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黄昏に鳴らぬ鐘、イシュタムの魂を宿すさえない俺  作者: 和泉發仙


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24/462

モンテーヌの夜明け

 モンテーヌの夜明け


前書き


夜が明けたからといって、


すべてが元通りになるわけではありません。


失ったものは戻らない。


壊れたものは、すぐには直らない。


傷付いた人の心も、


一晩で癒えることはありません。


それでも。


朝は来ます。


昨日までとは違う朝が。


そして人は、


その朝の中で、


もう一度生きる場所を作り始めるのです。


⸻


《主人公・相良ユウキ視点》


夜が明けた。


東の空から差し込んだ朝日は、森に残る煙を白く照らしていた。


昨夜まで、あれほど暗く見えた砦。


その柵は焦げ、北門は半ば崩れ、見張り台の一つは屋根を失っている。


地面には折れた矢。


砕けた盾。


捨てられた剣。


踏み荒らされた土には、いくつもの足跡と血の跡が残っていた。


勝った。


そう言っていいのだと思う。


バルトンは捕らえられた。


ヴァルターも拘束された。


人質は救出され、砦も落ちなかった。


けれど。


朝の光の中で戦場を見れば、勝利という言葉があまりに軽く感じられた。


泣いている者がいる。


倒れた仲間のそばから離れられない者がいる。


怪我を負った腕を押さえ、痛みに耐えている者がいる。


助かった者が。


助からなかった者の手を握っていた。


戦いが終われば、すべて解決する。


そんなものではなかった。


むしろ。


戦いの後から始まるものの方が、多いのかもしれない。


⸻


砦の中央広場には、長い布が何枚も敷かれていた。


負傷者が並び、ロベルトとエレナがその間を忙しく行き来している。


あーさんも袖を捲り、傷口を洗っていた。


「こちらの方、まだ意識があります!」


「湯を!」


「はい!」


ライラが桶を抱えて走る。


昨夜まで怯えていた少女は。


今は必死に、父と母を手伝っていた。


手は震えている。


顔も青い。


それでも、倒れている者から目を逸らさなかった。


「ライラ」


ロベルトが声を掛ける。


「無理をしなくていい」


「できる」


ライラは短く答えた。


「私も、できるから」


その言葉に。


ロベルトは何も言えなくなった。


娘の頭を一度だけ撫でると、すぐに次の負傷者のもとへ向かった。


戦うというのは。


剣を持つことだけではない。


昨夜。


砦を守った者は、門の前に立った者だけではなかった。


怪我人へ布を巻いた者。


子どもを抱いた者。


水を運んだ者。


恐怖に震えながら、それでも逃げなかった者。


その全員が。


この場所を守ったのだと思う。


⸻


「ユウキ」


声を掛けられ、振り返る。


クリフさんが立っていた。


右腕には厚く包帯が巻かれている。


「動かして大丈夫なんですか」


「大丈夫だ」


「矢が刺さってましたよね」


「抜いた」


「だから大丈夫になるわけじゃないでしょう」


「弓を引く腕じゃない」


「そこじゃないです」


クリフさんは俺の言葉を聞き流すように、砦の外へ視線を向けた。


森の入口。


監察隊の兵士たちが、捕虜をまとめている。


武器を捨てた衛兵。


灰色の傭兵団。


そして。


バルトンとヴァルター。


「何か気になりますか」


「逃げた奴がいる」


「誰です?」


「灰色の外套が三人」


クリフさんは昨夜の戦場を思い出すように、目を細めた。


「人数が合わない」


「追いますか」


「今は無理だ」


即答だった。


「追えば砦の守りが薄くなる」


「それに」


森の奥へ視線を移す。


「逃げたということは、帰る場所がある」


「上に報告する相手がいるということですね」


「ああ」


昨夜見つかった命令書。


王国西部開発院。


モンテーヌの住民を追い出し、町そのものを消そうとしていた計画。


バルトンも。


ヴァルターも。


その計画に乗った者でしかなかった。


本当の命令者は、まだ王都にいる。


けれど。


今すぐ追うことはできない。


この砦には。


戦いの後を生きなければならない人たちがいた。


「まずは、ここだな」


クリフさんが言う。


「はい」


俺も頷いた。


⸻


昼前。


砦の中央広場に、黒狼団の者たちと町の住人が集められた。


昨夜、人質として連れて来られた者たち。


セレナとともに来た監察隊。


武器を捨てたモンテーヌの衛兵。


全員が同じ場所にいた。


少し前まで敵同士だった者が、同じ広場に立っている。


当然。


空気は重かった。


衛兵を睨む黒狼団の者。


黒狼団を恐れる町の住人。


居場所を失ったように俯く衛兵。


誰もが。


何を信じていいのか分からない顔をしていた。


広場の前。


壊れた木箱を台の代わりにして、セレナが立っている。


灰銀色の髪は、昨夜の戦いで乱れたままだった。


上着の袖には血が付いている。


それでも。


立ち姿は崩れていなかった。


その隣にはガレス。


肩と脇腹に包帯を巻き、斧は持っていない。


ルガー。


カシオン。


アーサーも並んでいる。


「これより」


セレナが口を開く。


広場のざわめきが止まる。


「昨夜発生したモンテーヌ近郊における武力衝突、および徴税官バルトンの不正について、現時点で確認できている事実を公表します」


堅い言葉だった。


役人らしい言葉。


けれど。


こういう時こそ。


曖昧にしてはいけないのだと思う。


セレナは一枚の書類を開いた。


「徴税官バルトンは、正規の税率を超える徴税を複数年にわたり実施」


「その一部を私物化し、残りを非正規の武装集団へ支払っていました」


ざわめき。


町の住人たちの間から、怒りの声が上がる。


セレナは続ける。


「また、薬草、穀物、塩、鉄製品などの価格を人為的に操作し、特定の商人のみが利益を得られる仕組みを構築」


「支払い不能に陥った住民の財産を没収し、土地を開発用地として処分しようとしていました」


ロベルトが俯く。


ライラの肩を抱くエレナの手に力が入る。


店を失った理由。


借金を背負わされた理由。


娘を売れと言われた理由。


すべてが。


偶然ではなかった。


誰かが最初から。


暮らしを続けられないように作っていた。


「さらに」


セレナの声が低くなる。


「黒狼団を装った傭兵に、商隊や住民を襲撃させていた事実も確認されています」


今度は。


黒狼団の者たちが息を呑んだ。


知っていた。


自分たちではないと。


けれど。


公の場で。


国の監察官が言葉にした意味は大きい。


「黒狼団によるとされていた襲撃事件の多くは、偽装です」


「少なくとも」


セレナはガレスたちへ視線を向ける。


「今回確認された事件について、黒狼団の関与を示す証拠はありません」


完全に。


罪が消えたわけではない。


黒狼団も過去に、街道から物資を奪ったことはある。


商隊を止め。


武器を取り上げ。


富裕商人から食料を奪った。


法を破った。


それは事実だった。


だから。


セレナも、すべて無罪だとは言わなかった。


「ただし」


やはり続きがある。


「黒狼団が過去に行った略奪、脅迫、非合法な武装行為については、別途調査します」


広場の空気が強張る。


ルガーの目が鋭くなる。


アーサーが腕を組む。


黒狼団の中からも、不満の声が漏れた。


「結局、俺たちを捕まえるのか」


「国の言うことなんか同じだ」


「昨夜一緒に戦ったのに」


セレナは逃げなかった。


不満の声を正面から受け止める。


「私は」


静かに言う。


「黒狼団が何もしていないとは申しません」


「皆さんも、ご自身で分かっているはずです」


誰も答えなかった。


「法を破った事実は消えません」


「ですが」


セレナは書類を閉じた。


「なぜ法を破るしかなかったのか」


「誰がその状況を作ったのか」


「そこを無視して、皆さんだけを処罰するつもりもありません」


ルガーが眉を寄せる。


「では、どうする」


「決定権は私にはありません」


「逃げるのか」


「違います」


セレナは即座に答えた。


「私には、事実を集め、王都へ持ち帰り、正式な審議を要求する権限しかありません」


「処罰も」


「恩赦も」


「ここで私一人が約束できることではありません」


「なら何も変わらない」


ルガーが吐き捨てる。


「王都へ持ち帰る」


「審議する」


「待て」


「俺たちは何度、その言葉に騙されたと思う」


セレナは黙る。


ルガーの怒りは。


彼女一人へ向けたものではない。


国に。


役人に。


書類に。


待てと言われ続けた時間に。


向けられていた。


「俺の村が潰れた時も」


ルガーの声が震える。


「調査すると言われた」


「戦争が終わった時も」


「補償を待てと言われた」


「何年待てばいい」


「何人死ねば動く」


「教えてくれ」


誰も答えられなかった。


セレナも。


すぐには。


何も言えなかった。


やがて。


彼女は腰から短剣を抜いた。


監察隊が一瞬動く。


だが。


セレナは刃を自分へ向けるのではなく。


胸の紋章を留めていた革紐を切った。


銀色の秤と剣。


王国監査局の紋章。


それを掌へ乗せる。


「私には」


セレナは言った。


「皆さんが失った時間を返すことはできません」


「死んだ方を生き返らせることも」


「今まで国がついた嘘を、なかったことにもできません」


ルガーは黙っている。


「それでも」


セレナは紋章を見つめた。


「私はこの紋章を付けています」


「これを付けた者が何もできないと言うなら」


「最初から付けるべきではない」


そして。


紋章を再び胸元へ戻した。


「必ず王都へ持ち帰ります」


「記録を消させません」


「審議が開かれなければ、私の名で公表します」


監察隊の者たちがざわついた。


それは。


軽く言えることではない。


役人が。


組織を敵に回すということだ。


セレナはルガーを見る。


「信じなくて構いません」


「ただ」


「見ていてください」


ルガーは。


しばらく何も言わなかった。


握っていた槍の柄が、僅かに軋む。


「……前にも聞いた」


「はい」


「それでも言うのか」


「何度でも」


セレナの答えに。


ルガーは目を閉じた。


「なら」


短く息を吐く。


「見ている」


それは。


信用ではない。


許しでもない。


けれど。


完全に背を向けることでもなかった。


今は。


それで十分なのだと思う。


⸻


次に。


セレナの部下が、バルトンを前へ連れてきた。


両手を鎖で繋がれ、豪華だった服は泥だらけ。


髪は乱れ。


顔は青ざめている。


昨日まで。


町の実質的な支配者だった男。


誰も逆らえなかった男。


税を上げ。


店を潰し。


人を追い出し。


家族を引き裂いた男。


その姿は。


思っていたより。


小さかった。


町の住人たちから、怒号が飛ぶ。


「金を返せ!」


「夫を返せ!」


「店を返せ!」


「息子はどこだ!」


石が飛んだ。


バルトンの肩へ当たる。


続けてもう一つ。


監察隊が止めようとする。


「下がってください!」


「投石をやめてください!」


けれど。


怒りは止まらなかった。


長い間。


言えなかった言葉が。


一気に溢れ出している。


バルトンは怯えた目で周囲を見回し。


突然。


叫んだ。


「私だけではない!」


広場が静まる。


「私だけがやったのではない!」


「命令されたのだ!」


「西部開発院から!」


「町を空けろと!」


「土地を安く確保しろと!」


「私は従っただけだ!」


その言葉に。


俺は。


昨夜のセレナを思い出した。


これはバルトン様の言葉です。


私の言葉ではありません。


命令に従っただけ。


同じだった。


自分は決めていない。


上が言った。


仕方なかった。


だから。


自分の罪ではない。


「娘を売れと言ったのも」


ロベルトが前へ出た。


声は静かだった。


けれど。


身体全体が震えていた。


「命令されたのか」


バルトンは目を逸らす。


「私は」


「店を潰したのも」


「借金を作らせたのも」


「妻を泣かせたのも」


「娘を森へ一人で向かわせたのも」


一歩。


また一歩。


ロベルトが近づく。


監察隊は止めなかった。


「全部」


ロベルトはバルトンの前へ立った。


「誰かに言われたからか」


バルトンは答えない。


「答えろ!」


初めて。


ロベルトが叫んだ。


広場へ。


声が響いた。


ライラが驚いた顔で父を見る。


「違う……」


バルトンが小さく呟く。


「私は」


「金が必要だった」


「立場を守るために」


「上へ納める金も」


「自分の取り分も」


「必要だった」


ロベルトの拳が握られる。


殴る。


そう思った。


けれど。


彼は。


拳を振り上げなかった。


長い間。


バルトンを見つめ。


やがて。


力を抜いた。


「裁いてください」


セレナへ言う。


「私が殴れば」


「この男と同じ場所へ落ちそうです」


バルトンの顔が歪む。


殴られるより。


その言葉の方が。


きつかったのかもしれない。


セレナは頷く。


「必ず」


監察隊がバルトンを連れていく。


町の人々の怒りは消えていない。


それでも。


石を投げる者は。


もういなかった。


⸻


ヴァルターは。


少し離れた場所へ座らされていた。


両手を後ろで拘束され。


胸元には。


ガレスの斧の柄を受けた跡が残っている。


ガレスがその前へ立つ。


二人は。


しばらく何も言わなかった。


元上官と部下。


同じ戦場を生き。


終戦後。


全く違う道を選んだ二人。


「殺さなかったことを後悔するぞ」


ヴァルターが先に言った。


「そうかもな」


ガレスは答える。


「王都へ着く前に逃げるかもしれん」


「逃がさん」


セレナが離れた場所から言う。


ヴァルターは笑う。


「お前たちは何も分かっていない」


「西部開発院だけじゃない」


「もっと上がいる」


「王都の貴族」


「軍」


「商人組合」


「皆が欲しがっている」


「この土地を」


カシオンが眉を寄せる。


「何がある」


ヴァルターは。


楽しそうに笑った。


「知らないのか」


「だから貴様らは」


言葉の途中。


ガレスが。


ヴァルターの顔へ拳を叩き込んだ。


鈍い音。


ヴァルターが地面へ倒れる。


「頭領?」


アーサーが驚く。


ガレスは拳を振り。


痛そうに顔をしかめた。


「すっきりした」


「殺さないんじゃなかったんですか」


俺が言うと。


「殴らないとは言ってない」


「それはそうですけど」


ヴァルターは地面へ倒れたまま。


血の混じった唾を吐いた。


「……甘い男だ」


「お前ほど賢くなくてな」


ガレスは背を向ける。


「けど」


一度だけ立ち止まった。


「俺には」


「帰る場所ができた」


ヴァルターの表情が止まる。


「お前にはない」


それだけ言って。


ガレスは歩き出した。


ヴァルターは。


何も返さなかった。


⸻


午後になると。


戦いの後片付けが始まった。


動ける者は、敵味方を問わず働かされた。


倒れた柵を起こす。


壊れた門を外す。


火が燻っている場所へ水を掛ける。


武器を集める。


埋葬の準備をする。


重い作業だった。


けれど。


手を動かしている方が。


何もせず悲しみの中にいるより。


少しだけ楽なのかもしれない。


アーサーが折れた門の梁を一人で持ち上げている。


「それ一人で運ぶんですか」


俺が聞く。


「軽いぞ」


「絶対軽くないです」


「持つか?」


「遠慮します」


よっしーが横から梁を見上げる。


「ワイとユウキで片方持ったらいけるんちゃう」


「やめましょう」


「なんでや」


「腰をやります」


「異世界でも腰は怖いな」


「地球でも異世界でも腰は腰です」


俺たちが話している間に。


アーサーは梁を担いで歩いていった。


「人間なんですか、あの人」


「さあなぁ」


⸻


北門の近く。


ルガーが一人で杭を打ち直していた。


槍ではなく。


大きな木槌を持っている。


クリフさんが隣で、杭の角度を見ていた。


「右だ」


「分かっている」


「曲がってる」


「曲がっていない」


「曲がってる」


「お前の立っている場所が悪い」


「地面は動かない」


「口の減らない男だな」


また。


この二人はやっている。


俺が近づくと。


ルガーが一度だけこちらを見る。


「何だ」


「手伝おうかと」


「いらん」


「でも」


「なら水を持ってこい」


「分かりました」


素直じゃない。


けれど。


以前のような。


追い返す冷たさはなかった。


俺が水桶を取りに行こうとした時。


ルガーが呼び止める。


「ユウキ」


「はい」


「昨日のことだ」


少しだけ。


言いづらそうに。


目を逸らす。


「人質を助けたこと」


「感謝する」


「いえ」


「ネッドの妹も」


「はい」


「……あいつは」


木槌の柄を握り直す。


「しばらく見張りには戻さん」


「当然ですね」


「雑用からだ」


「はい」


「逃げることも許さん」


「そうですね」


「償いが終わるまで」


「長くなりそうですね」


「死ぬよりは長い方がいい」


その言葉に。


俺は少し笑った。


ルガーも。


ガレスの判断を。


完全に納得していないわけではないらしい。


⸻


ネッドは。


砦の端で。


妹のミーナと一緒に、壊れた矢を集めていた。


二人はあまり話さない。


けれど。


何度も顔を見合わせている。


離れていた時間を。


少しずつ埋めているようだった。


ミーナは十六歳。


細い身体。


茶色い髪。


仕立屋で働いていたというだけあって。


破れた服の袖を、その場で縫い直している。


「兄さん」


「何だ」


「これ」


小さな布袋を差し出す。


ネッドが開く。


中には。


古い木製の笛が入っていた。


「まだ持ってたのか」


「兄さんがくれたから」


「子どもの頃だぞ」


「だから」


ミーナは少し笑う。


「捨てなかった」


ネッドの目が赤くなる。


泣きそうになるのを誤魔化すように。


笛を握り締めた。


「ごめん」


「何が」


「俺のせいで」


「兄さんのせいじゃない」


「でも」


「兄さんは来た」


ミーナは言った。


「助けに来た」


「怖かったでしょ」


ネッドは答えられない。


「私も怖かった」


「でも」


「兄さんが来ると思ってた」


ネッドは。


俯いたまま。


何度も頷いた。


その背後。


少し離れた場所で。


ガレスが二人を見ていた。


声は掛けない。


ただ。


二人が一緒にいることを確認すると。


静かに歩き去った。


⸻


夕方。


セレナは王都へ戻る準備を始めた。


バルトン。


ヴァルター。


灰色の傭兵団の幹部。


押収した帳簿と命令書。


すべてを監察隊が運ぶ。


「今すぐ発つんですか」


俺が尋ねる。


「証拠を早く王都へ届ける必要があります」


「途中で襲われる可能性は」


「あります」


平然と答える。


「分かっているなら、人数を増やした方が」


「この地域の監察隊は、これでほぼ全員です」


「十数人しかいないんですか」


「普段は、武力衝突を想定していませんので」


「昨日、かなり戦ってましたけど」


「想定外でした」


表情一つ変えない。


この人も。


かなり無茶をする。


「レオン」


セレナが呼ぶ。


情報屋は馬車の荷台に腰掛けていた。


「なんだい」


「王都まで同行してください」


「嫌だね」


即答。


「報酬は出します」


「いくら?」


「仕事の難易度を確認してから」


「役人らしいな」


口では嫌がっているが。


レオンは。


すでに荷物をまとめていた。


「行くんですか」


俺が聞く。


「王都で面白い情報が手に入りそうだからな」


「セレナさんを守るためじゃなくて?」


「俺が?」


レオンは大袈裟に笑う。


「まさか」


セレナは無視して書類を確認している。


けれど。


口元が。


ほんの少しだけ緩んだように見えた。


「ユウキ」


レオンが手招きする。


近づくと。


小さな金属片を渡された。


狐の形をした。


薄い銀色の札。


「何ですか、これ」


「俺の印」


「困ったことがあったら、情報屋の店で見せろ」


「店があるんですか」


「ある場所にはある」


「どこです」


「それを教えたら情報屋じゃないだろ」


「意味ないじゃないですか」


レオンは笑う。


「また会うさ」


「この事件」


王都へ向かう馬車を見る。


「これで終わりじゃない」


「分かっています」


「なら」


狐の札を指で弾く。


「持っとけ」


俺は札を握る。


「ありがとうございます」


「礼は金で頼む」


「返します」


「そこは冗談でも、ただでいいと言えよ」


「情報屋でしょう」


「成長したな」


レオンが肩を叩く。


短い付き合いだった。


怪しい。


軽い。


何を考えているか分からない。


でも。


敵ではなかった。


少なくとも。


今は。


⸻


セレナは出発前。


ガレスのもとへ向かった。


「黒狼団について」


二人は。


壊れた門の前で向き合った。


「王都へ、特別措置を申請します」


「特別措置?」


「武装解除を条件に、過去の罪について減刑または恩赦を与え」


「モンテーヌ周辺の復旧作業へ参加する案です」


ルガーが近くで聞いていた。


「武器を捨てろと」


「すべてではありません」


「何が違う」


「山賊として持つ武器と」


セレナは砦を見渡す。


「町を守るために持つ武器は違います」


ガレスが目を細める。


「俺たちに衛兵をやれと言うのか」


「衛兵隊は再編が必要です」


「バルトンの私兵となっていた者を、そのまま残すことはできません」


「黒狼団には、森と街道を知る者が多い」


「復旧期間中」


「周辺警備隊として雇用できるよう提案します」


アーサーが驚いた声を出す。


「給料が出るのか」


「正式に採用されれば」


「飯も?」


「勤務条件に含まれます」


「やる」


アーサー。


即答。


「お前は黙っていろ」


ルガーが額を押さえる。


ガレスは笑った。


久しぶりに。


本当に笑ったように見えた。


「山賊が警備隊か」


「悪くありません」


カシオンが言う。


いつの間にか。


帳簿を持って立っている。


「安定した収入が得られます」


「税も払うのか」


ガレスが聞く。


「当然です」


「嫌だな」


「払ってください」


「安くしろ」


「税率を決めるのは私ではありません」


セレナの答えに。


周囲から。


小さな笑いが起きた。


笑っていいのか分からない。


そんな空気の中で。


それでも。


笑い声は少しずつ広がった。


昨夜まで。


敵に囲まれていた砦。


今朝まで。


悲しみに沈んでいた場所。


そこへ。


ようやく。


人の声が戻り始めていた。


「約束はできません」


セレナが改めて言う。


「王都が認めるかどうかは、まだ分かりません」


「それでいい」


ガレスが答えた。


「簡単に約束する奴は」


ヴァルターが連れていかれる方向を見る。


「もう懲りた」


セレナは静かに頭を下げた。


「では」


「行ってまいります」


「帰ってくるのか」


「必要であれば」


ガレスは手を差し出した。


セレナは一瞬。


その手を見る。


そして。


握り返した。


「必要になる」


「その時は」


「今度は秘書じゃなく来い」


「承知しました」


⸻


監察隊の隊列が。


森の道を進んでいく。


馬車の中にはバルトン。


別の荷車にはヴァルターと傭兵団の幹部。


セレナは先頭の馬に乗り。


レオンは最後尾の荷車で寝転がっていた。


「死ぬなよー!」


よっしーが大声で叫ぶ。


レオンが寝たまま片手を上げる。


セレナは振り返らなかった。


けれど。


右手だけを。


小さく上げた。


隊列が森の中へ消える。


残されたのは。


黒狼団。


町の人々。


俺たち。


そして。


壊れた砦だった。


⸻


「さて」


ガレスが呟く。


「どうするかな」


周囲を見る。


北門はない。


柵は焦げている。


見張り台も壊れた。


食料も減った。


負傷者も多い。


「直すしかないでしょう」


カシオンが答える。


「金は」


「ありません」


「食料は」


「十日分」


「木材は」


「森にあります」


「人手は」


カシオンは周囲を見る。


黒狼団の者たち。


町の人々。


昨夜、武器を捨てた衛兵たち。


「余っています」


ガレスも周囲を見る。


皆。


疲れ切っている。


けれど。


誰も立ち去ろうとはしていない。


「なら」


ガレスは大きく息を吸う。


「まず門を直すぞ!」


「おう!」


アーサーが一人で答える。


「お前だけか!」


ガレスが怒鳴る。


今度は。


あちこちから。


声が上がった。


「おう!」


「やるぞ!」


「飯は出るのか!」


「働いた奴からだ!」


「子どもは手伝っていい?」


「危なくないところだけだ!」


声が。


重なる。


笑いが。


混ざる。


砦は。


もう。


黒狼団だけのものではなかった。


町へ戻れない者。


戻る家を失った者。


町から助けに来た者。


元衛兵。


商人。


薬師。


老人。


子ども。


皆が。


同じ場所で。


壊れた門を直そうとしていた。


⸻


それから三日。


俺たちも。


砦の修復を手伝った。


俺は柵を運び。


よっしーは。


どこからか工具を集め。


門を補強していた。


「こういうんはな」


木材へ印を付けながら言う。


「力任せにやったらあかん」


「アーサーさんに言ってください」


「言うても聞かへん」


その横。


アーサーが釘を拳で打ち込んでいる。


「ほら」


「金槌使ってください!」


俺が叫ぶ。


「これの方が早い!」


「木が割れます!」


「少し割れた!」


「駄目じゃないですか!」


あーさんは。


怪我人の世話をしながら。


子どもたちへ文字を教えていた。


カシオンの帳簿を見て。


読み書きができない者が多いと気付いたらしい。


「これは?」


あーさんが板に文字を書く。


「くろ!」


子どもが答える。


「では、こちらは?」


「おおかみ!」


「では合わせると?」


「くろおおかみ!」


「正解です」


子どもたちが喜ぶ。


ルガーは少し離れたところから。


その様子を見ていた。


「何ですか」


俺が聞く。


「別に」


「見てましたよね」


「見ていない」


「子ども好きなんですか」


「違う」


即答。


けれど。


数日後。


子どもたちが使う木の机が一つ増えていた。


誰が作ったのか聞いても。


ルガーは何も答えなかった。


⸻


ロベルトとエレナは。


町へ戻ることを決めた。


壊された店は。


まだ残っていた。


商品はない。


棚も壊されている。


借金の記録については。


バルトンが不正に作らせた可能性があるため。


監察隊が調べることになった。


すぐに元通りにはならない。


けれど。


「薬屋を再開したい」


ロベルトは言った。


砦の薬草をまとめながら。


「町には」


「薬を必要としている人がいる」


「ここにもいるだろ」


ガレスが言う。


「ここへも来ます」


ロベルトは笑った。


「町と砦」


「両方です」


「忙しいぞ」


「以前よりは」


エレナが隣で笑う。


「借金取りが来ませんから」


その笑顔に。


少しだけ。


以前の生活が戻ってきたように見えた。


ライラは。


町へ戻ることを。


少し怖がっていた。


あの町で。


両親が消え。


一人で暮らし。


店を守ろうとした。


周囲から。


可哀想な子として見られ。


時には。


借金の形に売られるかもしれないと怯えた。


戻る場所であると同時に。


嫌な記憶が残る場所でもある。


「無理に戻らなくてもいい」


エレナが言った。


「砦で暮らしてもいいのよ」


「ううん」


ライラは首を振る。


「戻る」


小さな声。


「お店」


「私も手伝いたい」


ロベルトの目が潤む。


「そうか」


「薬草、もっと覚える」


「厳しいぞ」


「知ってる」


「間違えたら苦い薬を飲ませる」


「それは嫌」


「冗談だ」


「父ちゃんの冗談、分かりにくい」


家族が。


笑う。


その笑い声を聞いて。


俺は。


本当に良かったと思った。


⸻


そして。


旅立ちの日が来た。


モンテーヌへ来た時。


俺たちは。


ただ。


ライラを追っていただけだった。


家族を探す少女。


怪しい山賊団。


それだけの話だと思っていた。


けれど。


森の中で見つけたのは。


山賊の砦ではなかった。


国から捨てられた者たちが。


それでも互いを支え。


生きるために作った場所だった。


そして。


本当に町を苦しめていたものは。


剣を持った悪人一人ではなかった。


税。


借金。


価格操作。


役所。


商人。


命令。


見て見ぬふり。


皆が少しずつ。


町を灰色にしていた。


⸻


砦の門。


新しく作られた門は。


以前より少しだけ頑丈になっていた。


まだ木の色が新しい。


上には。


黒狼の印が彫られている。


ただし。


その横に。


小さな秤の印も追加されていた。


「何ですか、これ」


俺が聞く。


カシオンが答える。


「セレナ殿への嫌がらせです」


「感謝じゃないんですか」


「本人が見れば嫌がるでしょう」


「確かに」


門の前には。


皆が集まっていた。


ガレス。


ルガー。


カシオン。


アーサー。


ネッドとミーナ。


ロベルト。


エレナ。


そしてライラ。


町の住人もいる。


子どもたちも。


「世話になった」


ガレスが言う。


「こちらこそ」


俺は答えた。


「最初は山賊退治になると思ってましたけど」


「退治されなくて良かったな」


「危なかったですね」


「お前たちが弱くて助かった」


「そこは違うでしょう」


よっしーが前へ出る。


「今度来る時までに、酒用意しといてや」


「金は払えよ」


「ツケで」


「二度と来るな」


「冷たいなぁ」


アーサーがよっしーの背中を叩く。


「また戦おう!」


「嫌や!」


「今度は素手だ!」


「もっと嫌や!」


皆が笑う。


クリフさんとルガーは。


少し離れた場所で向き合っていた。


「次に会う時までに」


ルガーが言う。


「その偉そうな態度を直しておけ」


クリフさんは腕を組む。


「お前が先だ」


「俺は偉そうではない」


「自覚がないのか」


「貴様に言われたくない」


最後まで。


この二人は。


こんな感じだった。


けれど。


クリフさんが手を差し出すと。


ルガーは。


一瞬だけ迷い。


握り返した。


「死ぬな」


クリフさんが言う。


「お前もな」


短い言葉。


それで十分だった。


⸻


あーさんは。


子どもたちに囲まれていた。


「行かないで」


「また来て」


「お話の続きは?」


あーさんは困ったように笑い。


一人ずつ抱き締めた。


「必ず、また来ます」


「本当?」


「はい」


「約束?」


「約束です」


最後に。


木の机を作った人物を知っている小さな少年が。


ルガーを指差した。


「槍のおじちゃんも寂しがるよ」


「余計なことを言うな!」


ルガーが珍しく慌てる。


子どもたちが笑う。


あーさんも。


少し泣きながら笑った。


⸻


そして。


ライラが。


俺の前へ来た。


両手に。


小さな布袋を持っている。


「これ」


「何ですか」


「薬草」


「傷薬と」


「疲れた時のお茶」


「私が作った」


「ライラが?」


「父ちゃんに教えてもらった」


ロベルトが後ろから言う。


「半分は私が作りました」


「父ちゃん!」


ライラが振り返る。


「ほとんど私!」


「刻んだのはな」


「混ぜたのも!」


「分量は私だ」


「もう!」


家族のやり取りに。


また笑いが起きる。


俺は布袋を受け取った。


薬草の香りがした。


「ありがとう」


「ちゃんと使ってね」


「はい」


「売ったら駄目」


「売りません」


「よっしーさんに渡したら駄目」


「なんでや!」


「変な使い方しそう」


「ワイを何やと思うとんねん」


「変な人」


即答。


「子どもは正直やなぁ」


よっしーが落ち込む。


ライラは少し笑い。


それから。


俺を見上げた。


「お兄ちゃん」


「はい」


「ありがとう」


声が。


少し震えていた。


「父ちゃんと母ちゃんを見つけてくれて」


「助けてくれて」


「私」


言葉が続かない。


目に。


涙が浮かぶ。


俺は。


彼女の頭へ。


そっと手を置いた。


「ライラが」


「ここまで来たからですよ」


「一人で?」


「一人で」


「怖かったでしょう」


ライラは頷く。


「でも」


「諦めなかった」


「だから会えたんです」


涙が頬を流れる。


それでも。


ライラは笑った。


「また来る?」


「来ます」


「絶対?」


「絶対」


「薬」


「今度は買ってね」


「値引きは?」


「しない」


「少しくらい」


「しない!」


強くなった。


本当に。


強い子だった。


⸻


俺たちは。


森の道を歩き始めた。


後ろから。


皆の声が聞こえる。


「またな!」


「気を付けろ!」


「酒忘れるな!」


「勉強してくださいね!」


「次は負けん!」


何に負けたのか分からない声も混ざっている。


俺は。


何度も振り返った。


新しい門。


黒狼の印。


そこに立つ人々。


ガレスは腕を組み。


ルガーは槍を持ち。


カシオンは帳簿を抱え。


アーサーは大きく手を振っている。


ロベルトとエレナ。


その間にライラ。


ネッドとミーナ。


子どもたち。


老人たち。


皆が。


俺たちを見送っていた。


砦が。


少しずつ。


遠ざかる。


木々の間に隠れ。


やがて。


見えなくなる。


よっしーが。


前を歩きながら言った。


「結局」


「黒狼団って山賊やったんか?」


俺は少し考える。


法を破った。


物を奪った。


武器を持った。


だから。


山賊ではあるのだろう。


でも。


それだけではなかった。


「山賊だったんでしょうね」


「過去形か」


「これからは違うかもしれません」


「警備隊?」


「開拓団?」


あーさんが横から言う。


「村ではないでしょうか」


「村?」


「はい」


あーさんは。


森の奥を振り返った。


「皆さんが帰る場所ですから」


クリフさんが小さく笑う。


「そうかもな」


俺も。


もう一度だけ振り返った。


砦は見えない。


それでも。


そこにあることは分かる。


あの場所は。


山賊の砦ではなかった。


国に捨てられた人たちが。


それでも誰かを守ろうと生きた。


小さな村だった。


⸻


森を抜けると。


モンテーヌの町が見えた。


まだ。


灰色だった。


閉じた店。


傷んだ屋根。


人通りの少ない道。


すぐには変わらない。


バルトンがいなくなっただけで。


明日から豊かになるわけではない。


借金を失った人。


仕事を失った人。


家族を失った人。


町が負った傷は。


深い。


けれど。


以前とは。


少しだけ違っていた。


広場で。


町の人たちが集まっている。


壊された店を直す者。


捨てられていた荷車を起こす者。


壁へ貼られた不正な徴税令を剥がす者。


衛兵の詰所から。


バルトンの紋章が外されている。


その下で。


一人の老婆が。


小さな箒で道を掃いていた。


たった一人で。


灰を集め。


道の端へ寄せている。


やがて。


隣の店から。


男が出てきた。


同じように。


箒を持つ。


さらに。


一人。


もう一人。


町の人たちが。


少しずつ。


道へ出てくる。


誰かが命令したわけではない。


英雄が号令を掛けたわけでもない。


ただ。


自分たちの町を。


もう一度。


自分たちの手へ戻そうとしていた。


よっしーが呟く。


「町って」


「こうやって戻るんかもな」


「はい」


誰か一人が。


全部直すわけではない。


誰か一人が腐らせたわけではなかったように。


直す時も。


一人ではない。


誰かが。


箒を持つ。


誰かが。


壊れた板を外す。


誰かが。


閉じていた店の窓を開ける。


そうして。


少しずつ。


灰色だった町へ。


色が戻っていく。


空を見上げる。


雲の切れ間から。


朝よりも明るい光が差していた。


モンテーヌの夜は終わった。


本当の意味で。


町が変わるのは。


これからだ。


そして。


俺たちの旅も。


まだ終わらない。


王都。


西部開発院。


あの命令書を出した人物。


この土地に。


何があるのか。


新しい謎は残っている。


けれど。


今は。


これでいい。


俺は。


ライラから貰った布袋を握り。


前を向いた。


「行きましょうか」


「ああ」


クリフさんが答える。


「次はどこや?」


よっしーが聞く。


「さあ」


「決めてへんのかい」


「旅なんてそんなものでしょう」


「ユウキさんらしいです」


あーさんが笑う。


俺たちも。


笑った。


そして。


少しだけ明るくなった道を。


次の町へ向かって歩き始めた。


⸻


モンテーヌ編 完


⸻


後書き


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


今回でモンテーヌ編は完結となります。


ライラを追い、黒狼団の砦へ入ったことから始まった今回の物語。


最初は山賊に攫われた両親を救出する話に見えましたが、その裏には、


違法徴税。


借金。


物価操作。


偽黒狼団。


元兵士たちの切り捨て。


そして、町そのものを住民から奪おうとする計画が隠されていました。


黒狼団は、完全な善人ではありません。


生きるために法を破り、奪ったこともあります。


しかし同時に、国や町から零れ落ちた人々を守り、行き場のない者へ居場所を与えてきました。


だからこそ今回の物語では、


「法を破った者は、すべて悪人なのか」


「仕組みの中で人を苦しめる者は、罪人ではないのか」


という部分を描きました。


ガレスたちは今後、黒狼団という山賊の立場から、モンテーヌ周辺を守る警備隊や開拓団へ変わっていく可能性があります。


また、セレナとレオンは王都へ向かい、バルトンとヴァルター、そして押収した証拠を届けることになります。


しかし、王国西部開発院。


そしてモンテーヌの土地を狙う、さらに上の存在。


この問題はまだ完全には終わっていません。


いつかユウキたちの旅と再び交差することになるでしょう。


次回からは新たな土地、新たな出会い。


少し雰囲気を変えた旅の物語へ入ります。

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