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冒険の書  作者: らぐらぐ
62/67

魔獣討伐 1日目 魔獣

緊張感が立ち込める


先頭のジャックが盾を構えて腰を落とすと


木の影から見た事のある魔獣が顔を出す


俺が出会った事のある猪のような魔獣だ!


最弱と言われているが油断はできない

全員がその魔獣を確認できる程度カラダを出してきて前足で足場を慣らしている


もうバレているから息を潜めても意味がない

「ジャック突進が来るぞ!」

そう叫んだ瞬間


ブォン!と鼻をならしジャックの盾に向かい突進してくる!


ガゴォン!!


鉄の塊同士がぶつかったような鈍い音と共に踏ん張っていたジャックが尻もちをつかせられた


が、魔獣の動きも止まる!


「ルーク!」

息を合わせてジャックの左右から飛び出て胴体に斬りつける!


ガキンッ!ガキンッ!


2人とも硬い獣毛に阻まれる

クソっ!あの時のフリージアと同じ結果だ

未だに上回れてないということか…


そう思った瞬間

「シャドウホールド!」


サクッと静かな音を立て木漏れ日で僅かに出来た魔獣の影を捉えオーブリーのナイフが突き刺さる

木の上からだから出来る芸当だった


息をもさせないシャドウホールド

このまま時間が過ぎれば息が出来ずに倒れるはずだが何かをきっかけに影が消えるとせっかくシャドウホールドも解除されてしまうので今のうちにとどめを刺そう


「ウゥウウォゴォォ!」

落ち着いて考えていると魔獣が唸りだし正面にファイヤーボールの術式が出来始める


しまった!この状態でも魔法が使えるのか!?

アクアボールの詠唱は間に合わない!


一瞬全体を見回すと

ジャックは未だ立てずにいて

ニアは居合いの姿勢に入っている

オーブリーはしっかりファイヤーボール対策でアクアボールを作り出していた

「ルーク!タイミングをみて目を狙うぞ!」

「わかった!」



ドゴッッ!じゅじゅじゅわー!


魔獣の目の前にファイヤーボールが出来上がった瞬間アクアボールが直撃し辺り一帯が水蒸気に包まれた


ザク!ザク!


俺とルークのダガーが両目に同時に突き刺さる


グォォォォォン!


断末魔のような叫び声


その大きく開けた口の中に左手を突っ込み俺の中の最大火力でファイヤーボールをおみまいする


「ファイヤーボール!!!」


ドヴァンッ!

と爆発するような音を立て魔獣の内部から焼き焦がした

フリージアの真似だ

どうやら俺の火力でも内部からの攻撃は絶大だったらしくそれを最後にばたりと横たわりピクリとも動かなくなった


「やったぁ!」

最初に声をあげたのはルークだった


スタッと静かな音で

「お疲れ様!」とオーブリーが木の上から降りてくる


「ジャック大丈夫か?」

未だ尻餅をついているジャックに手を差し伸べる


「うん。思ったより凄い衝撃…」

「だな、流石に最初にプロテクトかけるべきだったな!すまん」

「ううん。大丈夫」


そんな話をしているとオーブリーがクスクスと笑い出した


何事かと思いオーブリーの視線の先に目をやるとニアが立っていた


凛と立つその立ち姿に似合わない曇ったメガネをかけたまま


戦闘中の水蒸気で曇ったのだろう


「…まえ……見えなかった……」


「っぷ」


メガネを外し曇りをとるためにメガネを拭くニアをみてさらにみんなが笑い合う


魔獣を討伐した安心感と途切れた緊張から普通なら笑わないようなことでも面白く感じてしまう


「オーブリー」

と呼びかけると何を言いたいのか伝わったらしく

「そうね魔石を取り出しましょう」

そう言うと手際よく解体し始め魔石を取り出す


ジャックとルークは初めてだったのでまじまじと見ていた


「とりあえず目標の1頭を討伐出来たしもうすぐ陽も落ちるから野営出来るところを探さない?」

そう提案すると

「そうね!少し中央に寄りながら出来そうなところを探しましょうか」


なるほど万が一の事を考えてオリバーに近い方で。ということか


今の戦闘で分かったことがいっぱいあったので野営地を探しながらみんなで反省をする


そこで分かったのだが

オーブリーのシャドウホールドはフリージアのソレほど効力がないらしく動きを縛る事しかできないから魔獣が魔法を使えたらしい


1回の戦闘だったが本当に勉強になった


そして俺はまだ7歳時のフリージアにも追いつけてないのだなと自信を無くしてしまった

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