こんな俺
よろしくお願いします。
帰宅してシャワーだけ浴び床に入る。一応、正月明けに実家から送ってもらった梅酒とマグカップをちゃぶ台の上に置いておいた。今夜は会えるかな?
1月7日(土)午前1時、ドッカーン!と壁をブッ壊してフミカが現れた。モバイルバイクを折り畳み、レーザービームで壁を修復する。最初から壊さなければいいのに。窓の鍵くらい掛けずにおいてやるのにさ。
俺はベッドを抜け出し、マグカップに梅酒を注いでやる。今夜はチンなしだ。
「あのさあ、壊して直ぐに修復するって、すごく頭悪いと思うんだけど」
「何ィ!?お前、いきなり強気発言だなあ」
ブスッとした顔で睨まれた。
「別に強気じゃないんだけどね」
並々注いだ梅酒を差し出すと、えんじぇうさまはズズッと啜った。
「うん、これは自家製だな。でも、うまいぞォ!」
思わず表情が崩れ極上の笑みがこぼれる。やっぱりこいつは笑うとカワイイ!
「フミカちゃん、一応今は土曜の午前だけど、毎日曜は不定期に変わっちゃったの?まあ、今夜の出没はこの前のビデオでわかってたけどね」
「うん、私も色々と忙しくってな。不定期気味なのは悪いと感じてた」
「いや、毎日曜より回数多くなってるから、結構ヒマなのかと思ってさ」
「ホント失礼な奴だなあ。いっそ見放してやろうか?」
「そしたらゼウスさまのミッションを果たせなくなるよ。フミカちゃんがしあわせにしてくれるんでしょ?」
「グヌヌ……、人間のくせに神の使いの足元見やがって。ゼウスさまも何て人選してんだよ!」
それはかねてから俺も思ってた。こんな平凡極まりない男をしあわせにしたって世の中何も変わらない。
「それには同意するよ。本当はフルハウス大統領とか安倍川餅首相に未来を見せた方がいいのに。世界情勢も平和に向かうってもんさ」
「まあ、そうかもね。でも、私に決定権はないから。希望者くらいは出すけどね」
「へーえ、そうなんだ。で、今回の俺は希望者なの?」
「フン!そんな誘導尋問に引っかかってたまるかァ!何かお前、神をも恐れぬ奴になって来たなあ。いっそ地獄に落ちたらどうだ?」
ヤバイ!ちょっと調子に乗り過ぎた。いや、ホントはわかってる。俺はフミカを頼って現実逃避してるんだ。京子さんとの接し方に迷いが生じてるから。
「そんなに怒んないでよ。どうせ丸一日居座るんでしょ?ねえ、天気も良さげだから暖かいところへ出掛けない?こっちは寒くて屋内だと人混みだろうし」
「ふーん、暖かいところに行きたいのか。南半球ってことだな」
「でも、カンガルー狩りはダメだよ。動物虐待だから。それに、人混みじゃないところがいいな」
「わかった。マサハルのご希望に応えてやるよ。朝になってから出発しよう」
えんじぇうさまはマグカップの梅酒をグビグビ飲み干される。もちろん、給仕係の俺はお替りを並々注ぎ入れるだけであった。
結局フミカは朝まで飲み続け、グダグダとくだを巻き、俺を罵倒するのに終始した。最悪のアル中女である。
読んで下さりありがとうございました。




