に腕を上げたその時、風が裂けた。


「キュイッ!」

リンクの蹴りが影を弾き飛ばし、ユウキの目の前に着地した。

疾風脚、影を裂く。


「助かった……!」

「礼は後や!」リンクが歯を見せ、次の蹴りに移った。


 影の近衛は次々に復活するかのように数を増やしていく。

 まるで「鐘を鳴らせ」と迫ってくるように。


「鐘は鳴らさせぬ──蝶番を探せ!」

あーさんの声が、全員の耳に澄み渡った。


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