可愛い女の子に出会ったよ~無限ループ編~
「もう……いや……」
ボソリと呟く。
「なんなんだよ!この異世界ってのはよ!」
《マスターの【精神的抑圧感】上昇》
「もういや!異世界怖い!」
《マスター……気持ちは分かります……ちょっと確かに酷いです、でも……ここでしか生きる道ないんですよ?》
システム88の言葉も、男にはもう、届かない。何もかもが、嫌になり、こんなクソみたいな世界に来てしまった、来る事を、喜んでしまった、過去の自分を、呪うばかりである。
「ま……まさか、ここまで、ラノベのテンプレ通りの事が起きるとは……」
男は、項垂れると、足元のカバンをマクラに、ふて寝しだした。
《マスター、こんなとこで、寝てると、危ないですよ》
システム88の、心配した声にも、男は動かない。
「もういいよ……そうなったら、そうなったで、この世界から、抜け出せるし……」
「ちょっと酷く疲れたから、静かに眠らせてくれ」
そう、システム88に告げると、男はすぐに、眠りに落ちた。相当、精神的に、参っていたのだろう。
システム88も、危険が迫るまで、寝かせてあげる事にした。
《マスター!マスター!起きて下さい》
システム88の声に、意識を覚醒させ、目を開けた男の目に、飛び込んできた物は……
『知らない天井だ』
男が発した声ではない、システム88の機械的な声でもない。誰か別の声なのだが、男は、その声が発した、テンプレと言える言葉を聞き、体を急に起こすと、両手で、自分の体を抱き締め
「テンプレ……怖い……」
そう、呟いた。
『やぁ!起きたかな?』
どこかで聞いた事のある、声がした……
少し落ち着いてきた男は、周囲を見てみるとそこは、日本で死んでから、一番最初に来た、真っ白な空間だった。
そして、そんな場所に、光の人型と、1人の可愛らしい女の子が座っていた。
『やぁ、久しぶりって言う程、時間は経過してないけどね』
この女の子は、誰だろう?どこぞのアイドルグループに居たなら、センターの立ち位置を、独占しそうなほど、可愛らしい。そんな事を男が、考えていると。
《そんな!マスター可愛らしいだなんて》
そう言って、喜んでいる。
声は機械的ではないが、間違いなく、システム88の話し方だ。中身はこんなに可愛らしい女の子だったのか……ポンコツだとか、分解したいだとか、結構酷い事を言った事を思い出した男は、システム88に謝る。
「こんな可愛らしい女の子だなんて、知らずに、結構な事を言って、ごめん」
《大丈夫ですよ、気にしてませんし、むしろ、マスターと一緒に居ると楽しいですから》
『さて、楽しそうな会話を邪魔するようで、悪いが……三井健三くん……君の、異世界滞在時間は、6時間14分37秒だ、やり直した分の時間を足した、延べ時間でも、10時間を切っている……これは、過去最短記録を大きく塗り替える時間だ、君は本当に、私を楽しませてくれるな』
『次の世界では、せめて、1日はもたせてくれよ』
何やら、不穏な単語が聞こえた気がした。次と……
「次?次の世界って何ですか?嫌です、異世界怖いです、異世界行くぐらいなら、地獄にでも落として下さい!」
男は、本当に嫌なのだろう。土下座して、光の人型に懇願する。
『大丈夫!今回行く異世界では、サポートとして、音声だけだった、システム88を、今の実体がある状態でつけるから』
光の人型の話を受けて、システム88は、男に向かい満面の笑みを向け微笑む。
『どうだい?作った自分で言うのもあれだが、可愛いだろ?こんな可愛い子と、四六時中一緒だよ?』
『更に、新しいスキルも付けてあげよう、さあ!旅立ちの時だ!』
光の人型の宣誓の言葉と共に、男は、光り包まれた。
《マスター、起きてください》
何やら、可愛らしい声が聞こえる……男が、意識を覚醒させると、そこは、洞窟の中のようだった。横を見ると、先程まで一緒に居た、可愛らしい女の子が、座っている。
《マスター、新しい世界で、一緒に頑張りましょうね、早速新しいスキルの確認をしてみて下さい》
そう言われ男は、自分を鑑定した。
【固有スキル】
テンプレを求める心 (new)
何やら、見た事のないスキルが増えている……男は、とっても嫌な予感がしたが、システム88に新しいスキルの事を、尋ねた。
《テンプレを求める心、そのスキルは、1日に1度、テンプレ的な事に遭遇しないと、転移直後の状態に戻るスキルです》
システム88の説明を聞いて男は、唖然とそして愕然とする。
「テンプレも、やり直しも、もういやじゃ~~~!!!」
男の旅は、まだまだ終わらない。




